ありきたり、を逆手に取った名作【感想】アガサ・クリスティ『書斎の死体』

1942年発表 ミス・マープル2 山本やよい訳 ハヤカワ文庫発行 前作『牧師館の殺人』 次作『動く指』 半年ぶりのクリスティはミス・マープルの第二作。 マープルものの一作目『牧師館の殺人』を読んだのが3年以上も前なので、作品に馴染めるかどうか少々不安…

『アントマン&ワスプ』【映画ネタバレ感想】男女の強い絆を描く良質なエンタメ作品

引用:2018 Marvel 公開から2週間立ちましたけど、TOHOシネマズなんば14時の席は全席完売でした。 やっぱり『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』後に公開されたMCUシリーズ一発目というのが良かったんじゃないかと思います。 「アントマン&ワスプ」…

サスペンス小説の匠による名作【感想】コーネル・ウールリッチ『黒衣の花嫁』

発表年:1940年 作者:ウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ) シリーズ:ノンシリーズ 訳者:稲葉明雄 初アイリッシュです。いや初ウールリッチと言ったほうが良いのか…彼と同じように別名義のあるミステリ作家と言えばエラリー・クイーン(バ…

全章フルスロットル【感想】レックス・スタウト『赤い箱』

発表年:1937年 作者:レックス・スタウト シリーズ:ネロ・ウルフ4 訳者:佐倉潤吾 レックス・スタウト、毎回毎回超えてきますねえ。どんどん面白さが跳ね上がってます。 この記事を『毒蛇』の感想を書いた当時の自分に見せてやりたい。 間違いない、そのま…

500ページもいるかな【感想】ジョン・ディクスン・カー『アラビアンナイトの殺人』

発表年:1936年 作者:J.D.カー シリーズ:ギデオン・フェル博士7 訳者:宇野利泰 まずは 粗あらすじ フェル博士の自室に集まった三人の警察官が語るのは、ロンドンの博物館で起こった奇怪な事件の物語。数種のつけ髭と、石炭の粉舞う異様な博物館で起こった…

きゅうきょくのおうちカレーの作り方

カレーが大好きである。 もうめちゃくちゃ好きだ。 毎日カレーでいい。 ただカレーは脂質が多い。カレー1食には、成人男性が1日に必要なエネルギーの約半数の脂質が入っているらしい。 ようするに、毎日食べているとめちゃくちゃ太る。 今では、月に2・3…

狂人探し【感想】G.K.チェスタトン『詩人と狂人たち』

発表年:1929年 作者:G.K.チェスタトン シリーズ:ノンシリーズ 訳者:南條竹則 定期的にチェスタトンを摂取したくなるのなんなんでしょうか。耐性がないと(慣れないと)読みにくい逆説だらけの構成がどこかクセになっているのかもしれません。 衒学的とい…

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』【ネタバレなし感想】疲労感の溜まる映画

引用:2018 PARAMOUNT PICTURES. ほんと疲れました。 映画館から出て、痛む頭を抱え、重い足取りで家へ帰宅。その後二日間疲労感は消えませんでした。もちろん映画のせいではありません。映画の後飲み過ぎました。 とはいえマジで疲れたのも事実。今日はそん…

付録:倒叙寸評【感想】F.W.クロフツ『クロイドン発12時30分』

発表年:1934年 作者:F.W.クロフツ シリーズ:フレンチ警部11 訳者:加賀山卓朗 本書の読了を持って三大倒叙ミステリをすべて読破したわけですが、どうもノってこない一作。 「倒叙」とはいえ、まず最初に殺人が描かれるってのは『殺意』や『叔母殺人事件』…

歴史のお勉強【感想】ジョン・ディクスン・カー『エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件』

発表年:1936年 作者:ジョン・ディクスン・カー シリーズ:歴史ミステリ 訳者:岡照雄 歴史ミステリにチャンレンジするのは、ポール・ドハティー『毒杯の囀り』に続いて僅か2回目。しかも今回は同じ歴史ミステリでもちと違います。 『毒杯の囀り』は1377年…

シャーロック・ホームズ短編ベスト10【海外ミステリ読了200冊記念】

特定の作家、特定の作品のベスト10系の記事を書くのが初めてなので、だいぶと気合が入っております。 今年の3月にめでたくシャーロック・ホームズ全作を読破し、その時短編ベスト10を決めてみようとは思っていました。 折よく、2015年からハマった海外ミス…

ソフトボイルドがいい塩梅【感想】E.S.ガードナー『ビロードの爪』

発表年:1933年 作者:E.S.ガードナー シリーズ:弁護士ペリー・メイスン1 訳者:小西宏 粗あらすじ 《謎探偵の推理過程》 弁護士ペリー・メイスンといえば、ミステリ界においても屈指の長寿シリーズです。 40年にもわたり計82もの長編に登場するペリー・メ…

ファンタジー世界への憧憬の原点【感想】J・J・R・トールキン『指輪物語/旅の仲間 上1・2』

長々と自分の偏愛ぶりを語る必要はありません。 自分がファンタジーに求めているものすべてが詰まった作品、ファンタジーというジャンルに感じる強い憧憬の原点となっている作品、何度見ても胸が高鳴り体が熱くなる作品、それが『指輪物語』です。 映画は毎…

生産性より弱産性【メリット】

見るからに出オチ感満載のスタートをきったわけですが、やっぱ流行にはノッていくスタイルでお送りしている当ブログですから、触れないわけにはいけません。 ※ちなみに今回一番の問題になっている差別事案にはほとんど触れていません。あしからず。 いけいけ…

着想の限界か【感想】S・S・ヴァン・ダイン『ケンネル殺人事件』

発表年:1933年 作者:S・S=ヴァン・ダイン シリーズ:ファイロ・ヴァンス6 訳者:井上勇 エラリー・クイーンに多大な影響を与えたとされる、ヴァン・ダインですが、その有名な名前に反して、作品の評価はあまり高くないように思えます。 どうしても、ちょ…