引用:2019 Marvel
最初っから全力でマーベル初心者を置きざりにネタバレ全開で書くつもりなのでそのつもりでご覧ください。
マーベルに登場するヒーローたちを同一の世界観で描くMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の最終章、ということで、まあ見ないわけにはいきません。
前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のラストで全世界(宇宙)の人口が半数になり、ヒーローたちは強烈な挫折と絶望を味わいます。それとともに、新たな使命感を感じるわけですが、問題は“どうやって”失った半数を元に戻すか、です。
前作の感想記事では、疑似インフィニティ・ストーンを造り、現実改変を行う、と予想しましたが、完全に外れました。アントマン(ポール・ラッド)が量子世界に入っていた時の時間の流れに着目し、量子世界を介して過去へとタイムトラベルして、インフィニティ・ストーンを奪取する“タイム泥棒”作戦が決行されます。タイムパラドックスにおける種々の問題はさておいて、まあコレしかないって作戦ではありますねえ(ハズしたけど)。
ただ、奪取したところで、守り切れなければ意味はないわけで、やっぱり現状の戦力ではサノス(ジョシュ・ブローリン)の軍勢に勝ち目はありません。それを解決する手法に重点を置いたシナリオが激アツでした。
激アツと言っても最初の2時間はやや退屈。サノスを殺しても状況が好転することもなく、ヒーローたちは失意のうちに5年の月日を過ごします。ここでは、ヒーローたちを一人の人として描こうとする試みは成功していますが、それぞれの絶望や苛立ちが伝わってくるシーンが多く、全体的に暗めのムードなのでしんどいです。アイアンマン/トニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)の幸せそうな暮らしとの対比もあってより一層悲壮感が増しています。
一方で、アントマンが生み出すコメディシーンは総じてクオリティが高く、キーマンとしてのポジションもあって、本作前半部の主人公と言って良い役回りです。ただ、めちゃくちゃ頭は良い設定なんだから、どうせなら、トニーと共同してタイムマシンを作ってほしかったところですが…
…う~ん、まとまらんなあ。
『キャプテン・マーベル』記事同様、ツッコミポイント(ダメポ)、やるやんと思ったポイント(やるポ)を書いてそれっぽくまとめておきます。
1.バートンの闇堕ちエピソード(冒頭)がグッド!(やるポ)
ホークアイ/バートン(ジェレミー・レナー)が一般人となり幸せな暮らしを送るなか、指パッチンにより家族を失う冒頭のシーンは、超人たちとは対極にいる同じ一般人である観客を、ググっと感情移入させることに成功しています。しかも、そのままバートンがアベンジャーズに参戦するのではなく、一度闇堕ちして、正義感というよりも憎しみに突き動かされて悪党どもを惨殺しまくるってのもの、バートンらしさがあります。
よく考えると、『エイジ・オブ・ウルトロン』でもクイックシルバーを目の前で失ったり、ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)を置いていかなければならない状況に追い込まれるなど、人間の弱さゆえの凶暴性が爆発する切欠というのは、ほかのヒーローたちよりも多いんですよね。あと、バートンが無双していたのがメキシコってのももんにょり。
2.キャプテン・マーベルのショートカット、めっちゃ可愛いやんけ!(やるポ)
アベンジャーズと出会うシーンではセミロングだったのに、決戦時にはベリーショットになっててめっちゃ可愛かったんですけど、どうですか?まあ、それだけなんですけど。
3.“ありのまま”を受け入れる、というテーマがクサいようで良い(やるポ)
途中でレリゴーが流れるんじゃないかと思うくらい、ヒーローたちそれぞれのヒーロー感ががっつり反映されていました。必要以上に変革したり、成長したり、完ぺきなヒーローに成ることではなく、一人ひとりに合った“あり方”を追求する姿こそ、正しいヒーローの形なのかもしれません。
ヒーローとして“こうあるべきだ”という姿(ある意味エゴ)から脱却し、“こう生きたい”という個人の願望や夢がヒーローと言えどもある。その姿はスーパーパワーをもつ超人ではなく、ごくごく一般の人間と同じものでした。
4.最後の1時間はずっと涙。(やるポ)
もうね、歳をとるにつれ、友情や愛情、誰かの死や誕生で泣くのはもちろん、「熱い」演出だけでもがっつり泣けるようになりました。
