バランスのとれた絶妙な中編ミステリ【感想】ジョン・ディクスン・カー『第三の銃弾』

発表年:1937年 作者:ジョン・ディクスン・カー シリーズ:ノンシリーズ まずは 粗あらすじ 退官した老判事が自室で射殺された。撃たれて間もない銃を握りしめて呆けていたのは、かつて判事に極刑を命じられた男だったが、判事の命を奪った銃弾は男が持って…

しゅくさんねん?とりあえずブログ開設から3年経ったみたいです

つい先日こんなものが届きまして。 書き残そう、あなたの人生の物語、ねぇ… 2015年の8月に最初の記事を投稿してからはや3年が経ち、ぼちぼち書きたいことが定まってきたかな、というこの頃です。なので、今月ついにはてなProに申し込み、独自ドメインも取得…

作者がぐいぐい覗いてくるある意味意欲作【感想】C・デイリー・キング『海のオベリスト』

発表年:1932年 作者:C・デイリー・キング シリーズ:オベリスト1 正直むちゃくちゃ楽しみでした。この作品を読むために今まで頑張ってきたと言っても過言じゃありません。 私は基本的に文庫本しか集めていないんですが、唯一持ってる単行本のミステリが本…

まるで洋食屋のオムライスのような【感想】マージェリー・アリンガム『キャンピオン氏の事件簿I窓辺の老人』

発表年:1936~1939年 作者:マージェリー・アリンガム シリーズ:アルバート・キャンピオン氏(日本独自編纂) 本書を書いたマージェリー・アリンガムは、クリスティやセイヤーズらとともに英国女流推理作家ビッグ4と呼び讃えられるほど高名な推理作家です…

クセ?アク?なぜこんなに好きになれないのか【感想】レックス・スタウト『毒蛇』

発表年:1934年 作者:レックス・スタウト シリーズ:ネロ・ウルフ1 本作は超人的な安楽椅子探偵として名高い私立探偵ネロ・ウルフのデビュー作です。ホームズやポワロといった名探偵たちに比べ、日本での知名度はそんなに高くないものの、熱狂的なファンも…

トリックの大渋滞につき注意【感想】ジョン・ディクスン・カー『三つの棺』

発表年:1935年 作者:ジョン・ディクスン・カー シリーズ:ギデオン・フェル博士6 粗あらすじ 超自然的な現象を解き明かすことにかけては著名なグリモー教授のもとに、突如一人の奇術師が現われた。彼が残した「三つの棺」という不吉な言葉と脅迫めいた文句…

これは良い伯母ミステリ【感想】アントニイ・バークリー『ピカデリーの殺人』

発表年:1929年 作者:アントニイ・バークリー シリーズ:アンブローズ・チタウィック2 粗あらすじ 犯罪研究家のチタウィック氏はピカデリーホテルのラウンジで休憩中、図らずも重要な事件の目撃者になってしまう。絶対の自信がありながらも警察側と容疑者側…

世にも奇妙な短編集【感想】ドロシー・L・セイヤーズ『ピーター卿の事件簿』

発表年:1928~1938年(日本独自編纂) 作者:ドロシー・L・セイヤーズ シリーズ:ピーター・ウィムジィ卿 ちょっとねぇ本作は意表を突かれたというか、予想外だったというか、良い意味でしっかり裏切られた短編集でした。 そもそも日本独自に編纂された短編…

杉なのに花粉症にならないヒーリングミステリ【感想】『杉の柩』アガサ・クリスティ

発表年:1940年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ18 さっそくタイトルから何言ってんねん、とツッコみを受けそうですが心から言っています。これは癒されます。 あらすじは不要でしょう。開始早々法廷を舞台に容疑者として裁かれる…

見取図はいらないけど間取図だけは欲しい【感想】『死時計』ジョン・ディクスン・カー

発表年:1935年 作者:ジョン・ディクスン・カー シリーズ:ギデオン・フェル博士5 あらすじを書くのも億劫になるくらい、展開がややこしい…時計職人の家で不審者が不思議な兇器で死ぬ。これくらいしか確かなことが言えません。 カーのやりたかったこと、つ…

2017年上半期読了ミステリベストテン

2017年上半期は、去年以上に新しい推理小説作家に多く出会った半年でした。

よく読まれているミステリ感想記事7選【2017年第二四半期】

相も変わらず、アガサ・クリスティ原作『ABC殺人事件』と『ひらいたトランプ』の感想記事が良く読まれています。これら以外の2017年第二四半期によく読まれている記事をまとめてみようと思います。ついでに昨年以前に書かれた記事は様式が今のものと全然…

謎解きも容易だ【感想】アガサ・クリスティ『殺人は容易だ』

まずは粗あらすじ 《謎探偵の推理過程》 発表年:1939年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ノンシリーズ(バトル警視登場) まずは粗あらすじ イギリスの植民地マヤン海峡に駐在していた元警官ルークは、偶然乗り合わせた列車で親切そうな老婦人と出会う…

時代別にミステリを読む意義とは

前にも言ったかもしれませんが、私はミステリをほぼ発表年順に読んでいます。さらによっぽど入手不可の作品じゃない限りシリーズ順にです。なんだ、そんなのあたりまえだろ、という方もいらっしゃるかもしれませんが、単純に「そうしたい」からという拘りだ…

ABC殺人事件を連想させる完全殺人【感想】クリストファ・ブッシュ『完全殺人事件』

粗あらすじ 《謎探偵の推理過程》 余談 発表年:1929年 作者:クリストファ・ブッシュ シリーズ:ルドウィック・トラヴァース2 最近では論創社の論創海外ミステリシリーズでお目にかかることも多いクリストファ・ブッシュという作家ですが、文庫派の私にとっ…