僕の猫舎

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死んでも観たい映画100選【魂コレ】No.3

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    あれ?もう前回の記事から半年以上経っているんですね。このペースだと50年かかる計算になっちゃうので今年こそ定期的に…って考えているうちにもう3月…

    さて、今回エントリーの主演俳優は男性。長身で柔軟性のある体と、驚異の“顔面変化芸”を駆使してハリウッドでコメディ俳優の地位を確立させた名優。もうおわかりでしょう。

 

 

 

 

『マスク』(1994)

    ジム・キャリーの代名詞、抱腹絶倒のコメディ作品として超のつく有名作品ですが、この年齢になって観ると、また違った視点で楽しむことができます。

 

あらすじ

スタンリー・イプキス(ジム・キャリー)は冴えない銀行員。銀行に訪れた歌手のティナ(キャメロン・ディアス)に一目惚れするが、いつも通り空回りしてしまう。そんなある日、イプキスは海に漂う人影を発見し救助のため飛び込むが、それもまたただのゴミだった。しかし、ゴミの中にあった不思議なマスクを拾ってから彼の人生は一変する。

 

稀有な形のコメディ

    何度でも観返したいポイントの一つは、SFXを駆使した稀有なコメディ要素です。アメリカン・コミック的(『トムとジェリー』)な演出が随所に登場します。目玉がぼよ~んと飛び出したり、竜巻のように回転しながら走ったり、ポケットから巨大なバズーカ砲を取り出したり、と息つく暇を与えません。

    この手のコメディはディズニーの『ミッキーマウス』や前述の『トムとジェリー』などのカートゥーンアニメーションで多用されますが、これを実写でやるという物珍しさが魅力の一つです。これを子ども騙しと言われればそれまでなのですが、今で言う『吉本新喜劇』でも見られるような、大道具・小道具を組み合わせた古典的な笑いが間違いなく本作にはあります。

 

特殊なヒーローもの

    また、もう一つ見逃せないのは、本作がダークヒーローものの映画という側面も持っていることです。これは大人になってから気づいたのですが、物語の筋や主人公の心境の変化は、マーベルのヒーロー映画『アイアンマン』とほぼ一緒です。(主人公が未知の力を手にするが、敵に力と愛する人を奪われ、それを守るため戦う。)

    そもそも、『マスク』の原作がアメリカンコミックの大手ダークホースコミックス(『ヘルボーイ』が有名)ということも大人になってから知りました。

 

    子どもの頃はほんと終始不思議な感覚で、主人公イプキスと魔人マスクを同一人物が演じているなど夢にも思わなかったんですが、大人になると二役のふり幅(役者のスキル)以上に「マスクを被って人が変わる」という事象そのものに強い引力があるのと、異なる二つの人格が実は表裏一体で、物語が進むにつれ二つが混じり合い一体となっていく過程にも面白みを感じるようになりました。特殊な形のヒーローものとしても深みがある作品なのかもしれません。

 

役者たちの魅力

    あと、語っておかなければならないのは、役者の魅力です。主役のジム・キャリーについては最後に触れるとして、やはりヒロイン・ティナを演じたキャメロン・ディアスは絶品です。        昨年、女優業引退というショッキングなニュースが出たばかりですが、『マスク』の中でキラキラと眩く輝いていた瞬間を一生忘れることはできません。

    本作では、ギャングのドリアン(ピーター・グリーン)をパトロンに持つ美人歌手で、主人公とも恋に落ちるちょっと頭の緩い(天然キャラ)女性を演じています。しかしまあ本作がデビュー作ですからね。さすがに、イプキスとマスク両人に恋心抱く、という複雑な心情まで上手に表現できているとは思えませんが、少なくともイプキスが一目惚れし、クラブの男どもを骨抜きにするだけの魅力を放っています。

 

    悪役ドリアンを演じるピーター・グリーンも巧くはないですが、雰囲気良しです。ミステリ系の名作映画『ユージュアル・サスペクツ』でも印象的な悪役を演じていましたし『パルプ・フィクション』でもだいぶヤバめな役どころでした。“なんか悪いことしてそう”な雰囲気が最高です。

 

    最後は、ジム・キャリー。ジム・キャリーの映画はまじめに演技しているやつを除けばほとんど見ているとは思うのですが、この企画に挙げる作品はかなり悩みました。ロマンスとしても楽しめる『イエスマン』や、親になったら絶対に見たい『ライアー・ライアー』も何度も何度も観たい映画。今後もしかしたらどちらか(か、どっちも)この企画でご紹介する日がくるかもしれません。

   本作でジム・キャリーは、内気で常にうっ積したものを抱えて生きる冴えない男と、それらすべてを解き放って欲望のまま生きる文字通り超人の二役を演じ分けるのですが、ジム・キャリーにしては“意外と”演技が細かいんですよね。もちろんコメディラインは基本アドリブだらけで、らしさ満点で進むのですが、イプキスを演じているときは、どうも窮屈そうに、我慢しながらやっている気配があります。特に前半部分は照れながら、というか控えめに進み、後半は(物語の進行に合わせて)かなりオープンになってゆきます。というかいつもどおりのジム・キャリーになっていきます。

    ジム・キャリーの凄さに挙げられる、驚異的な変顔能力と長い手足を使った柔軟な動きですが、いくら動かすことが可能だったとしても、それが必ずしも=面白いとはならないはず。本作でも、様々なジャンルの音楽に合わせてダンスしたり歌ったりするのを見て、しっかりとした基礎があって、下積みを経て手にした才能なのだと改めて思いました。そういえば、ものまね芸人のコロッケさんも、毎朝顔の表情筋を柔軟に動かすためのトレーニングをしている、というのをテレビ番組で見た記憶があります。

 

    ジム・キャリー出演のコメディ、というだけで毛嫌いする人もいる(もちろん人それぞれ好き嫌いがあって良いので全然オッケー)ので、万人にオススメできる作品ではありませんが、多少のお下品さと強引な顔芸がお好きなら、ぜひ『マスク』をジム・キャリーの導入作としてオススメします。ちなみに、わが家の人間はワッキーの変顔も大好きです。

 

では!