『あなたは誰?』ヘレン・マクロイ【感想】作者自信満々の力作

1942年発表 ベイジル・ウィリング博士4 渕上瘦平訳 ちくま文庫発行 建物を建てる時に最も重要な要素は基礎だとよく言われる。基礎がしっかりしていないと、地震や洪水などの災害に見舞われたとき、その家は耐えきれずに脆く崩れてしまうからだ。 これはミス…

海外ミステリ系サイトのリンク集作成のお知らせ

はじめに 去年から約1年をかけて、自分が定期的に訪問している海外ミステリ中心のブログやホームページのリンク集を作ってみようという計画が進行していましたが、ついに今日完成しました。トップページのグローバルメニューの「ミステリ関連記事」は「リン…

『動く指』アガサ・クリスティ【感想】隠れた傑作

1943年発表 ミス・マープル3 高橋豊訳 ハヤカワ文庫発行 2019年初クリスティは、ミス・マープルシリーズ第三作。 当ブログでも度々言っていることだが、筆者ぼくねこは海外ミステリをほぼ発表年順に読んでいる。所持している1910~1930年代(約250冊)のミス…

『占星術殺人事件・改訂完全版』島田荘司【感想】不思議な魔力が具わった傑作長編

1981年発表 御手洗潔1 講談社文庫2013年版 当ブログはご存知の通り、主に“海外ミステリ”の感想を綴るブログということで、あえて国内のミステリの感想記事は書かないスタイルでここまでやってきました。 理由として、そもそも国内本格をあまり読んでいない、…

『アクアマン』【ネタバレ感想】最高、超傑作、ありがとう!

引用:©2019 Warner Bros. 鉄は熱いうちに打て、と言いますから、さっそく今日仕事を休んで嫁と見た『アクアマン』の感想を書いておきます。 へたなSF観るならアクアマンを観るべきだし、ヒューマンドラマが観たい、ラブロマンスが観たい、なんならホラーが…

『トム・ソーヤーの冒険』マーク・トウェイン【感想】約20年振りの再読

1876年発表 大久保康雄訳 新潮文庫発行 言わずと知れた少年文学の超傑作を約20年ぶりの再読です。たしか、初読は小学校高学年の頃だったと思います。その所為か、記憶に残っているのはタイトル通り“トム・ソーヤーの冒険”物語部分のみ。 彼らを取り巻く大人…

コアでディープな書評ブロガー向け「こんなブログが読みたい」「読みやすいブログとは」

安心してください、得るものはありませんよ。 ※ 本題は「読みやすいブログづくりのためのファーストステップ」なので目次より遷移推奨 ※ 当記事の内容は全てはてなブログを想定している はじめに 読みやすいブログづくりのためのファーストステップ トップペ…

『三人の名探偵のための事件』レオ・ブルース【感想】パロディものと侮るなかれ

1936年発表 ウィリアム・ビーフ巡査部長1 小林晋訳 扶桑社発行 初レオ・ブルース、ということで、まずは簡単に作者紹介からいきましょう。 レオ・ブルースという男 レオ・ブルース(本名ルパート・クロフト・クック)はイングランド・ケント州生まれですが、…

『スペイン岬の謎』エラリー・クイーン【感想】ぶ厚い物語と堅固なプロットが持ち味

1935年発表 エラリー・クイーン9 井上勇訳 創元推理文庫1959年版 本当は島田荘司『占星術殺人事件』の感想を先に書こうと思っていたんですが、このタイミングで本を失くしました。これは、ミステリ界の神“エラリー・クイーン”の「書くな」というお告げなのか…

『その犬の歩むところ』ボストン・テラン【感想】お涙頂戴仕ります

2009年発表 田口俊樹訳 文春文庫発行 必殺仕事犬ギヴに睨まれたら最後、涙腺をしっかり締めるのをあきらめなければなりません。涙腺崩壊、感涙必至のヒューマン(ドッグ)ストーリーです。 アメリカの全国民に深い悲しみと癒えぬ心の傷を刻み込んだ9.11とい…

『ささやく真実』ヘレン・マクロイ【感想】浅見光彦系が好み

1941年発表 精神科医ベイジル・ウィリング博士3 駒月雅子訳 創元推理文庫発行 典型的な悪女と彼女のドス黒い計画、そしてそれに触発され起こる怪事件。ミステリのテンプレとも言える導入部ですが、ここに浅見光彦系主人公(警察がその正体を知らない名探偵)…

『月明かりの男』ヘレン・マクロイ【感想】心理学をオチに使わない贅沢な一作

1940年発表 精神科医ベイジル・ウィリング博士2 駒月雅子訳 創元推理文庫発行 粗あらすじ ヨークヴィル大学を訪れたフォイル次長警視正は、詳細な殺人計画が書かれたメモを拾う。警察官の勘か、妙な胸騒ぎを覚えたフォイルだったが、意を決する前に一発の銃…

息子が熱性けいれんで入院したので、当時の対応についての記録【痙攣って字がそもそも怖い】

もうすぐ4歳になる息子が熱性けいれんをおこして入院した。もしかしたら今後も同じような経験をするかもしれないので、忘れないためにも詳細を記録しておこうと思う。 10日(木) 入浴時に腹部と背部に広範囲の湿疹を確認。 11日(金) 皮膚科を受診するが…

『死の舞踏』ヘレン・マクロイ【感想】ホットな死体と、クールな探偵

発表年:1938年 作者:ヘレン・マクロイ シリーズ:ベイジル・ウィリング博士1 訳者:板垣節子 ヘレン・マクロイにチャレンジするのはこれで二度目。初挑戦は、なんの気紛れかベイジル・ウィリング博士シリーズ第5作『家蝿とカナリア』からでした。該当記事…

物語のクセがすごい【感想】G.D.H.&M.コール『百万長者の死』

発表年:1925年 作者:G.D.H.&M.コール(夫妻) シリーズ:ヘンリー・ウィルスン警視2 訳者:石一郎 遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。本年も僕の猫舎をどうぞよろしくお願い致します。まだまだ昨年の読書感想が残っているので、まずはそ…