発表年:1926年
作者:アガサ・クリスティ
シリーズ:エルキュール・ポワロ3
最も高名な推理小説はどれでしょうか?
エラリー・クイーンのレーンシリーズ?
ヴァン・ダインの『僧正殺人事件』?
それともカーの『火刑法廷』か?
クロフツの『樽』はどうでしょう?
「最も」という括りで言うと議論は尽きませんが、「最上級の」ミステリーとするならば、本作はまさに最上級に値する名作です。
ここでは余計な先入観を抱かせないように細心の注意を払うつもりですが、
未だ読んでいない方は、できればこのタイミングでブラウザを終了し、まず本作品を読むことを強くおススメします。
そのあと書店で買う際には、帯とか、お店のPOPやら、全てスルーして本書を鷲掴みし、頭を空っぽにして支払い、すぐさま1ページ目を見る。これです。
終了しました?
あ、終了しなくてもいいです、ゆっくり他のページでも見てください。
『アクロイド殺し』はアガサ・クリスティの長編第6作で、ポワロシリーズの3作目にあたります。
本作は良いか悪いかという物差しでは計れないほど、奥深く魅力的です。
本来、推理小説には犯人を推量する楽しみがありますが、むしろ本作ではそれは二の次と言ってもいいです。
その理由については……
なんもいえねぇ(古い)
でも、一つだけキーワードを言うことができるとすれば、それは“真実”です。
推理小説において真実とは、そもそも真犯人そのものを指す言葉ではないはずです。ポワロも作中でただ純粋に真実を追い求め、白いキャンバスについたたった一つの消すことのできない、小さなシミを発見した。それが犯人だったのです。
ポワロは得意の人間性の研究を存分に発揮し、キャンバスが白いことを立証したに過ぎません。
あとこれはよく他のレビューでも見るんですが、ハヤカワ文庫の裏表紙は凶悪です。Wikipediaなんて以ての外。
かくいう私も被害者の一人で、完全に予備知識無しで アクロイド殺しを読むことができた読者がどれほどいることやら。
良いか悪いかが、余りにも大々的に取り上げられすぎている気もしています。
ここまで極限までヒントらしきものを排除してきたつもりですが、ここまでハードルを上げると逆に際立ってしまうのではないかと不安に駆られます。
まぁキーワードの件は、読みかえして自分でもよくわからないので(おい)大丈夫だと思いますが、これを読んだ後『アクロイド殺し』に挑戦し、私の所為で白けてしまった。という方がいたとしても私は謝りません。
では!