ついに開幕しました。2022ワールドカップ・カタール
いつまで体力が持つかはわかりませんが、できるだけリアルタイムで、無理なら追いかけて全試合見ていきたいと思います。全出場国1試合ずつ見たうえで、優勝予想しましょうか。
グループA
カタール0-2エクアドル
カタールが目に見えて緊張しているのがわかりましたね。特にGKのシーブの動きが鈍かったです。アジアカップの最優秀GK賞受賞者でも、大舞台では本来の力が発揮できないのでしょうか。監督自ら修正点があると言っていた通り、一人ひとりのプレーが精彩を欠いており、本来のパスサッカーの形を作らせてもらえませんでした。
要因は先の緊張もあるのでしょうが、サポーターの応援、弱くないですか?まあエクアドルがすごすぎたのは置いておいて、カタールサポーターの声が極端に少なくて、まるでアウェーで戦っているかのような雰囲気があったように思えます。
もう一つは、フィールドにおけるリーダーの不在です。エクアドルは得点源として、また試合に臨む姿勢そのものでキャプテンシーとは何かを示したバレンシアが圧巻でした。膝が逆向きにぐにゃんってなってるのに後半出てきたのはさすがに痺れました。純粋にエクアドルが強いのか、と言えば少し違って、あまりにカタールが本来の動きができていなかったという要因はあると思うので、イランやイングランド相手に同じようにはいかないと思っています。
イラン2-6イングランド
GKビランヴァンドが鼻血噴いて退場したのが悪いと思います。というかめちゃくちゃ不運ですけど。カタール×エクアドルもそうでしたが改めてGKの重要性を痛感しました。
試合内容はもちろん得点差だけ見るとイングランドの圧勝ですし、イングランドにとっては控えで出てきたメンバーがしっかり得点に絡むなど、層の厚さとともに、今後の試合の糧にもなる大きな一戦でした。一方イランにとっても何点差で負けてもペナルティはないわけで、しっかり2点取れたこと、しかもエースのタレミによる2得点は十分今後につながる結果です。まあイングランドの守備が後半雑になっていたので取るべくして取った2点には違いありませんが、遊びでとれる点でもありません。特に1点目のPKはかっこよかったです。チームにもう一度火をつける一本でした。
個人的には1年以上も代表から遠ざかっていたイングランドのラッシュフォードの5点目がめちゃくちゃうれしかったです。サウスゲイト監督もめちゃくちゃ嬉しそうでしたもんね。
グループB
セネガル0-2オランダ
めちゃくちゃ面白い試合でした。これぞワールドカップ、というハイレベルな試合に興奮しました。どちらも守備の統率をとるプレイヤー、オランダのファン・ダイクとセネガルのクリバリが世界屈指の選手ということもあり、好機こそあれ、決定機に結びつかせない粘りを見せあいました。
流れが変わったのが、後半になって選手交代が活発化してから。双方にカンフル剤の投入が待ち望まれる中、入った選手同士のコンビネーションの歯車が徐々にかみ合ってきます。特にセネガルの攻撃陣は目に見えてシュートチャンスを掴むようになってきました。オランダ代表のGKノペルトは今試合が代表初キャップにもかかわらずスーパーセーブを連続。彼の活躍がなければ逆に3-0くらいで終わっていたかもしれません。
一方オランダは前半はピリッとせず後半に疲れが見えてきたDFアケが復活しだします。DF全員でのビルドアップの精度が高まった結果、デ・ヨングが落ち着いてボールを持つ時間も増えたような気がします。その結果があの柔らかいピンポイントクロスです。終始デ・ヨングは中盤の支配者でしたが、あの瞬間、あのパスは間違いなく点を取る質のそれでした。
全然試合は関係ありませんが、デ・ヨングがクヤテの股間を破壊したのはまじで可哀そうでした。優しい掌底っぽいのに柔拳でも使ったんでしょうか。
アメリカ1-1ウェールズ
想像以上にアメリカの動きがよく、開始早々ロングボールが何本も前線に通るなど、得点を予感させる立ち上がりでした。前半15分弱で2枚のイエローカードはどうかと思いましたが、アグレッシブな姿勢が、前半の多くのシュートにつながっています。
一方、ウェールズはベイルがさんざん裏への動きを試みるものの、味方の視野が狭く、淡白なパスワークが目立ちました。アメリカはタイラー・アダムスとプリシッチの動きがよく、精度の高いパスワークでウェールズのDFを翻弄、ウェアの先制点を演出します。
