僕の猫舎

主に海外ミステリの感想を綴るブログです

『死の舞踏』ヘレン・マクロイ【感想】ホットな死体と、クールな探偵

発表年:1938年 作者:ヘレン・マクロイ シリーズ:ベイジル・ウィリング博士1 訳者:板垣節子 ヘレン・マクロイにチャレンジするのはこれで二度目。初挑戦は、なんの気紛れかベイジル・ウィリング博士シリーズ第5作『家蝿とカナリア』からでした。該当記事…

物語のクセがすごい【感想】G.D.H.&M.コール『百万長者の死』

発表年:1925年 作者:G.D.H.&M.コール(夫妻) シリーズ:ヘンリー・ウィルスン警視2 訳者:石一郎 遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。本年も僕の猫舎をどうぞよろしくお願い致します。まだまだ昨年の読書感想が残っているので、まずはそ…

2018年読了海外ミステリベストテン

早いもので2018年ももう終わり。今年は昇格試験の年ということもあって、10月以降ガックリ読書数を落としてしまい最終結果は49冊(うち海外ミステリは45冊)でした。週一ペースを維持できず残念な気持ちもありますが、生涯ベストに肉薄する傑作と国内…

新訳化切望【感想】M.D.ポースト『アブナー伯父の事件簿』

発表年:1918年 作者:M.D.ポースト シリーズ:アブナー伯父 訳者:菊池光 M.D.ポーストという男 探偵役アブナー伯父について 各話感想 『天の使い』(1911) 『悪魔の道具』(1917) 『私刑(リンチ)』(1914) 『地の掟』(1914) 『不可抗力』(1913) …

丁寧な仕事してます【感想】F.W.クロフツ『サウサンプトンの殺人』

発表年:1934年 作者:F.W.クロフツ シリーズ:フレンチ警部12 訳者:大庭忠男 染みわたるわあ~、砂漠で飲むお水くらい染みわたる。アクの強いカー作品を読んだ後ということもあって、真っ直ぐな作品に出会うとすいすい読めてしまいます。 今日紹介するのは…

インパクト良し読後感悪し【感想】ジョン・ディクスン・カー『死者はよみがえる』

発表年:1937年 作者:J.D.カー シリーズ:ギデオン・フェル博士8 訳者:橋本福夫 ちょっと近況(飛ばしてよし) 粗あらすじ 《謎探偵の推理過程》 ちょっと近況(飛ばしてよし) 何か月ぶりでしょうか。まっとうなミステリ感想記事は。ぜってー試験落ちてん…

『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』【映画ネタバレなし感想】ファンタビならぬファンサビ

引用:©️2018 WBEI 本記事の前に、まずは前作のレビューのリンクをちょちょっと貼って…と思ったら、まさかの書いてない!?鑑賞から2週間は経ってしまったんですが、前作のおさらいもかねて感想を書くつもりです。 本作の感想を一言で言うなら、観客のターゲ…

M-1グランプリ2018総評

www.bokuneko.com さてさて、去年に引き続きM-1の総評でもしておきますか。 なんか終わってからの方が燃えている感がなきにしもあらずですが、とにもかくにもめちゃくちゃ面白かったです。 出場された全漫才師の方々、お疲れさまでした。 今年の決勝は、なん…

『ヴェノム』【ネタバレなし感想】論理を上から殴る悪

引用:2018 Sony Pictures Digital Productions どーもお久しぶりです。 気が付けば、なんと一か月ぶりのブログ更新になりました。 ずっと受験勉強してました。 いや、12月に昇格試験があってですね。毎日毎日勉強してるわけですよ。10月以降海外ミステリでさ…

推理小説殺し【感想】キャメロン・マケイブ『編集室の床に落ちた顔』

発表年:1934年 作者:キャメロン・マケイブ シリーズ:ノンシリーズ 訳者:熊井ひろ美 三大奇書と呼ばれる作品(『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』)のどれひとつ読んでもいないのに奇書を語る資格なんて元々ないんですが、本書はアン…

