2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

他言は無用【感想】リチャード・ハル

発表年:1935年 作者:リチャード・ハル シリーズ:ノンシリーズ リチャード・ハルといえば『伯母殺人事件』と言う小説が有名なようです。残念ながら私は未読なのですが、推理小説の“ある括り”の中でも三大小説と呼ばれるほど高名な作品らしいですね。 一方…

迷走パズル【感想】パトリック・クェンティン

発表年:1936年 作者:パトリック・クェンティン シリーズ:ピーター・ダルース1 まずは初挑戦と言うことで作者の紹介からいきましょう。 実はパトリック・クェンティンというのはペンネームで、しかもエラリー・クイーンと同じように複数人が携わっていたよ…

『白い僧院の殺人』カーター・ディクスン【感想】足跡のない殺人の代表格

1934年発表 ヘンリ・メリヴェール卿2 創元推理文庫発行 前作『黒死荘の殺人』 次作『赤後家の殺人』 本作最大の特徴と言えばもちろん、“足跡のない殺人”でしょうか。 ≪白い僧院≫と呼ばれる歴史ある建物の別邸で発見された死体を巡る不可能犯罪は、単純な“雪…

製材所の秘密【感想】F.W.クロフツ

発表年:1922年 作者:F.W.クロフツ シリーズ:ノンシリーズ 本作は、推理小説と呼ぶには少々物足りません。 怪しげな製材所で行われている企業犯罪に焦点を当てた社会派ミステリのような形を成してはいるものの、それに付随して起こる殺人事件はなんともお…

荘厳で重厚な傑作長編【感想】『ナイン・テイラーズ』ドロシー・L・セイヤーズ

発表年:1934年 作者:ドロシー・L・セイヤーズ シリーズ:ピーター・ウィムジィ卿9 本作は、日本の推理小説における第一人者である江戸川乱歩が、黄金時代の推理小説ベスト10の第10位に挙げた程の作品、といえばどれほど有名な作品かわかります。 私自身、…

恐怖が時代を超えてやってくる【感想】カーター・ディクスン『黒死荘の殺人』

1934年発表 ヘンリ・メリヴェール卿1(通称H・M) 創元推理文庫発行 次作『白い僧院の殺人』 探偵役のH・M卿は、陸軍省情報部長を務め、風来や口調などからは、どこか破茶滅茶で型破りな人物に思えます。 また、デビュー作でありながら登場するタイミングは…

おしゃべり雀の殺人【感想】ダーウィン・L・ティーレット

発表年:1934年 作者:ダーウィン・L・ティーレット シリーズ:ノンシリーズ 本作、かなり異色のミステリだという噂は聴いていたのですが、そもそもティーレットという作家自体、国書刊行会の世界探偵小説全集の発行が無ければ知ることもなかったでしょう。…