引用:2018 PARAMOUNT PICTURES.
ほんと疲れました。
映画館から出て、痛む頭を抱え、重い足取りで家へ帰宅。その後二日間疲労感は消えませんでした。もちろん映画のせいではありません。映画の後飲み過ぎました。
とはいえマジで疲れたのも事実。今日はそんな疲労ポイントに着目して感想を書いていきたいと思います。
※以後前半は本作のストーリーに関するネタバレは極力避けるつもりですが、念のため未鑑賞の方は鑑賞後ご覧になることをお勧めします。
ざっくりすぎでゴメンナサイなんですが、
この手のスパイ映画って、基本強大な敵がいて、しかも敵の正体は不明で、敵の目的は核による大量破壊なわけですよ。それを諜報機関に属する主人公がハイテクマシンを駆使しながら、またチームと協力したり裏切られたりしながら、敵を追い詰めていきます。道中では到底敵わないような筋骨隆々の刺客がいるけど、たいてい高いトコロから落ちたり、機械に挟まったりして死にます。ラスボスとはギリギリの戦いになりますが、もちろん機転を利かして主人公が勝利。最後は美女とキスしてバカンスです。
多くのスパイ映画ってのは、大なり小なり上述のような大筋を辿るはずです。そんな毎回ほぼ同じ内容なのに、毎回見たくなっちゃうの、なんなんでしょうか。
ミッションインポッシブル(以下M:I)シリーズだってやっぱり、毎回ほぼ同じ路線で進むにも関わらず、公開が近づくと体がむずむずしてくる。居ても立っても居られなくなる。
もう中毒と言ってもいいと思います。で、ようやく映画館でトムを注入したはいいんですが、過剰摂取(オーバードーズ)です。脳が過熱(オーバーヒート)して処理しきれない。
なんだこれは、何をやっているんだ。どう楽しんだらいいのだ。この記事書いている現段階でさえまだ処理しきれていません。
自分の好きなアクション
個人的に楽しめるアクションは、荒唐無稽なもの。ガチンコで殴り合うかどうか、だけじゃく、アクションの合間に見せてくれるユーモラスな演技(演出)があるかどうか。
例えばジャッキー・チェンの映画では、アクションの合間に、ジャッキーが熱いものを持って手をフーフーしたり、敵が変な体勢で吹っ飛んだり、ズボンが降ろされたり…ほら、なんかの映画でジャッキーが脚立で戦うやつありませんでしたっけ?
とにかくやってることはガチ(リアル)で命懸けなんですけど、明らかにおかしいところが満載、だからこそ純粋に楽しめる。
なので、本作のあのU字パイプを使ったアクションとかは大好物です。明らかにジャッキー系だよなあ…
ジャッキーといえば、しーまん様のブログ記事が秀逸です。ぜひご覧ください。「ジャッキーといえば」というか、該当記事を見なきゃジャッキーのことなんて思い浮かびませんでしたよ。
一方で、前述のシーンを除くほか全てには、トム自ら体を張って(命を懸けて)挑んだリアルすぎるアクションの数々に、ハラハラドキドキを通り越して、ただただ疲労が蓄積する2時間半でした。
実際に骨が折れてるのに足を引きずりながら立ち上ったり、ヘリが錐もみしたり、車スレスレのバイクチェイスをしちゃったり、もうね気が気じゃない。
映画はすでに撮り終えてて、来日もして無事なのは知っているのにもかかわらず、一歩間違えば命を失いかねないアクションを2時間半見続ける精神力が自分にはありませんでした。
とはいえ、これ好きだなってシーンも多々あります。
特に前半のジョン・ラーク(?)、イーサン、ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)の三つ巴のシーン。ウォーカーのボクシングスタイルの戦い方が大好きです。握りしめた拳をフンッフンするあのシーンが荒々しくて最高でした。
ストーリー上のモヤモヤ【ネタバレあり】
※基本的にはストーリーへのツッコミは不必要だとは思っていますが、どうしても気になっちゃう点のみ言及します。
イーサン・ハントの顔バレはしないの?
