引用:2019 Marvel
マーベル映画好きなら、もう見るっきゃない映画。にもかかわらず、公開終了間際にやっとこさ見に行けました。
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の中では、衝撃の前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に連なる重要作品として、MCUシリーズを楽しみにして言いるファンにとっては、絶対に欠かせない作品です。平日のど真ん中に見に行ったわけですが、続編『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』が今週末公開ということもあって、劇場には自分と同じような見逃してた組であろう方々が結構たくさんいました。
単品としての感想を先に述べておくと、別に可もなく不可もなくって具合に、特筆すべきところの少ない映画ではあるのですが、ところどころおじさんの心と涙腺をぐりぐり突いてくるシーンはたしかにあります。メッセージ性もあるっちゃあるんですが、低レベルなギャグシーンが邪魔をして、スッと入ってくるものもありません。
ただ、90年代のグランジな雰囲気が好きな方にはある程度オススメできる作品です。ほら「ニルヴァーナ」とか「ノー・ダウト」と聞くとむずむずするそこのあなたですよ!
粗あらすじ
記憶をなくし、特殊能力を持つ女性ヴァースが、自身の過去と能力の秘密を解き明かすため、惑星間の戦争に身を投じるお話。
以下完全ネタバレのため、未鑑賞の方はお気を付けください。
別にどうしても『エンド・ゲーム』を見ないと!って方以外はそんなに焦らんでもよろしい。DVDが出るまでお待ちなさい。(どうせ、公開は今日までだしね)
それではツッコミポイント(ダメポ)、やるやんと思ったポイント(やるポ)、一度の鑑賞ではよく呑み込めなかったところ(再確認)を記録しておきましょう。
1.簡単に敵の罠にハマるおまぬけ特殊部隊”スターフォース”(ダメポ)
遺伝子レベルで容姿を変えれるスクラル人がとんでもなくすごいのか、クリー人が全員お人よしのマヌケなのか。冒頭から、身内の奥深くまで敵に潜入されている時点で、どこが巨大帝国だよ、と思わざるを得ません。
あと、クリー人って青くなかったっけ?なんでジュード・ロウだけ青くないんですかねえ?
→調べてみると、ピンク・クリーなる人種?もあってヨン・ロッグ(ジュード・ロウ)はそれらしい…って納得できるかい!
これは余計ですが、スプリーム・インテリジェンス様って何ぞ?インテリジェンスに様をつけるってどんな神経?翻訳どうにかならんかったか。。
2.てめえ(ら)の血はなに色だー!!!(再確認)
レイですよ。知らない人は、ちゃんと『北斗の拳』を読んで勉強しましょう。
いや、冒頭ヴァースの血が青色だというシーンがあってですね。青い血=クリー人というイメージが刷り込まれます。んで、後半ヴァースがヨン・ロッグの輸血によって青い血になった地球人だってなことが判明するわけですが(うろ覚え)、いや、輸血ぐらいで血の色がかわるかい!
と思っていたのですが…ラストまで鑑賞して、あれ?そういえば、冒頭のシーンはたぶんクリー帝国による記憶操作なわけで、最初っからヴァースは地球人キャロル・ダンヴァース、そして当たり前ですが、血の色は“赤”です。で、冒頭以降、ヴァースが血を流したシーンってありましたっけ?もしあれば、その時点で彼女の秘密がバレちゃうため、たぶんなかったと思うんですよねえ…でも逆になかったとすれば、それは明らかに作為的なもののはず。ずいぶん激しいアクションをこなしていましたが、擦り傷ひとつなかったのはクリー人ゆえってわけではなく、ご都合的にということでしょうか。
→ほんとかどうか怪しいんで、いろいろ動画をあさっていたら、どうも冒頭のスクラル人の船内であったポイ。要再確認です。
3.四次元キューブのエネルギーを吸収して超人に…ねえ…へぇ…(ダメポ)
って納得できるかい!!!
マーベルのヒーローはハルクしかり、不慮の事故で後天的にヒーローになった人も多いのは十分承知しているのですが、四次元キューブだけはいけねえ。だって、ガソリンぶっかけたら超人誕生!とほぼ一緒でしょ?(違うか)
あと、なんで同じように近くにいたヨン・ロッグは能力が身に付かなかったのかなあ…なんて、野暮は百も承知ですが、もうちょっと、こう、熟慮があってよかったのかなあとも思います。
4.善か悪かは、立つ場所によって変わる(やるポ)
これまでも、立ち位置や見え方によって善悪の価値観が大きく変わる、というテーマを掲げたマーベル作品はありました。しかし、本作はその中でもかなり攻めた作品です。経済摩擦を取り扱った『ブラック・パンサー』や正義という絶対的な力の弊害を描いた『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』などと違い、本作は戦争そのものにがっつり介入し、敵対する国家の狭間で揺れるヒーローが描かれています。
アメリカという超大国の内外で見え方が変わる、というのは当事者である国民にしかピンとこないところなのかもしれませんが、日本だって例外じゃないはず…邪魔なギャグシーンを心のミュートで押さえつけながら、もう少しゆっくり鑑賞して噛み締めたいところです。
5.不良少女の更生物語としても泣ける(やるポ)
キャプテン・マーベルを演じた、ブリー・ラーソンですが『キングコング/髑髏島の巨神』にも出てたはずなのに全く印象がない。もちろんアカデミー主演女優賞を取った『ルーム』は未鑑賞ですし、今思えば何の先入観もなく見れたのはラッキーだったのかもしれません。とはいえ、予告編で見る限り、角ばった顔が気になる…
しかし、観てようやくわかりました。彼女の魅力が。まずね。
同い年でした。
これだけで親近感沸きます。
あと、表情も力強くていいですね。特に目。喜怒哀楽だけでなく、おどけたり、悩んだり、安堵したり、複雑な心境も細かく表現できる素晴らしい女優さんだと思いました。(妙に目について言及するシーンが多かった気がするんですが、なんかあんのかな?要再確認)
また、後述しますが、全体を流れる空気感、とくにグランジ・ファッションがツボでした。ずっとネルシャツにダメージデニムしか着てなかった高校生時代を思い出します。
そんな小道具のおかげもあってか、自分の正体がわからずに混乱し、進むべき路も見えないやさぐれた不良少女の雰囲気との合致が見事です。だからこそ後半の友人との抱擁のシーンは涙なしには見れませんでした。
6.90年代の良き空気が充満(やるポ)
インタビュー動画をいくつか見ていると、サミュエル・L・ジャクソンが映画『リーサル・ウェポン』を引き合いに出して、本作を“刑事ドラマ”と評していたのが気になりました。
たしかに、使われている車や、捜査官たちの服装、フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)とコールソン(クラーク・グレッグ)やキャロルとの掛け合いや風体など、相当時代を意識したんだろうなあと思う拘りぶり。
また、90年代ロックの楽曲が多く使われているのも魅力でしょう。特にニルヴァーナは熱い。
公開前から女性アーティストが多用されているのはわかっていたのですが「Comes As You Are」は激熱です。しかも、流れるシーンがまたクライマックスもクライマックス。キャロルが立ち上がる胸熱のシーンとの相乗効果でテンションは最高潮に。
あと、キャロルが来ていた「NIN(ナイン・インチ・ネイルズ)」のTシャツめっちゃ欲しいんですが。
同じMCU作品『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』も70年代の名曲たちに彩られた秀作でしたが、こっちも良いですねえ。
冒頭はやや辛口の出だしでしたが、後半のノビがすごい(自分の匙加減)。『エンド・ゲーム』への繋ぎとしては、十分仕事は果たしたと言える一作です。
では!