ミステリな映画【ネタバレ注意】

   せっかく映画も推理小説も好きなんだから、ミステリ要素の強い、どんでん返しがオススメな映画を紹介してみよう。ただ色んなサイトで紹介されすぎて擦りまくっている作品だが…

 

 

   最初はベスト3形式で紹介しようかと思ったのだが、最近見返したある映画のインパクトが強すぎて他の映画のイメージが薄れてしまったので、今日はブルース・ウィリス主演『シックス・センス』にフォーカスを当ててみたい。

 

 

   シックス・センスM・ナイト・シャマランが25歳の時に書いた脚本をベースにしているらしい。やはり天才か…

   ストーリーはいたってシンプルで、秘密を抱える少年コールと、かつてコールに似た境遇の少年を救うことができなかった精神科医マルコムとの交流が描かれる。

 

   本作にはある秘密が隠されており、それが「ホラー映画なのに泣ける」とか「最高のどんでん返し」と絶賛される大きな要因だ。もちろんその秘密を明かすことはしないが、念のため今からでもいいので未鑑賞の方はTSUTAYAにでも行ってレンタルすることをオススメする

   その秘密はミステリでもよく用いられるあるトリックなのだが、本作で素晴らしいのはそのトリックの映像化はもちろん、登場人物たちの描き方にあると思っている。

 

 

対照的に描かれた様々な属性を持つ登場人物たち

 

医者

   1人はもちろん主人公マルコムである。愛する妻との時間さえ投げうち、苦しむ子どもたちに手を差し伸べ続けた精神科医。怪奇現象に頭を悩ませつつも、コールを信じ前向きに問題に取り組む直向きな姿勢が胸を打つ。

   もう1人登場する医者は、監督のシャマランが演じる小児科医?だ。彼はコールの体に出来た傷を母親の虐待だと決めつけ、カウンセラーを紹介する。全く母親の声に耳を傾けず、全てに懐疑的な人物に描かれている。

 

母親

   もちろんコールの母親だ。コールを育てるため必死に働きながら、良き母親・友人としてコールにありったけの愛を注いでいる。しかし、コールの秘密を理解することができず、ぶつかり合う日もしばしば。そんな2人が分かり合えないながらも、抱き合い涙を流す中盤のシーンはラスト以上に感涙ものだ。

   もう1人の母親は、やはりコールに訴えかける少女キラの母親だ。上辺は愛情深く、病気がちな娘2人を献身的に支える母親だが、実態はどうだったか、作品を見れば明らかだろう。

 

 先生

   作中に登場する先生は少ないが、大きく対照的に描かれるのではなく、変化した先生がいる。それがコールの担任スタンリーだ。彼は授業中に不可思議な発言を繰り返すコールをまるで化け物を見るような眼差しで見つめる。結果、コールはパニックに陥り、クラス内で一層浮いた存在になってしまう。

   しかし、コールが自身の秘密と正面から向き合い、問題を克服した後のスタンリー先生はコールを化け物としか見ていなかった同じ先生とは思えないほど変貌を遂げる。クラス劇『王様の剣』の主役にコールを抜擢したのだ。本番の日、楽屋から舞台まで歩くスタンリー先生とコールが交わす言葉は多くない。しかし、2人の関係は最初のものと大きく変わっている。

 

 

    実は他にもコールの父親とキラの父親だったり、コインマジックを見たコールの反応とコールの友人の反応など、そこかしこに両極に存在するかのような細かい描写が数多くあることに気づいた。なのにもかかわらず、ストーリーの核はその境界線を敢えて曖昧に作ってある。ここに本作の憎い演出があるような気がするのだ。

   ある意味、ミステリによくあるようなミスディレクションや手がかりといったヒントがその演出に隠されているのかもしれない。そういう見方をしても本作は面白い。

 

では。

 

 ブルース・ウィリスダイ・ハードだけじゃないぜ。