神たる所以【感想】エラリー・クイーン『エラリー・クイーンの冒険』

発表年:1934年 作者:エラリー・クイーン シリーズ:エラリー・クイーン 訳者:旧訳 井上勇 新訳 中村有希 エラリー・クイーンシリーズの短編集を読むのはこれが初めてです。ずっと旧訳版は所持していたのですが、本書が発表された1934年以前の長編を全部読…

この絵から何を読み取るか【感想】アガサ・クリスティ『五匹の子豚』

発表年:1942年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ21 訳者:桑原千恵子 前回の記事『書斎の死体』に引き続き、半年ぶりのエルキュール・ポワロは、今まで彼が解決してきた事件とはひと味違う難事件。 なんと16年も前に解決してしまっ…

ありきたり、を逆手に取った名作【感想】アガサ・クリスティ『書斎の死体』

発表年:1942年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ミス・マープル2 訳者:山本やよい 半年ぶりのクリスティはミス・マープルの第二作。 マープルものの一作目『牧師館の殺人』を読んだのが3年以上も前なので、作品に馴染めるかどうか少々不安でしたが、短…

『アントマン&ワスプ』【映画ネタバレ感想】男女の強い絆を描く良質なエンタメ作品

引用:2018 Marvel 公開から2週間立ちましたけど、TOHOシネマズなんば14時の席は全席完売でした。 やっぱり『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』後に公開されたMCUシリーズ一発目というのが良かったんじゃないかと思います。 「アントマン&ワスプ」…

サスペンス小説の匠による名作【感想】コーネル・ウールリッチ『黒衣の花嫁』

発表年:1940年 作者:ウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ) シリーズ:ノンシリーズ 訳者:稲葉明雄 初アイリッシュです。いや初ウールリッチと言ったほうが良いのか…彼と同じように別名義のあるミステリ作家と言えばエラリー・クイーン(バ…

全章フルスロットル【感想】レックス・スタウト『赤い箱』

発表年:1937年 作者:レックス・スタウト シリーズ:ネロ・ウルフ4 訳者:佐倉潤吾 レックス・スタウト、毎回毎回超えてきますねえ。どんどん面白さが跳ね上がってます。 この記事を『毒蛇』の感想を書いた当時の自分に見せてやりたい。 間違いない、そのま…

500ページもいるかな【感想】ジョン・ディクスン・カー『アラビアンナイトの殺人』

発表年:1936年 作者:J.D.カー シリーズ:ギデオン・フェル博士7 訳者:宇野利泰 まずは 粗あらすじ フェル博士の自室に集まった三人の警察官が語るのは、ロンドンの博物館で起こった奇怪な事件の物語。数種のつけ髭と、石炭の粉舞う異様な博物館で起こった…

きゅうきょくのおうちカレーの作り方

カレーが大好きである。 もうめちゃくちゃ好きだ。 毎日カレーでいい。 ただカレーは脂質が多い。カレー1食には、成人男性が1日に必要なエネルギーの約半数の脂質が入っているらしい。 ようするに、毎日食べているとめちゃくちゃ太る。 今では、月に2・3…

狂人探し【感想】G.K.チェスタトン『詩人と狂人たち』

発表年:1929年 作者:G.K.チェスタトン シリーズ:ノンシリーズ 訳者:南條竹則 定期的にチェスタトンを摂取したくなるのなんなんでしょうか。耐性がないと(慣れないと)読みにくい逆説だらけの構成がどこかクセになっているのかもしれません。 衒学的とい…

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』【ネタバレなし感想】疲労感の溜まる映画

引用:2018 PARAMOUNT PICTURES. ほんと疲れました。 映画館から出て、痛む頭を抱え、重い足取りで家へ帰宅。その後二日間疲労感は消えませんでした。もちろん映画のせいではありません。映画の後飲み過ぎました。 とはいえマジで疲れたのも事実。今日はそん…

