引用:2018 Marvel
公開から2週間立ちましたけど、TOHOシネマズなんば14時の席は全席完売でした。
やっぱり『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』後に公開されたMCUシリーズ一発目というのが良かったんじゃないかと思います。
結論から言って、今までのMCU作品の中でも一番平和な作品でした。難解な設定もほとんどないため、小さいお子さんがいらっしゃる親御さんも安心して見せることができます。※量子世界については…深く考えないこと。
前作『アントマン』も同様に平和なので、ぜひ家族で鑑賞したいシリーズです。
あとは優しい映画ですよねえ
誰も死なないし、血も出ない。
前作のあらすじを冒頭で簡単に紹介してくれるのも観客に優しいですし、登場人物全員が救われる(希望がある)のもつくづく配慮が行き届いてるなあと感心します。
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今回、あまりツッコむところが無くて、書くこともあんまないんですよねえ…
物語の設定にもあんまり齟齬が無いし、ファミリー向けのエンタメ作品として満点なので、あえて気になったところを指摘するのが無粋な気もします。
ということで、今回は本作で「やるな」と思った一点のみ言及します。
信頼し合う3組の男女
本作では全体を通して信頼し合う男女を軸に物語が展開していたように感じました。だからこそ、ギャグ満載のシーン過多でも、一本筋の通った強いまとまりが本作の満足感に繋がっているのではないでしょうか。
スコット&ホープ
ひと組は言うまでもなく主人公スコット/アントマン(ポール・ラッド)と、本作でめでたく専用スーツを着ることになったホープ/ワスプ(エヴァンジェリン・リリー)の二人。
作中では前作から2年以上経っていることになっており、“アベンジャーズ”の内紛に関与したせいで、ホープやピム博士/初代アントマン(マイケル・ダグラス)とは仲たがいしています。
せっかく前作で培われた信頼関係がパアになっているのが本作の入り口。
それが、3人で同じ目標を目指し協力する中で、再び固い絆で結びついたパートナーとしての信頼関係を取り戻す過程が、本作の太い骨格になっています。
一方で、ホープが母ジャネット(ミシェル・ファイファー)を救うため一時的に手を組んでいた武器ディーラーのソニー(ウォルトン・ゴギンズ)とは“ビジネスパートナー”という形になっており、スコットとの対比にもなっています。
というか、MCU内での本格的なロマンスってアイアンマン以外あんま無かったのでちょっと嬉しかったり。原作ではヒーロー同士の結婚が当たり前なのに、MCU内ではけっこう控えめです。
ハンク・ピム&ジャネット
スコットとホープが2代目アントマン&ワスプなら、初代アントマン&ワスプがピム夫妻です。30年前の任務の際、世界を救うために量子世界へと飛び込み消息を絶ったジャネットを救うため、ピム博士が長年量子世界について研究していたのは前作でも紹介されていました。それが、スコットの登場と量子世界からの帰還という進展を経て、ジャネットの救出が現実味が帯びてくる、という展開がかなりアツいです。なので本作は『アントマン2』というよりか、『アントマン上・下』という感じ。2部作としてかなり優秀だと思っています。
そして30年の時を経て色あせない夫婦愛ってのもまたオツなもんがあります。
正直、スコットにジャネットが憑依した抱腹絶倒のシーンなんか、よくもまあ髭面のおっさんがジャネットだと信じられるなと思いますよ。これぞ愛のなせる業。
ゴースト&フォスター博士
作中ずっと真の黒幕っぽくなかったですか?フォスター博士(ローレンス・フィッシュバーン)。まさか本当に良い人だったとは。正直、本作のラスボスのインパクトが弱いってのがマイナスポイントだとよく聞きますが、これもまたミスディレクション(観客の注意をそらす手法)だったのかもしれません。
まず間違いなく、ゴースト(ハナ・ジョン=カーメン)の親玉っぽい感じでフォスターが登場したときは、「あっこいつマッドサイエンティストだな」と思いましたからね。「完全にピム博士を恨んでんな」と確信しました。
しかし、ゴーストがスコットの娘を人質にとる作戦を実行しようとしたときは、頑としてそれを許しませんでした。人として踏み外してはいけない道に踏み入ろうとするゴーストを力強く諭します。これは変則的ではありますが、紛れもない親子の形です。
ラストシーンを見る限り、ゴーストは完治したわけではなさそうですが、あの二人が行動を共にすることにもなんらかの意味があるんでしょう。3作目にどのような形でからんでくるのか超期待できます。個人的にルイス(マイケル・ペーニャ)とゴーストがくっつきそうな…妄想です。
以上が主要な男女ペアでしたが、実はほかにも忍ばされていた強い絆がありました。
スコット&キャシー
もちろん、スコット&キャシー(アビー・ライダー・フォートソン)は親子としての深い繋がりがありますが、本作ではアントマンのパートナーとして立候補するキャシーの姿が印象的でした。
キャシーが本心だったのは言うまでもありませんが、彼女の後押しがあって、スコットは、ホープが失ってはいけない素晴らしいパートナーだと確信するわけです。キャシーが本作で重要なキーマン(キーウーマン)へと成長したのは嬉しい。なんか叔父さんになった気分。
スコット&パクストン、マギー夫妻
元夫、元妻、現夫、という歪すぎる形ではありますが、パクストンとマギーが心からスコットを信頼している…いや、前作の事件があったからこそ信頼するようになった、という演出には強い説得力があります。
ふう…
これで、感想書きについては終わりなんですが、やっぱ気になったことあるううううううううううう!
え~まず。
FBIなんて今更じゃない?
スコットが「ソコヴィア協定」に違反してFBIから監視、ってとこまではある程度理解できます。しかし、ハンク・ピム博士とホープもFBIが追っているってのはご都合的ではないでしょうか。
ピム博士はピム粒子を独占し、アントマンスーツを作った張本人。前作でファルコンとの対決があり、『シビル・ウォー』での参戦もあってアントマン技術の脅威は折り紙付き。
さすがにFBIは役不足じゃ?と思ってしまいます。
MCUの世界の中で、ヒーロー組織S.H.I.E.L.D.がどこまで存続していて機能しているかあまり理解していないのでとやかくゆうのは野暮なんですが、ソニー一味の黒幕としてもやや力不足な気がします。
クマムシ
量子世界にクマムシがいるんですね?
ジャネットも「クマムシに注意してね」みたいなこと言ってましたよね。
調べてみるとクマムシは小さいと0.05㎜、大きいと1.5㎜くらいあるらしい…
肉眼やんけ!
量子世界については深く考えない(わからない)ことにして、クマムシに食べられるピンチってなんなんでしょう。未知の世界に巣食う、見たこともないような怪物、とかだとさすがに現実的じゃなかったのかな?
…ということで、蛇足も蛇足でしたが、ストレス発散のためにもちゃんと言いたいことは言いました。
重ねて言いますが、上記の気になる点を除き、基本的にはファミリー向けエンタメ作品として大満足のマーベル作品。うちの息子(3)も前作を大喜びで見ていたので、次も安心して見せられます。序盤の手作り迷路ねだられたらどうしよう…
では!