2017-01-01から1年間の記事一覧

ミステリについて

そもそもミステリとはなんだろうか?個人的には、呼称に拘りは無い。フィクションのジャンルの一つとして言えば、別に推理小説でも探偵小説でも良いのだ。

悪党は殺人者か独裁者か【感想】アガサ・クリスティ『死との約束』

発表年:1938年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ16 前年に発表された傑作長編『ナイルに死す』の影に隠れてしまってはいますが、本作だって負けてはいません。 まずは 粗あらすじ エルサレムに滞在中のポワロが耳にしたのは、殺害…

よく読まれているミステリ感想記事10選【2017年第一四半期】

よく読まれているっつっても大したことないんですけどねー…

当ブログ【僕の猫舎】についての自己省察

最近、ブログ運営について書かれた記事をよく目にします。というか、自分から探しているのかもしれません。少しずつ自分の中の承認欲求が増殖してきたからでしょうか。どうすればたくさんの人に読んでもらえるのか、なんて分不相応なことを考えてしまいます。

実写版『美女と野獣』が私の涙腺をぶっ壊した4つの理由【感想】

引用:©Disney 感動レベルで言うと4.5ですからね。 公開初日に行ってまいりました。最初は、アクションシーンが激しそうな『キングコング』か『パッセンジャー』にしようかと思ったのですが、時間が合わなくて急きょ変更したのが大成功。過去のディズニー映画…

就寝前のお楽しみ【感想】パーシヴァル・ワイルド『悪党どものお楽しみ』

各話感想 ビル・パームリーという男 発表年:1929年 作者:パーシヴァル・ワイルド シリーズ:ノン・シリーズ 短編推理小説ベストを塗り替えたかもしれませんなー。 本作の感想を書く前に少し語らせていただきます。そもそも、私が短編推理小説と長編推理小…

クリスティ自画自賛の雄編【感想】アガサ・クリスティ『ナイルに死す』

発表年:1937年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ この作品の中心になるトリックは興味深いものだろうと私は考えています。 筋も非常に念いりにつくりました。 “外国旅行物”の中で最もいい作品の一つと考えています。 主要人物たち…

ミステリファン必読の名作【感想】パーシヴァル・ワイルド『検死審問-インクエスト-』

発表年:1938年 作者:パーシヴァル・ワイルド シリーズ:リー・スローカム検死官2 さてさて、ようやく読むことができました。 本作は、江戸川乱歩が1935年以降のベストテンにランクインさせていたり、ミステリ嫌いのレイモンド・チャンドラーが絶賛していた…

貴族探偵ピーター・ウィムジィ卿に寄せて

引用:創元推理文庫『ピーター卿の事件簿』 頁321

シャーロキアンになる気持ちがよくわかる【感想】アーサー・コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの事件簿』

発表年:1927年 作者:アーサー・コナン・ドイル シリーズ:シャーロック・ホームズ5 いつも通り、新潮文庫の延原版を読んだため、『隠居絵具師』と『ショスコム荘』はページ数の都合上割愛されています。いつか『~叡智』を読んだ後に感想を書こうと思いま…

全国の、大人になりきれない悪ガキどもに捧げるSUM41

今回は少し趣向を変えて、おすすめの音楽を紹介してみようと思います。

珍味ミステリ現る【感想】ジョン・ディクスン・カー『髑髏城』

発表年:1931年 作者:ジョン・ディクスン・カー シリーズ:アンリ・バンコラン3 先に粗あらすじ 《謎探偵の推理過程》 本当に勝手ですが、自分の中で本作は、病みつき系珍味ミステリに分類されました。 というのも、初めの数章は、髑髏を模した城【髑髏城】…

さらばヘイスティングズまた会う日まで【感想】アガサ・クリスティ『もの言えぬ証人』

粗あらすじ 《謎探偵の推理過程》 発表年:1937年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ14 ヘイスティングズ大尉は、エルキュール・ポワロを語るうえで、絶対に欠かせない登場人物です。もちろん、ポワロシリーズにおける、ワトスン役と…

古今無類の貴族探偵、華々しく退場【感想】『忙しい蜜月旅行』ドロシー・L・セイヤーズ

発表年:1937年 作者:ドロシー・L・セイヤーズ シリーズ:ピーター・ウィムジィ卿11 ついに完結してしまった。悲しい。 本格的にミステリを読み始めて1年半、貴族探偵ピーター・ウィムジィ卿シリーズ第1作『誰の死体?』を読んでから約1年、ついにシリー…

セイヤーズとクリスティのイイとこ取り【感想】E.C.R.ロラック『鐘楼の蝙蝠』

発表年:1937年 作者:E.C.R.ロラック シリーズ:ロバート・マクドナルド12 いやぁ好きです、こういうミステリ。 本作が初ロラックだったのですが、大満足でした。 まずは 粗あらすじ デビューから数作以来、鳴かず飛ばずの作家ブルースは、謎の人物ドブレッ…

ゲイリー・オールドマン出演おすすめ映画2選【ネタバレあり】

ゲイリー・オールドマンといえば、ハリウッド屈指の演技派俳優です。また、同業者の中でも、好きな俳優にゲイリー・オールドマンの名を挙げる俳優は少なくありません。 引用:https://goo.gl/kbwZZa