付録:倒叙寸評【感想】F.W.クロフツ『クロイドン発12時30分』

発表年:1934年 作者:F.W.クロフツ シリーズ:フレンチ警部11 訳者:加賀山卓朗 本書の読了を持って三大倒叙ミステリをすべて読破したわけですが、どうもノってこない一作。 「倒叙」とはいえ、まず最初に殺人が描かれるってのは『殺意』や『叔母殺人事件』…

歴史のお勉強【感想】ジョン・ディクスン・カー『エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件』

発表年:1936年 作者:ジョン・ディクスン・カー シリーズ:歴史ミステリ 訳者:岡照雄 歴史ミステリにチャンレンジするのは、ポール・ドハティー『毒杯の囀り』に続いて僅か2回目。しかも今回は同じ歴史ミステリでもちと違います。 『毒杯の囀り』は1377年…

シャーロック・ホームズ短編ベスト10【海外ミステリ読了200冊記念】

特定の作家、特定の作品のベスト10系の記事を書くのが初めてなので、だいぶと気合が入っております。 今年の3月にめでたくシャーロック・ホームズ全作を読破し、その時短編ベスト10を決めてみようとは思っていました。 折よく、2015年からハマった海外ミス…

ソフトボイルドがいい塩梅【感想】E.S.ガードナー『ビロードの爪』

発表年:1933年 作者:E.S.ガードナー シリーズ:弁護士ペリー・メイスン1 訳者:小西宏 粗あらすじ 《謎探偵の推理過程》 弁護士ペリー・メイスンといえば、ミステリ界においても屈指の長寿シリーズです。 40年にもわたり計82もの長編に登場するペリー・メ…

ファンタジー世界への憧憬の原点【感想】J・J・R・トールキン『指輪物語/旅の仲間 上1・2』

長々と自分の偏愛ぶりを語る必要はありません。 自分がファンタジーに求めているものすべてが詰まった作品、ファンタジーというジャンルに感じる強い憧憬の原点となっている作品、何度見ても胸が高鳴り体が熱くなる作品、それが『指輪物語』です。 映画は毎…

生産性より弱産性【メリット】

見るからに出オチ感満載のスタートをきったわけですが、やっぱ流行にはノッていくスタイルでお送りしている当ブログですから、触れないわけにはいけません。 ※ちなみに今回一番の問題になっている差別事案にはほとんど触れていません。あしからず。 いけいけ…

着想の限界か【感想】S・S=ヴァン・ダイン『ケンネル殺人事件』

発表年:1933年 作者:S・S=ヴァン・ダイン シリーズ:ファイロ・ヴァンス6 訳者:井上勇 エラリー・クイーンに多大な影響を与えたとされる、ヴァン・ダインですが、その有名な名前に反して、作品の評価はあまり高くないように思えます。 どうしても、ちょ…

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』【ネタバレなし感想】熱い夏にオススメできるモンスター・パニック・ホラー

引用:Universal Stadio 前作『ジュラシック・ワールド』の悲劇から3年。人の手を離れ、恐竜の島と化したイスラ・ヌブラル島は、火山噴火によって危機的状況に瀕していた。島に棲む恐竜たちの命を救うため、再びオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブ…

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』【ネタバレなし感想】真新しいものはない

引用:2018 Lucasfilm Ltd.&TM 『スター・ウォーズシリーズ』屈指の人気キャラクター、ハン・ソロがいかにして愛すべき悪党〈ハン・ソロ〉となったのか。生涯の相棒チューバッカや愛機ミレニアム・ファルコン号との運命的な出会いとは!? という触れ込みで、…

SurfaceProの購入を迷っている人の背中を押したい【新しいおもちゃ】

えー、ついに買ってしまいました。ほんとならもうちょっとお小遣いをためてからと思っていたのですが、先日のAmazonプライムデーで出ていた本体・キーボード・専用ペンの3点セットをついつい購入してしまいました。支払いは家族のクレジットカードで決済し…