『宇宙戦争』H.G.ウェルズ【感想】歴史的名作に異論なし

The War of the Worlds 1898年発表 H.G.ウェルズ著 中村融訳 創元SF文庫発行 SF小説の歴史を作った作家H.G.ウェルズの代表作を読みました。 新潮文庫の『ウェルズ傑作集1』収録の前日譚『水晶の卵』で予習も十分。 正直こういう「歴史的名作」と謳われてい…

自書自賛

ブログ『僕の猫舎』も七年目に突入しました。七年も続くってよく考えると凄い、控えめに言っても偉業ですよね。小学校~中学校で考えると、まだひらがなさえ覚束なかった頃から、いつの間にかXとかYを使って代入までできちゃうくらいですからね。教科変わっ…

『女王陛下のユリシーズ号』アリステア・マクリーン【感想】不思議な感動が胸を貫く

H.M.S.Ulysses1955年発表 アリステア・マクリーン著 村上博基訳 ハヤカワ文庫NV発行 またとんでもないものを読んでしまった。自分のDNAの中には絶対にないフレーズが溢れだす。死にゆく男たちの祈りとか、生から死までを司り、地獄の業火をも呑み込む暴乱の…

ぼくねこ、家を買う【高いよ、オプション編】

何とか年度内に家が建ちそうだ。住宅ローンの手続きや新居の調度類の調達も少しずつ進んでいる。 今まで、家を建てるまでの準備編やハウスメーカー(以下、HM)の選び方、営業マンの見極め方など、なんの根拠もない主観で色々と書いてきたが、今日もそれを超…

『エラリー・クイーンの新冒険』エラリー・クイーン【感想】物語同士のギャップも魅力

The New Adventures of Ellery Queen 1935~1939年発表 エラリー・クイーン 中村有希訳(旧版:井上勇訳)創元推理文庫発行 前作『エラリー・クイーンの冒険』 各話感想 『神の灯』(1935) 今回、新旧の『新冒険』と併せて嶋中文庫の『神の灯』も読みまして…

『十角館の殺人』綾辻行人【ネタバレ感想】自分にとっては遅効毒だったみたい

1987年発表(2007年新装改訂) 島田潔(館シリーズ)1 講談社文庫 次作『水車館の殺人』 粗あらすじ 超ネタバレ感想 おわりに 粗あらすじ 調度品の悉くが正十角形を模り、摩訶不思議な幽霊騒ぎや陰惨な怪奇事件が纏わりつく十角館を訪れた、大学の推理小説…

2020年読了ミステリベストテン

2020年も一年間当ブログにお越しいただきありがとうございます。今年も昨年度に引き続き、ブログ活動は停滞気味でした。今年転勤したことと、マイホームの打ち合わせや準備に時間を奪われたのが主な理由です。そんなこんなで、今年読めた本は、なんとブログ…

『誘拐殺人事件』S・S・ヴァン=ダイン【感想】ハードボイルドの勢いに押され蹴躓いた一作

The Kidnap Murder Case 1936年 ファイロ・ヴァンス10 井上勇訳 創元推理文庫発行 前作『ガーデン殺人事件』 次作『グレイシー・アレン殺人事件』 ネタバレなし感想 《謎探偵の推理過程》 ネタバレなし感想 さてさてファイロ・ヴァンスシリーズもいよいよ10…

M-1グランプリ2020総評

コロナ禍の中ではありましたが、史上最多の参加者になったM-1グランプリ2020。暗く先の見えない世の中で、少しでも楽しませたい、笑わせたい、そんな芸人たちの熱い気持ちがひしひしと伝わってくる例年以上に良い大会でした。と同時に、いつも以上に荒れた大…

『ウェルズ傑作集1』H.G.ウェルズ【感想】タイム・マシンはマジでオススメ

1895~1905年発表 阿部知二訳 創元推理文庫発行 本書は、「SF小説の父」とも呼ばれるハーバード・ジョージ・ウェルズによる傑作中編・短編をまとめた日本独自(創元推理文庫)編纂の短編集です。本書には『タイム・マシン』を始めとする6の中短編が、『ウ…

『骨董屋探偵の事件簿』サックス・ローマー【感想】フー・マンチュー以外にも面白いのあるはず、もっと翻訳しませんか?

The Dream Detective 1920年発表 骨董屋探偵モリス・クロウ 近藤麻里子訳 創元推理文庫発行 サックス・ローマーという男 各話感想 『ギリシャの間の悲劇』 『アヌビスの陶片』 『十字軍の斧』 『象牙の彫像』 『ブルー・ラージャ』 『囁くポプラ』 『ト短調…

『ハイヒールの死』クリスチアナ・ブランド【感想】説得力は無いが確かに傑作の萌芽が在った

Death in High Heels 1941年発表 チャールズワース警部1 恩地三保子訳 ハヤカワ文庫発行 次作『ジュゼベルの死』(コックリル警部4) クリスチアナ・ブランドという女 ネタバレなし感想 《謎探偵の推理過程》 クリスティやクイーン、カーと並び称される推…

『フレンチ警部と漂う死体』F.W.クロフツ【感想】名作のポテンシャルはあり

Found Floating 1937年発表 フレンチ警部16 井伊順彦訳 論創海外ミステリ 前作『船から消えた男』 次作『シグニット号の死』 ネタバレなし感想 本作のテーマは王道中の王道、富豪の一家に巻き起こる親族間の争いです。人生の晩年に差し掛かり気力体力ともに…

『(三十)棺桶島』モーリス・ルブラン【感想】冒険小説としても傑作

L'île aux trente cercueils 1919年発表 怪盗アルセーヌ・ルパン8 堀口大學訳 新潮文庫発行 前作『金三角』 次作『虎の牙』 ネタバレなし感想 Wikipediaによると、本作は横溝正史の名作『獄門島』や『八つ墓村』へ影響を与えたと示唆されており、ミステリフ…

『その裁きは死』アンソニー・ホロヴィッツ【感想】次もめっちゃ期待しているのは秘密だ

The Sentence Is Death 2018年発表 ダニエル・ホーソーン2 山田蘭訳 創元推理文庫発行 前作『メインテーマは殺人』 ネタバレなし感想 《謎探偵の推理過程》 おわりに ネタバレなし感想 『メインテーマは殺人』に次ぐ、ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ第二…