本作で言えば、アイアンマンの妻、ペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロー)がスーツ姿で参戦するシーン。序盤で専用スーツ着用の伏線があったとはいえ、2時間経ったら忘れてますから。キタ———(゜∀゜)———!!!ってこのことだったんですね…
あと、女性ヒーローたちで激かわスパイダーマン(トム・ホランド)を援護するところとかも、泣いちゃダメなのはわかってるんですが、熱すぎて涙。
もちろん「3000回愛してる」は唇を噛んで声を押し殺しながら涙。
5.過去作品の伏線が回収されててファンには垂涎もの(やるポ)
もちろんすべてに気づいたわけじゃないんですが…
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)がソー(クリス・ヘムズワース)のハンマーを持ち上げれそうになっていた伏線がしっかり回収されていたり、キャプテン・アメリカとペギーのダンスがついに叶ったり…あと、キャプテン・アメリカの盾が壊れた形って『エイジ・オブ・ウルトロン』でのアイアンマンの夢の中と同じですよね?ってキャプテン・アメリカばっかりやな。
そもそも伏線が回収できるということ、それは、過去作品自体がまず印象に残る名作揃いであるということですし、本作を見て改めて過去作を見直そうと思える相乗効果もあります。間違いなくMCU自体が映画史に残る一大シリーズだと言えるでしょう。
6.アスガルド消滅せんかったか?(ダメポ)
たしか『マイティ・ソー/バトルロイヤル(ラグナロク)』でアスガルドは焔の巨人スルトによって滅ぼされましたよね?で、その後僅かに残った国民たちは宇宙船に乗って放浪中、サノスに遭遇しハルク(マーク・ラファロ)とソー以外全滅…のはず。なのに、最終決戦ではヴァルキリー(テッサ・トンプソン)に率いられ大挙して参戦。もしかしてアスガルドや地球以外の九つの世界のどこかの民か?
あとロキ、ほんまに死んだのね…
7.インフィニティ・ストーンが嵌ったガントレットを2回使わなければならない説得力(やるポ)
1400万回分の一の作戦は、頭ではわかっていてもやっぱり結末を考えるとモヤモヤしちゃいます。でも、一度失われた半数を復活させ、その後サノス軍を滅ぼすために2回ガントレットを使わせるのは抜群のシナリオだったと思います。
特にガンマ線に耐えうるハルクに一度使わせておいて、生身のトニーが使用するリスクを刷り込む手法は見事でした。
8.ロマノフとバートンは愛情で結ばれていた?(ダメポ)
惑星ヴォーミアでサノスよりも先にソウル・ストーンを手に入れるため任務に就いたロマノフとバートンですが、単純に「どちらかが死ななければならない」雰囲気になってました。けれども本来ソウル・ストーンを手に入れるには、自身が最も愛している者を犠牲にする必要があります。
ここで二人は、我先にと断崖から身を投げるわけですが「ファミリー」という言葉が出てたとはいえ、バートンにとって最も愛するものがロマノフだとはどうしても思えませんでした。むしろ、バートンが最も愛する者は妻、そして子どもたちで、『インフィニティ・ウォー』によって消滅してしまった結果、愛する者がいなくなった→だから、ロマノフが愛している「ファミリー」であるバートンが死ぬ、の方がしっくりくる気がするんですが。
あと、そんな決死の覚悟で手にしたソウル・ストーンなのに、横取り&他者が使用してもOKってどゆこと?ソウル・ストーンだけはサノスが入手したものを横取りの方が良かったのではないかとも思います。そうなるとガモーラ(ゾーイ・サルダナ)が死んだままで、クィル(クリス・プラット)にとってはバッドエンドなんですが、結局過去からガモーラを連れてくるのがオーケーなら、ロマノフだって同じようにそうしたら良いわけですよ。ようするにスカーレット・ヨハンソンが大好きなので殺すな、復活させろってことです。
とりあえず思いつくまま、滅多矢鱈に書いてきましたが、書いている間にもどんどん記憶が薄れてゆくのが恐ろしい。
ほんとちょうど今思い出したんですが、最後の最後、キャプテン・アメリカがタイムトラベルしたけど、タイムマシンから戻って(出て)こなかったのなんでよ。なんど良い雰囲気のベンチに戻ってくんのよ。あと、こっちの都合(ハルクのタイミング)で戻したのに、良い感じの人生を送った後で戻れて良かったね。ねえなんの忖度?
できたら過去作品全作鑑賞してから、もう一度映画館で鑑賞できれば完璧なんですが、そんな時間もないし…我が家にも、ピム粒子と量子トンネルが欲しいですねえ。
では!