引用:©2019 Warner Bros.
鉄は熱いうちに打て、と言いますから、さっそく今日仕事を休んで嫁と見た『アクアマン』の感想を書いておきます。
へたなSF観るならアクアマンを観るべきだし、ヒューマンドラマが観たい、ラブロマンスが観たい、なんならホラーが観たいという人も絶対にアクアマンを観てほしいです。噂にたがわぬ超傑作。最高でした。
これは妻ともお互いに言い合っていたのですが、粗や指摘するほどの齟齬もなく、エンタメ性も満たしていながらもシリーズ初心者はとっつき易く、コアな(アクションやDCシリーズの)ファンも満足させる。これだけで相当素晴らしい作品だと思いました。たかがヒーローもの、スーパーマンやバットマンの親戚だと思い込んでいる方がいらっしゃれば間違いなく裏切り、そして期待を超えて満足させてくれる一作です。
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【デートで使える話】映画『アクアマン』観る前に知っておくと面白さが倍増する小ネタをご紹介 - しーまんの映画から学ぶ人生
事前に予習が必要かと聞かれると、決して必須というわけではないのですが、普段あんまし監督の特性というか拘りを頭に叩き込んで映画を観に行かないので、初めて監督やアクションスタッフについての予備知識を取り入れてから観たら、びっくりするくらい面白い。
これからも、この予備知識的な記事(原作の小ネタではない)は是非とも読んでみたいです。
で、観終わって思うのは、『アクアマン』、ジェームズ・ワン監督の拘りの塊やんけ!ということ。アクションに関しては、先述のブログ内で語られていた好きなカメラワークや演出が随所(というか全部)に登場していてお腹一杯。
冗談じゃなく最初っから最後までジェームズ・ワン・アクションのオンパレードでした。
ただ、アクション一辺倒ではなく、家族愛やロマンス、アドベンチャー、映像美など、観客を楽しませ満足させるための要素をこれでもかと盛り込みながら、全てにおいて安定して良いものを供給する。
ちょっと今までのアメコミ映画の中でも、群を抜いて傑作の匂いがします。サスペンス要素が全く無いのにも関わらず、「面白い」というワンアイテムだけで再鑑賞にも耐えれそうなのもヤバいですね(語彙力)。
ここからは完全ネタバレになります。未鑑賞の方は、今すぐ映画館にGOです。間違いありません。
主演ジェイソン・モモアの悪魔的な魅力
「悪魔的」と形容しましたけど、正解かどうかなどよくわかりません。彼は1979年にハワイ生まれ、若いころから俳優として活躍してきたようですが、最大の魅力は、その容姿との強烈なギャップ。193㎝の圧倒的な体躯と鬣のような髪と髭。そしてワイルドすぎる容貌と、あまりにかけはなれたチャーミングな笑顔が作中で炸裂しています。
本当は惹かれてはいけない危険な男なのに、その魅力的な笑顔と男らしさに性別を超えて魅せられます。作中でも何回か見せてくれた、仁王立ちからの見返りでニヤッが堪りません。
SFよりSFしている海底都市
これはジェームズ・ワン監督かCGチームどちらの功績かわかりません(たぶんどっちも)が、海底都市アトランティスのビジュアルが最高です。
作中でもありましたけど、宇宙より海の方が知られていないってのあながち間違いじゃない気もします。肉眼で確認でき、普段からその知識と力に触れている宇宙に対し、海(の底)は固定された先入観が邪魔をしています。
特に、光が届かず見えない、ってのは我々平凡な人間の盲点です。ここらへんを作中では、アトランティス人は夜目が利くように光鮮やかに見えたり、発光生物の光?が効果的に用いられているなど、工夫が随所に見られました。
SFの超大作『スターウォーズシリーズ』で登場したジャンゴ・フェット役のテムエラ・モリソンがアクアマンの父トムとして登場したのも何かの縁でしょうか。(スターウォーズでも親子の絆が重要なキャラクターでした)
大好き、ニコール・キッドマン
自分が映画にハマって、初めて女を意識した(言い方)女優。それがニコール・キッドマン(とメグ・ライアン)でした。それが2001年の『ムーラン・ルージュ』です。最高のミュージカル映画なんです。ぜひ見てください。
あれから、18年経って今50歳を超えているわけですよねえ。確かに今回の役どころである主人公の母親としては年齢的にはピッタリなんですが、トムとの再会では、トムの老いに比べあまりにも彼女の美しさが圧倒的な勝利を収めていたのが笑えました。
ジェームズ・ワン監督ってジブリとかFFとかジョジョとか好きですか?
※ここからはほとんどすべて妄想です。
気を失って目が覚めたら豊かな笛のBGM→いやお前が吹いとんかい!