後半に入り、ジョンソンに代えムーアを投入しフォーメーションを4-4-2に変えてからウェールズの動きに活力が出てきます。ロングボールと2トップのボール交換を中心とした戦術から、縦にビルドアップしていく戦術に変えたからでしょうか、アメリカのディフェンシブサードでプレーする機会も増え、結果としてベイルのPKに繋がります。
グループ突破の主導権を握りたかったどちらにとっても「痛い」ドローとなったはずで、好試合を披露したセネガル・オランダとの直接対決で、今以上の力を発揮できるか注目です。
グループC
アルゼンチン1-2サウジアラビア
やっぱりジャイアントキリングは気持ちがいいです。というよりサウジの仕上がりがすごかった。直前に親善試合を何試合もこなし、順調にコンディションを上げてきた成果でしょうか。前半をPKの失点1に凌ぐ粘り強い守備から攻撃へのリズムが徐々に出来上がってくる感じが、シンプルに「強い」と感じさせました。ある程度ポゼッションをとられるという共通認識もできていて、攻守のスイッチの入れ替えがチーム全体で共有できているからこそ有効なカウンター攻撃を仕掛けられていたと思います。後半に入っての前がかりなフォーメーションから中盤の厚みを作った変更も功を奏しました。
一方でアルゼンチンは相手のオフサイドを誘発するサウジの守備網にうまくフィットできていなかった印象があります。メッシやディ・マリアの突破やパス精度は高く、何度も得点を予感させましたが、前半サウジが流れに乗れていない間にもう1点取れなかったところに敗因があります。
メキシコ0-0ポーランド
オチョア、シュチェスニーという両守護神がミスなくチームを牽引したこともあって、非常に良い試合になりました。特にレヴァンドフスキのPKを防いだオチョアはすごかったです。また、攻守両面で豊富な運動量を見せたロサーノやガジャルド、ベガといった選手たちの躍動はメキシコの強靭さを示すのには十分な内容でした。
一方でポーランドはジェリンスキやカミンスキ、ミリクといったストライカーたちが攻撃のバリエーションになりえなかったところにドローの要因があると思います。相手のファールを含むセットプレーこそ多かったものの、シュートチャンスはほとんどなく、シュチェスニーのスーパーセーブがなければ敗戦もありえました。今年のネーションズリーグから続いている得点力不足をどう解消していくかが今後のカギです。
グループD
デンマーク0-0チュニジア
同じスコアレスドローに終わったメキシコとポーランドと違いやや退屈になった今試合。要因はお互いの覇気のない攻撃でしょうか。前半は特にお互いにDFの穴がないか、スペースを見つけるために探りあっているような印象で、緩慢なロングボールを送りあう展開が続きます。デンマークとしては、単調な攻撃を伏線にどこかでテンポを上げたかった印象がありますが、起点となる英雄エリクセンの動きがぱっとせず。
強いて見どころをあげるとすれば全員が北斗の拳にでてきそうなチュニジアの屈強な戦士たち。まじでクリスタルキングをかけようかと思いました。威圧感あるDF陣はかなり機能していたと思うので、フランス相手にどこまで通用するかは楽しみです。
フランス4-1オーストラリア
まさかオーストラリア先制は驚かされましたが、フランスは焦ることなく、豊富なタレントたちに、思う存分自由なプレーをさせ、王者の余裕を感じさせる試合運びを見せてくれました。ベンゼマの欠場が決定的となり、今試合でもリュカ・エルナンデスがやばそうな負傷退場となった危機を、危機と感じさせない堂々たるプレーで圧倒する姿はさすがです。あえてオーストラリアにボールをもたせ、危険なエリアでプレスをかけてボールを奪取する姿勢は、まさに強者の試合運び。11人が思うがままイメージ通りに試合を展開させているのがよくわかりました。
一方オーストラリアはムーイを中心に堅実にビルドアップしたい意思は感じられましたが、フランスの的確なハントに意表を突かれ、まったく攻撃に繋がりを欠いていました。ここらへんは一朝一夕でどうにかなるもんじゃないので、苦しいところです。ただ、サイドからのロングボールで相手を崩すシーンは得点シーン以外にも何度か見られたので、多少カウンターをくらうリスクを背負ってもこの回数を増やすことしか勝ち筋はないのかもしれません。守備から攻撃につなげる重要性をあらためて痛感した試合です。
では!