死の猟犬よ、おまえは何が言いたいのだ【感想】アガサ・クリスティ『死の猟犬』

死の猟犬よ、おまえは何が言いたいのだ 各話感想 私はこれが言いたかった 発表年:1933年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ノンシリーズ 本作は怪奇幻想がテーマの推理短編小説である。 こう聞くとさらりと頭に入ってきます。 そうか、そういえばクリス…

推理小説の始祖ポー説に控え目に切り込んでみる

最近推理小説の歴史に関する記事をいくつか目にし、改めて推理小説誕生に関連する歴史そのものに興味が出てきました。

推理小説界の伝説たちが愛した名作【感想】『エンジェル家の殺人』ロジャー・スカーレット

発表年:1932年 作者:ロジャー・スカーレット シリーズ:ノートン・ケイン警部4 本作は日本を代表する推理小説作家、江戸川乱歩自身が「私の一番好きな書き方」と言うほどの作品です。 さらに今ちょうど挑戦中の横溝正史『本陣殺人事件』にも本作の記述があ…

ユーモアミステリとは言い切れない毒気の強い一作【感想】『伯母殺人事件』リチャード・ハル

発表年:1935年 作者:リチャード・ハル シリーズ:ノンシリーズ 本作は三大倒叙作品とも呼ばれ、知名度もかなり高い作品です。 前回読んだリチャード・ハルの作品『他言は無用』も、中々手の込んだ構成で書かれた秀逸な作品だっただけに期待が持てます。 ts…

センスの無さに泣けてくる。涙雨(笑)

ちょっと前のことですが、mixiの日記について書いた投稿を覚えておいででしょうか。

笑いをミスディレクションに活かした稀有なミステリ【感想】『盲目の理髪師』ジョン・ディクスン・カー

発表年:1934年 作者:ジョン・ディクスン・カー シリーズ:ギデオン・フェル博士4 巨匠カーの作品中、もっともファルスの味が濃いとされる これは本書の裏表紙や中表紙に書かれた紹介文の抜粋です。 実は私自身今一つファルスという意味を掴みきれていない…

原題も邦題もどちらもセンスがある作品【感想】モーリス・ルブラン『奇岩城』

発表年:1909年 作者:モーリス・ルブラン シリーズ:アルセーヌ・ルパン4 本作はルパンシリーズの中でも屈指の知名度を誇る作品の一つに違いありません。 今までシリーズを読んだことがない私でも、『813』や本作『奇岩城』はどこかで聞いたことがあるタイ…

フェアプレイに徹し過ぎるのも考え物【感想】『警察官よ汝を守れ』ヘンリー・ウェイド

発表年:1934年 作者:ヘンリー・ウェイド シリーズ:プール警部3 ヘンリー・ウェイドの作品に挑戦するのはこれが2作目です。 前回は同じ世界探偵小説全集で出された『塩沢地の霧』で、こちらは作者による巧みな登場人物の心理描写がトリックに直結している…

役所広司と言いたくて

ごめんなさい。 ほんとにどうでもいい事があったので、忘れないうちに書きます。どうでもいいのに。 会社の同僚が一人暮らしを始めるらしく、区役所に転出入の手続に行くという報告を受けた。 別にへぇ~ってくらいだし「気を付けてね」くらいしか会話を交わ…

全く文句はないけどアンクはある【感想】『エジプト十字架の謎』エラリー・クイーン

発表年:1932年 作者:エラリー・クイーン シリーズ:エラリー・クイーン5 個人的にエラリー・クイーンのミステリは、初期からハリウッド的(単純に映画向け)な作品が多いような気がします。 何らかのサプライズが必ず有り、そこに喜劇・ロマンス・サスペン…

『ドクター・ストレンジ』【ネタバレ感想】アクションとSFとコメディが見事に融合しないマーベル作品

ちょっとねぇコレは残念でした。 引用:2016 Marvel

クリスティ先生処方の精神安定剤【感想】ー『リスタデール卿の謎』アガサ・クリスティ

発表年:1934年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ノンシリーズ 本作は実に多彩な短編集です。 解説では、本作は三つのタイプに分類できる、と書かれていました。 そこで私もそのタイプを参考に座標図を作り、どんな傾向の作品が多いか分析してみました。…

シリーズ2作目の呪いは存在する【感想】F.W.クロフツ『フレンチ警部とチェインの謎』

発表年:1926年 作者:F.W.クロフツ シリーズ:フレンチ警部2 シリーズものの第2作目というのは、それが映画にせよ本にせよ、かなり重要な作品になると言っていいと思うのです。 特にクロフツのようにそれまでノンシリーズの長編ミステリを書き続けていた作…

ブラウン神父の秘密【感想】G.K.チェスタトン

発表年:1927年 作者:G.K.チェスタトン シリーズ:ブラウン神父4 『童心』『知恵』『不信』に次ぐ第4作目『ブラウン神父の秘密』ですが、シリーズ作品の中では唯一、プロローグとエピローグという形で書かれています。 プロローグである「ブラウン神父の秘…