アクアマンを恨む敵ブラックマンタの強襲を受け気を失った後、メラに介抱され目覚める船上での一幕です。
目覚めた後の、ワカメを包帯代わりに巻き付けたアトランティス流医術も大好きなんですが、やっぱりBGMかと思ったらお前が吹いとんかい演出の方が大好きです。
もしかすると編集上カットされたのかもしれませんが、メラが楽器を奏でることができるとか、アクアマンの記憶のどこかでキーになる音色だとかそんな伏線や脈絡が全くないのに、唐突にアレですから。
思い出したのは、ジブリ作品『天空の城ラピュタ』のパズーが吹くトランペットのシーン。監督好きですか?僕は大好きです。
あとジブリで思い出したんですけど、前半の津波に追われる車はまんま『崖の上のポニョ』でした。
決闘シーンでイカ?が太鼓叩いてたのも完全に『リトル・マーメイド』ですしね。
アクアマンの異父兄弟オーム王のコスチューム
引用の都合上省略しますが、オーム王が作中終盤、戦争前に身に着ける仮面がファイナルファンタジーⅣに登場する竜騎士カインに酷似しています。もちろん武器である槍や、オーム王が騎乗しているワニ竜っぽい生き物にも共通点が。
あと、最終決戦の場所(船上)の背景にあった、何のために回転しているのかよくわからないプロペラみたいなの、まんまファイナルファンタジーのラスボス戦でしょ。根拠など全くないですが、一人でテンションがぶちアガっていました。
アクアマンが投擲した鎖分銅はジョセフ・ジョースターへのオマージュ
これだけはどうしてもわかりにくいので先に引用させていただきます。
引用:集英社 荒木飛呂彦作 ジョジョの奇妙な冒険8 頁8
ええ、イタリアのシーンです。
アクアマンが投げたと思われる鎖分銅(風アイテム)はそもそも古来より伝わる一般的な武器ですし、作中では最終決戦で完成した必殺技の伏線なのかな、とも思うのですが、なんだか曇ったフィルターの所為でクラッカー・ヴォレイにしか見えない。
その他
これはアクションチームの考案なのかもしれませんが、妙に和っぽいアクションがカッコよかったです。うろ覚えですけど難破船のシーンでは、侍をイメージした敵もそうですし、アクアマンも一瞬ですけど居合い抜きっぽい構えを見せた気がしています。武器が槍だから基本的には西洋風のアクションかなと思っていたので結構うれしかったです。(要再確認)
唯一気になった点
は、アトランティス人が陸に上がると弱い、みたいな設定が若干緩かったところ。
オーム王が放った刺客がスーツを破壊され外気に触れるとおう吐(水)するみたいな演出+洋便器ダイブみたいなシーンがあったので、一応解り易く設定としては存在していたと思います。
ただ、オーム王ですら急に空気に触れると水を吐いて苦しんでいた(メラの策略)のに、最終決戦では何もなかったかのようにピンとしてました。それにメラは苦しいのくの字もないくらいバリバリのアクションと、水を操る魔法を駆使しています。もちろん見せ方としては邪魔でしかない設定なので、そこまで目くじら(アクアマンだけに)たてて怒るほどでもないんですが、王の血筋のものは大丈夫とか…
…あれ?なんか難破船のところであった気もするな…(要再確認)
オーム王のキャラ設定が好み
彼と関係者の相関図をまとめてみると、
アトランナ(実母だが、地上で先に真の後継者を産み憎しみの火種を作った)
アクアマン(異父兄弟であり真の後継者なので、王位を奪われると恐れている)
メラ(婚約者だが、恋人としてもアトランティス人としても裏切られる)
バルコ(顔が一級の裏切り者顔なだけあって、冒頭からアクアマン派。むしろアクアマンサイドから見ていて怪しさが半端ない)
こうなります。
蓋を開けてみると、誰も彼に忠を尽くしている人は誰もいなくて、愛に見放され、疑心暗鬼に囚われた悲しい王様でした。
最後の最後で、和解の兆しが見られただけに、続編があれば少しでも救われて欲しいなあとは思いますが、トドメのバルコの台詞がめっちゃ意地悪(というかちょっとやり過ぎ)だったので、復縁はないかなあ…
おわりに
改めて読み返してみて、ニコール・キッドマンのくだりが全く要らなかったと反省しつつ、もう一回は観に行こうと思います。
正直、DCの映画化にはあまり期待はしていなくて、ワンダーウーマンにしてもジャスティス・リーグにしても、マーベルに対する焦りが先行して空回っている気がしていたのですが、『アクアマン』で完全に巻き返しました。
いや、単品だけ観ると、MCU作品全体と合わせてもトップクラスの出来です。
やっぱり監督やアクションだけでここまで全てをひっくり返せる力があるんだなあと改めて思い知らされました。
では!