私のミステリ遍歴

ひょんなことから、ある団体から「ぼくねこさんのミステリ遍歴を教えてください」と頼まれたいなあと思って書きました。 小学校1年生の時に親が離婚した。母は私を育てるため昼はトラックの運転、夜は新聞配達と働き通し、私は何の予告も無しに一人になった…

『きまぐれロボット』星新一【感想】子どもにも読ませたい

1966年発表 角川文庫発行 収録作 部門別ベスト3 ロマン部門 SF部門 ホラー部門 ユーモア部門 フラッと立ち寄った古本屋で見つけた一作。そういえば子どものころ理論社発行の絵本版『きまぐれロボット』にどっぷりハマっていたっけ。だからか今でもタイトル…

刑事コロンボ感想【♯1~♯5】

突然始まりました、刑事コロンボの感想記事。ミステリ好きなら外せないシリーズです。 最近、三谷幸喜氏脚本の名ドラマ古畑任三郎シリーズのリメイクの噂が出ましたけど、本作がモデルになってるわけで、やっぱり見とかないといけません。数年前に見た作品も…

『ウィッチフォード毒殺事件』アントニー・バークリー【感想】犯罪学の試みが大成功

1926年発表 ロジャー・シェリンガム2 藤村裕美訳 晶文社発行 前作『レイトン・コートの謎』 次作『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』 アントニー・バークリーが創造した名探偵ロジャー・シェリンガムシリーズ第2作です。シリーズ第1作『レイトン・コ…

『読者よ欺かるるなかれ』カーター・ディクスン【感想】語彙力崩壊級の問題作

1939年発表 ヘンリー・メリヴェール卿9 宇野利泰訳 ハヤカワ文庫発行 前作『五つの箱の死』 次作『かくして殺人へ』 ネタバレなし感想 めちゃくちゃカッコいいですよねタイトル。響きも良い。「るる」の部分が特に最高です。でもオシャレなタイトルと違って…

『月長石』ウィルキー・コリンズ【感想】安心してください、めっちゃ面白いですよ

1868年発表 中村能三訳 創元推理文庫発行 衝撃的で視覚に訴える殺人事件や目を瞠るトリック、秀逸かつ説得力のある動機、予想を覆す意外な犯人。これらは推理小説にとって必要不可欠なものと言われています。一方で登場人物のリアリティやユーモア描写は付加…

『春にして君を離れ』アガサ・クリスティ【感想】バイブルにしたい必読書

1944年発表 ノンシリーズ 中村妙子訳 ハヤカワ文庫発行 すごいすごいとは聞いていましたアガサ・クリスティ(メアリ・ウェストマコット名義)『春にして君を離れ』は確かにすごかった。 クリスティ自身が自伝の中で「自分で完全に満足いく一つの小説を書いた…

『五つの箱の死』カーター・ディクスン【感想】牛乳パズルみたい

1938年発表 ヘンリー・メリヴェール卿8 西田政治訳 ハヤカワポケットミステリー発行 前作『ユダの窓』 次作『読者よ欺かるるなかれ』 テーブルを囲む4人の男女。3人が苦しみ、1人は死んでいる。衆人環視の中盛られた毒、血の滴る仕込みナイフ、忽然と消…

『悪魔の報復(報酬)』エラリー・クイーン【感想】クイーンも人の子

1938年発表 エラリー・クイーン12 青田勝訳 創元推理文庫発行 前作『ニッポン樫鳥の謎』 本書は、国名シリーズとライツヴィルものの間にある「ハリウッドシリーズ」のひとつ。前作『ニッポン樫鳥の謎(The Door Between)』前々作『途中の家(中途の家)』と…

『ストレンジャー・シングス』がめちゃ面白かったので今更だが布教したい【ネタバレなし感想】

新型コロナウイルスによる自粛期間中にNetflixに加入した。お目当てはクリス・ヘムズワース主演、サム・ハーグレイブ監督で4月24日に公開した『タイラー・レイク』 『タイラー・レイク』は、Netflixの1か月の視聴世帯最高数を公開からわずか1週間で塗り替…

『鍵のない家』E.D.ビガーズ【感想】ハワイ行きたい

1925年発表 チャーリー・チャン警部1 林たみお訳 論創社発行(論創海外ミステリ128) アール・デア・ビガーズという男 E.D.ビガーズは、1884年アメリカ・オハイオ州生まれ。地方新聞の編集者や劇作家として働き、数々の成功を収めました。 彼の名を一躍有名…

『金三角』モーリス・ルブラン【感想】戦時中の残酷さが現れた一作

1917年発表 アルセーヌ・ルパン7 石川湧訳 創元推理文庫発行 前作『オルヌカン城の謎』 前作『オルヌカン城の謎』に続く「第一次世界大戦シリーズ」とも呼べる作品群の2作目。『オルヌカン城の謎』では副次的な登場だったアルセーヌ・ルパンだが、本書では…

『屍人荘の殺人』今村昌弘【感想】海外古典ミステリ好きとしては巧すぎて悔しい

2017年発表 剣崎比留子1 創元推理文庫発行 驚異の新人による衝撃のデビュー作という触れ込みで世間を席捲し、年末に発表されるミステリの主要なランキングを総なめ、2019年には神木隆之介・浜辺美波・中村倫也ら主演で映画化もされた超話題作。昨年の映画公…

『北壁の死闘』ボブ・ラングレー【感想】ミステリ愛好家にもオススメ

1980年発表 ノンシリーズ 梅津正彦訳 創元推理文庫発行 冒険小説の巨匠ボブ・ラングレーによる山岳冒険小説の超傑作。読んでみようと思ったきっかけは、ご存じ「海外ミステリ・レビュー」 本作のレビューこそ無いが(むしろ無いのに)、冒険小説のレビュー内…

『毒のたわむれ』ジョン・ディクスン・カー【感想】カー初期にしかない勢いがある

1932年発表 ノンシリーズ(パット・ロシター) 村崎敏郎訳 ハヤカワポケットミステリ 前作『緑のカプセルの謎』 カーのノンシリーズものは久々です。探偵は、ギデオン・フェル博士やヘンリー・メリヴェール卿に先んじて登場するパット・ロシター青年。語り手…