僕の猫舎

主に海外ミステリの感想を綴るブログです

『船から消えた男』F.W.クロフツ【感想】フレンチ警部は幸運

1936年発表 フレンチ警部15 中山善之訳 創元推理文庫発行 原題「MAN OVERBORD!」とは、船乗りが船からの落水事故に際し発する定型句のようです。訳すと「誰か船から落ちたぞ!」といったところでしょうか。そして、これがタイトルということは、本書の事件の…

『指輪物語 旅の仲間下1・2』J.R.R.トールキン【感想】そして旅は過酷さを増して

1954年発表 瀬田貞二・田中明子訳 評論社文庫発行 前回のおさらい ホビット族の青年フロドは、誕生日におじ(実際にはいとこで養父)のビルボから魔法の指輪を譲り受ける。しかし、その魔法の指輪の正体は、「一つの指輪」と呼ばれる凄まじい力を秘めた指輪…

『血の収穫』ダシール・ハメット【感想】小柄で肥った中年男に憧れる

1929年発表 探偵コンチネンタル・オプ1 創元推理文庫発行 田口俊樹訳 本書は、ハードボイルド推理小説のスタイルを確立させたダシール・ハメットのデビュー作。 主人公はコンティネンタル探偵社の探偵“私”。作中では、彼の本名を含め年齢や経歴すら明かされ…

『クイーンの定員Ⅰ』エラリー・クイーン【感想】これであなたも一人前

本書を読んで、ようやく、一人前の海外ミステリファンになれた気がしています。『クイーンの定員』は、1845年以降に刊行された最も重要な短編推理小説106作が収められたアンソロジーです。編者は、海外ミステリ黄金期を代表する作家エラリー・クイーン。 そ…

大阪・天王寺界隈のオススメ絶品グルメをご紹介

大阪の観光地/繁華街と言えば、キタは梅田や福島、またミナミと呼ばれる難波(なんば)エリアが有名ですが、是非とも天王寺も忘れないでいただきたい。 天王寺は、『日本書紀』にも登場する四天王寺を始め歴史的な観光地を多く要し、関西国際空港からのアク…

『ニッポン樫鳥の謎』エラリー・クイーン【感想】成長する探偵

1937年発表 エラリー・クイーン11 創元推理文庫発行 井上勇訳 国名シリーズを脱却しながらも「読者への挑戦」を用意するなど、優等生だった『中途(途中)の家』に続く作品。前作でよっぽど抑圧されていたのか、本作は、解き放たれ道を踏み外した問題児のよ…

『死体は散歩する』クレイグ・ライス【感想】本そのものに酔う

1940年発表 弁護士J.J.マローン2 小鷹信光訳 創元推理文庫発行 感想は、読書メーターに投稿した短文を転載するのみで事足りるかもしれない。 1940年に発表された弁護士J.J.マローン第2作は、酔っ払いの酔っ払いによる酔っ払いのための推理小説。全編通して…

『ラヴクラフト全集1』H.P.ラヴクラフト【感想】怪奇小説の最高峰

1923~1931年発表 大西尹明訳 創元推理文庫発行 初ラヴクラフトです。いや、怖い怖い。今まで、ジョン・ディクスン・カーの怪奇趣味が詰まったミステリを読んでいたので耐性ができてるかと思いきや、ただぬるま湯に浸かっていただけのようです。 感想を書く…

2019年読了ミステリベストテン

2019年も一年間ありがとうございました。今年はブログ活動もかなり失速してしまい、12月31日現在まだ感想書きが20冊も溜まっています。こんな現状でまとめるのもどうかと思うのですが、とりあえず今年読んだ50冊の中からベスト10を発表しておきます。 2019年…

M-1グランプリ2019総評

今年もこの季節がやってきましたね。今年は例年にも増して外野が五月蠅かった傾向があるので、その五月蠅さに負けないように当ブログも厚かましく、そしてやかましく審査員の一人になったつもりで総評を書いてみます。 まぁ、これでもかと勝手なこと言います…

