モーリス・ルブラン

『虎の牙』モーリス・ルブラン【感想】細密フィルターを通せば面白い

Les Dents Du Tigle 1921年発表 アルセーヌ・ルパン9 井上勇訳 創元推理文庫発行 前作『(三十)棺桶島』 次作『八点鐘』 本作でアルセーヌ・ルパンシリーズに挑もうとする読者はほぼいないでしょうが、少なくとも『813』は読んでおいた方が楽しめると思い…

『(三十)棺桶島』モーリス・ルブラン【感想】冒険小説としても傑作

L'île aux trente cercueils 1919年発表 怪盗アルセーヌ・ルパン8 堀口大學訳 新潮文庫発行 前作『金三角』 次作『虎の牙』 ネタバレなし感想 Wikipediaによると、本作は横溝正史の名作『獄門島』や『八つ墓村』へ影響を与えたと示唆されており、ミステリフ…

『金三角』モーリス・ルブラン【感想】戦時中の残酷さが現れた一作

1917年発表 アルセーヌ・ルパン7 石川湧訳 創元推理文庫発行 前作『オルヌカン城の謎』 前作『オルヌカン城の謎』に続く「第一次世界大戦シリーズ」とも呼べる作品群の2作目。『オルヌカン城の謎』では副次的な登場だったアルセーヌ・ルパンだが、本書では…

『オルヌカン城の謎』モーリス・ルブラン【感想】時代がルブランに書かせた愛国の書

1916年発表 アルセーヌ・ルパン9 井上勇訳 創元推理文庫発行 本書をアルセーヌ・ルパンシリーズと呼んでいいのかどうか、まだ悩んでいます。 発表順に言うと9作目にあたる本書は、第一次世界大戦(1914)勃発直後の激動の2年間にモーリス・ルブランによっ…

ルパンの多面性を堪能【感想】モーリス・ルブラン『ルパンの告白』

発表年:1911年~1913年 作者:モーリス・ルブラン シリーズ:アルセーヌ・ルパン 訳者:堀口大學 年2ルパンの2作目。この感じだと年4は読めそうです。 さすが幾つも邦訳化されているだけって、タイトルも訳者によって様々なバリエーションがあります。当…

ルパン史上最強最悪は伊達じゃない【感想】モーリス・ルブラン『水晶の栓』

発表年:1912年 作者:モーリス・ルブラン シリーズ:アルセーヌ・ルパン6 訳者:平岡敦 だいぶと久々の更新になってしまいました…身体的にも精神的にも追い込まれた年度末・年度初めでしたが、ぼちぼちと「いつもどおり」を取り戻し始め、やっと4月1冊目…

若いうちに読むべし【感想】モーリス・ルブラン『813』『続813』

813 (新潮文庫―ルパン傑作集)posted with ヨメレバモーリス・ルブラン 新潮社 1959-05-27 AmazonKindle 発表年:1910年 作者:モーリス・ルブラン シリーズ:アルセーヌ・ルパン5 年2~3冊のペースで読み進めているルパンものも、ようやくシリーズ5作目に…

原題も邦題もどちらもセンスがある作品【感想】モーリス・ルブラン『奇岩城』

発表年:1909年 作者:モーリス・ルブラン シリーズ:アルセーヌ・ルパン4 本作はルパンシリーズの中でも屈指の知名度を誇る作品の一つに違いありません。 今までシリーズを読んだことがない私でも、『813』や本作『奇岩城』はどこかで聞いたことがあるタイ…

青いルパン【感想】モーリス・ルブラン『リュパンの冒険』

発表年:1909年 作者:モーリス・ルブラン シリーズ:アルセーヌ・ルパン3 リュパンorルパンは出版元による違いだけなのでお気になさらず。記事内ではタイトル以外ルパンに統一してます。 実は推理小説と並行して唯一読み進めているのが冒険小説であるアルセ…

怪盗紳士ルパン【感想】モーリス・ルブラン

発表年:1905年 作者:モーリス・ルブラン シリーズ:アルセーヌ・ルパン1 日本人にとってルパンという名は、決して聞き馴染みの無い名前ではないはずです。もちろん、モンキーパンチ原作のコミック「ルパン三世」のおかげもあるでしょうが、老若男女にわた…