これは作を追うごとにどんどん気になってくる点。これまで幾度も世界を救い、憎きテロリストたちを葬ってきたイーサンですが、悪党どもの情報網はどんだけ貧弱なんでしょうか。
この顔はヤベーぞ、おめえIMFのイーサンってスパイだな、となぜならないのか。
簡単にプルトニウム取引の現場に現れたり、仲介屋にも堂々面通しできたり、影の存在なはずなのに、常連感が半端ない。
同じスパイ映画の007シリーズは、〇代目007となって中の人が変わるので違和感がないんですが、6作も世界を救っちゃうとどうしてもイーサンの顔バレが気になっちゃいます。
HALOジャンプの必要性がない
もうまんまです。パリのグラン・パレ(展覧会場)に行く方法なんていくらでもありそうなもんですが、ここは多くのレビュアーが指摘していることなので、もう一歩踏み込みます。
雷雲、いりました?
ウォーカーが雷に打たれ気絶し、イーサンが必死に救助したけど、着いてみればウォーカーはピンピンしていて、なんかイーサンがバカにされる。
このくだり、そこまでユーモアとして見ても効果的じゃないし、むしろCGの雷雲がすっごく邪魔です。
なんかトムの必死のジャンプ(100回越え)を台無しにした感もあって、メイキングとかどうなってるんだろうと逆に興味が沸きました。
ウォーカーがVIP室に入れたのはなんで?
イーサンはジョン・ラークの代理人(替え玉)っぽい人のリストバンドを手に入れてVIPルームへと潜入したんですが、ウォーカーはどうやって入ったのか描写ありましたっけ?
別に同じ方法(誰かから盗んだ)なら別に構わないんですが、描写しない点にどうも作為的な臭いがします。
あらかじめVIP室に入る術を用意していた=ジョン・ラークはウォーカー、みたいな結末まで勘ぐってしまうのは仕方ないかもしれません。
ハイテクマシンがない
これは良い点。むしろM:I見てるわあ、となる部分です。
よくよく思い返すと、過去作でも、イーサン自らスパイ道具をご所望しているシーンはあまりありません。あるから使っているレベル。
ベンジー(サイモン・ペッグ)がレギュラー化してからは、基本的に彼がハイテク製品を持ち出して、それをイーサンが作戦に組み込むみたいな流れが多かった気がします。
ビル登り手袋だって、イーサンは懐疑的で、結局バッテリー切れで最後は力業でした。
つまり、M:Iは、
こんなスパイ道具あるぞ→よし、怪しいけどやってみよう!→あれ、バレちゃった→こうなったらイーサンの判断力と行動力を信じるしかない!
このパターンが大好き。
そして、僕もみんなも大好き。
それでもやっぱり、『ゴースト・プロトコル』の、瞬きで写真を撮って印刷できるコンタクトレンズのアイデアなんか抜群だったと思います。
全くスパイ道具を使わなくてもいいんですが、アイデアの欠片くらいは見して欲しかったってのは望みすぎでしょうか。
今思い出しましたけど、マスクを作る機械が小型化してましたね。ゴムを削るタイプじゃなくて3Dプリンタっぽくなってました。
一方で発信機によるナビゲーションがポンコツ化してます。ベンジーがどうとかじゃなく、なんで高さの認識すらできないんだよ。カーナビでもちょっと動いたらちゃんと高速に乗ってくれるわ。
でもあのシーンは直線だから良かったんですよね。直線で突っ切ったからウォーカーにギリギリ追い付けたわけで、そのおかげもあって妻ジュリア(ミシェル・モナハン)に危機が迫っていることを知り、決死の覚悟で敵を倒さなければいけないとイーサンが確信する重要なプロセスになっています。
おわりに
なんだかんだまとまりのない感想ですが、アクション映画としては、ある意味頂点を極めたと言っていい映画です。
魅力抜群のカリスマ俳優が、自ら命を懸けて取り組んだ本物のアクション映画、というだけで見ない理由はなくなります。
一方ですっごく疲れます。アクションの合間に見られるのは、はじけるようなトムスマイル…ではなく、アクションシーンに絶対必要な安全確認の数々です。
トムがどれほど集中して撮影したか、どれほどこの映画に注力したか、感じ取ろうとするだけで疲労感は溜まります。
おわりのおわりに
鑑賞後一番に感じたこと、いや疲労感の次に生じた感情。それは、いっぱしのアクション映画好きとして、この映画の魅力を伝えなきゃいけない、という使命感でした。
残念なことに、この世界にはアクション映画を愛する一派だけでなく、全く露ほどもアクション映画に興味のない勢力が存在しています。
そうです嫁です。
家に帰って、トムがどれだけ凄いか、どんな白眉のアクションがあったか、力説したのですが。
「なんで?(トムはそんなことするの)」
ですからねえ。
……大丈夫ですよちゃんとキツく言っておきましたから。
ねえ…なんでなんだろう。
では。