『ニュー・イン三十一番の謎』オースティン・フリーマン【感想】幻のソーンダイク博士第一長編

1912年発表 ソーンダイク博士3 福森典子訳 論創海外ミステリ発行 タイトルで「第一長編」としたのには理由があるが、その理由については、定期的に購読している、渕上氏による海外クラシック・ミステリ探訪記の該当記事「31 New Innはソーンダイク博士の初登…

『ヴォスパー号の喪失(遭難)』F.W.クロフツ【感想】地道さが奏功したりしなかったり

1936年発表 フレンチ警部14 訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ発行 本書はフレンチ警部シリーズの中でも、かなり入手難易度の高い一冊。早川書房によってポケミス版(昭和32年)と文庫版(昭和56年)で発行されて以来復刊も無く、特に文庫版はAmazonのマケプ…

『ドイル傑作集Ⅰ/ミステリー編』アーサー・コナン・ドイル【感想】ドイル流面白さの凝縮版

1888年~1921年 ノンシリーズ短編集(日本独自) 延原謙訳 新潮文庫発行 本書解説で訳者の延原謙氏が述べておられるとおり、世間一般ではアーサー・コナン・ドイルといえばシャーロック・ホームズ、という印象が強いと思われるし、シャーロック・ホームズを…

『緑のカプセルの謎』ジョン・ディクスン・カー【感想】二打席連続ホームラン

1939年発表 ギデオン・フェル博士10 三角和代訳 創元推理文庫発行 ギデオン・フェル博士シリーズ第10作は、摩訶不思議な毒殺事件がテーマの優れたフー&ハウダニットミステリ。前作『曲がった蝶番』(1938)を“ホームラン級”と称しましたが、二打席連続のホー…

『メインテーマは殺人』アンソニー・ホロヴィッツ【ネタバレなし感想】100年先も読まれ続ける等身大の超傑作

2017年発表 山田蘭訳 創元推理文庫発行 2018年の海外ミステリランキングを全て制覇した『カササギ殺人事件』からわずか1年。またもやアンソニー・ホロヴィッツは怪物を世に解き放った。今度は、作者アンソニー・ホロヴィッツ自らがワトスン役(語り手)を担…

『死が最後にやってくる』アガサ・クリスティ【感想】女王にナメられている

1945年発表 歴史ミステリ? 加島祥造訳 ハヤカワ文庫発行 一つ言えるのは、古代エジプトミステリ……ではない、ということ。 本書の事件は紀元前二千年頃のエジプト、ナイルの河畔にあるシーブズ(古代エジプトの都市でいまのルクソール)で起こります。といっ…

『ジョン・ウィック/チャプター1・2』を見て最新作の予習をしたので魅力をまとめる

この界隈のアクション映画について、あんま詳しくはないんですけど、シリーズ最新作が公開された、ということで、予習も兼ねて『ジョン・ウィック/チャプター1』そして『チャプター2』を見てみましたよ。 で、めっちゃ面白かったんで、みんなにもオススメ…

『ギルフォードの犯罪』F.W.クロフツ【感想】等身大で原寸大の身近なミステリ

1935年発表 フレンチ警部13 前作『サウサンプトンの殺人』 中山善之訳 創元推理文庫発行 宝石商ノーンズ商会の役員会議から始まる本書は、作者F.W.クロフツがアリバイや鉄道に並んで得意とする企業犯罪がテーマの骨太な一作。 関係者の死と大量の貴金属の盗…

ぼくねこ、家を買う【家づくりスタート編3】

前2回はコチラ 【スーモカウンターを利用した家づくり】 【セミナーや相談会を利用した家づくり】 【どこにも仲介してもらわない】という選択肢。 もちろんアリ。全然アリ。 ただし、家づくりについての知識が全く無い真っ新な状態の場合には注意が必要。例…

ぼくねこ、家を買う【家づくりスタート編2】

前回に続いて今回は、家づくりのスタートにおいて【家づくりセミナー】を利用した場合に、どのようなメリット・デメリットがあるか記録しておきたい。 www.bokuneko.com 【家づくりセミナー】と言っても、スーモカウンターが行っているのも家づくりセミナー…

ぼくねこ、家を買う【家づくりスタート編1】

当記事は、一戸建てを注文住宅で建築しようと検討されている方向けの記事です。 マイホーム探しを始めてはや半年。週末が来るたびに工務店やハウスメーカーを巡り、設備系メーカーの展示場を見学するそんな忙しい日々もようやく終わりを告げようとしている。…

『人形パズル』パットリック・クェンティン【感想】難易度?サプライズ?そんなの関係ねえ!

