『料理長が多すぎる』レックス・スタウト【感想】本当に料理長が多すぎる

1938年発表 ネロ・ウルフ5 平井イサク訳 ハヤカワ文庫発行 前作『赤い箱』 極度の外出嫌いの安楽椅子探偵ネロ・ウルフシリーズ第5作。冒頭から、ウルフとアーチーが列車に乗ってカノーワ・スパーなるリゾート地を目指していることがわかります。この列車内…

とりあえず頭の中がごちゃっとなってきたので整理整頓。 前回投稿した3/10以降のやつ。 3月中旬に人事内示が出る予定だったが出ず。 ソワソワして出勤したけど出ずイライラ。 成績評価はそれなりに良い評価点だったけど、全体順位で結果は出ず特別昇給や加算…

『船から消えた男』F.W.クロフツ【感想】フレンチ警部は幸運

1936年発表 フレンチ警部15 中山善之訳 創元推理文庫発行 原題「MAN OVERBORD!」とは、船乗りが船からの落水事故に際し発する定型句のようです。訳すと「誰か船から落ちたぞ!」といったところでしょうか。そして、これがタイトルということは、本書の事件の…

『指輪物語 旅の仲間下1・2』J.R.R.トールキン【感想】そして旅は過酷さを増して

1954年発表 瀬田貞二・田中明子訳 評論社文庫発行 前回のおさらい ホビット族の青年フロドは、誕生日におじ(実際にはいとこで養父)のビルボから魔法の指輪を譲り受ける。しかし、その魔法の指輪の正体は、「一つの指輪」と呼ばれる凄まじい力を秘めた指輪…

『血の収穫』ダシール・ハメット【感想】小柄で肥った中年男に憧れる

1929年発表 探偵コンチネンタル・オプ1 創元推理文庫発行 田口俊樹訳 本書は、ハードボイルド推理小説のスタイルを確立させたダシール・ハメットのデビュー作。 主人公はコンティネンタル探偵社の探偵“私”。作中では、彼の本名を含め年齢や経歴すら明かされ…

『クイーンの定員Ⅰ』エラリー・クイーン【感想】これであなたも一人前

本書を読んで、ようやく、一人前の海外ミステリファンになれた気がしています。『クイーンの定員』は、1845年以降に刊行された最も重要な短編推理小説106作が収められたアンソロジーです。編者は、海外ミステリ黄金期を代表する作家エラリー・クイーン。 そ…

大阪・天王寺界隈のオススメ絶品グルメをご紹介

大阪の観光地/繁華街と言えば、キタは梅田や福島、またミナミと呼ばれる難波(なんば)エリアが有名ですが、是非とも天王寺も忘れないでいただきたい。 天王寺は、『日本書紀』にも登場する四天王寺を始め歴史的な観光地を多く要し、関西国際空港からのアク…

『ニッポン樫鳥の謎』エラリー・クイーン【感想】成長する探偵

1937年発表 エラリー・クイーン11 創元推理文庫発行 井上勇訳 国名シリーズを脱却しながらも「読者への挑戦」を用意するなど、優等生だった『中途(途中)の家』に続く作品。前作でよっぽど抑圧されていたのか、本作は、解き放たれ道を踏み外した問題児のよ…

『死体は散歩する』クレイグ・ライス【感想】本そのものに酔う

1940年発表 弁護士J.J.マローン2 小鷹信光訳 創元推理文庫発行 感想は、読書メーターに投稿した短文を転載するのみで事足りるかもしれない。 1940年に発表された弁護士J.J.マローン第2作は、酔っ払いの酔っ払いによる酔っ払いのための推理小説。全編通して…

『ラヴクラフト全集1』H.P.ラヴクラフト【感想】怪奇小説の最高峰

1923~1931年発表 大西尹明訳 創元推理文庫発行 初ラヴクラフトです。いや、怖い怖い。今まで、ジョン・ディクスン・カーの怪奇趣味が詰まったミステリを読んでいたので耐性ができてるかと思いきや、ただぬるま湯に浸かっていただけのようです。 感想を書く…

2019年読了ミステリベストテン

2019年も一年間ありがとうございました。今年はブログ活動もかなり失速してしまい、12月31日現在まだ感想書きが20冊も溜まっています。こんな現状でまとめるのもどうかと思うのですが、とりあえず今年読んだ50冊の中からベスト10を発表しておきます。 2019年…

M-1グランプリ2019総評

今年もこの季節がやってきましたね。今年は例年にも増して外野が五月蠅かった傾向があるので、その五月蠅さに負けないように当ブログも厚かましく、そしてやかましく審査員の一人になったつもりで総評を書いてみます。 まぁ、これでもかと勝手なこと言います…

『ニュー・イン三十一番の謎』オースティン・フリーマン【感想】幻のソーンダイク博士第一長編

1912年発表 ソーンダイク博士3 福森典子訳 論創海外ミステリ発行 タイトルで「第一長編」としたのには理由があるが、その理由については、定期的に購読している、渕上氏による海外クラシック・ミステリ探訪記の該当記事「31 New Innはソーンダイク博士の初登…

『ヴォスパー号の喪失(遭難)』F.W.クロフツ【感想】地道さが奏功したりしなかったり

1936年発表 フレンチ警部14 訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ発行 本書はフレンチ警部シリーズの中でも、かなり入手難易度の高い一冊。早川書房によってポケミス版(昭和32年)と文庫版(昭和56年)で発行されて以来復刊も無く、特に文庫版はAmazonのマケプ…

『ドイル傑作集Ⅰ/ミステリー編』アーサー・コナン・ドイル【感想】ドイル流面白さの凝縮版

1888年~1921年 ノンシリーズ短編集(日本独自) 延原謙訳 新潮文庫発行 本書解説で訳者の延原謙氏が述べておられるとおり、世間一般ではアーサー・コナン・ドイルといえばシャーロック・ホームズ、という印象が強いと思われるし、シャーロック・ホームズを…