1944年発表 ピーター・ダルース3 白須清美訳 創元推理文庫発行 人形パズル (創元推理文庫) 作者: パトリック・クェンティン,白須清美 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2013/03/21 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (11件) を見る 演劇プロデューサ…

『探偵術教えます』パーシヴァル・ワイルド【感想】万人にオススメできる自信作

1947年発表 通信教育探偵ピーター・モーラン 巴妙子訳 ちくま文庫発行 ニューヨーク生まれの奇才パーシヴァル・ワイルドが1947年に上梓した、抱腹絶倒の連作短編推理小説。作者の実体験?を元に生み出された素人迷探偵P(ピーター)・モーランが作中を所狭し…

『ワイルドスピード/スーパーコンボ』【映画ネタバレ感想】たしかにBGMはうるさい

引用:2019 UNIVERSAL STUDIOS 最っ高でした。物語の完成度/ツッコミどころ/粗の多さ/などを指摘できないことは無いんですが、それ以上にアクション映画としての完成度が高いうえに、抜け目なく、計算高い演出の数々に惚れ惚れとさせられます。 ワイルドス…

『ゼロ時間へ』アガサ・クリスティ【感想】クリスティ中期の集大成的大傑作

1944年発表 バトル警視シリーズ 三川基好訳 ハヤカワ文庫発行 クリスティの創造した名探偵たちの一人、バトル警視が探偵役を務める長編。彼は本作以前にも『チムニーズ館の秘密』『七つの時計』『ひらいたトランプ』『殺人は容易だ』で登場しているが、いず…

『カシノ殺人事件』S・S=ヴァン・ダイン【感想】化学と古典の融合

1934年発表 ファイロ・ヴァンス8 井上勇訳 創元推理文庫発行 ファイロ・ヴァンスも第8作目に突入。あらすじを紹介したいのは山々なのだが、どうも憚られる。というのも、創元推理文庫の裏表紙と中表紙のあらすじの中で既に盛大なネタバレがあるからだ。こ…

『すねた娘(怒りっぽい女)』E.S.ガードナー【感想】理想の探偵であり上司

1933年発表 弁護士ペリー・メイスン2 大岡昇平訳 創元推理文庫発行 E.Sガードナーと言えば、推理小説界屈指の多作な作家です。多い時で年5冊ものペースでぼこぼこと作品を生み出した彼の代表的な作品群【弁護士ペリー・メイスンシリーズ】は、ガードナー自…

進め!夢のマイホームへ!【基礎的な知識編】あとプランニング諸々

戸建てを購入する二つの方法 建売住宅 注文住宅 戸建てが建つ二つの工法 家を買おうと思ったときに事前に自分たちで考えておかなければならない点 予算 地域(エリア) 広さ リスクマネジメント マイホーム検討を始めて約2か月。なんと、良さ気な土地で図面…

『スパーダーマン/ファー・フロム・ホーム』【映画ネタバレ感想】MCUの出木杉英才くん

引用:2019 Sony Pictures Digital Productions ロマンス、アクション、シナリオ、コメディ、サプライズ、どこを切り取っても優等な出木杉的作品でしたね。 本作は新しいスパイダーマンシリーズの第2作目という側面もあり、前作『ホームカミング』との関連性…

『勇将ジェラールの回想』アーサー・コナン・ドイル【感想】歴史小説愛が爆発

1896年発表 勇将ジェラール1 上野景福訳 創元推理文庫発行 アーサー・コナン・ドイルといえば、シャーロック・ホームズものを始めとする短編ミステリが有名ですが、ドイルが本来書きたかったのは歴史ミステリでした。ホームズが有名になり過ぎた結果書きたい…