僕の猫舎

主に海外ミステリの感想を綴るブログです

アクションとSFとコメディが見事に融合しないマーベル作品【感想】ー『ドクター・ストレンジ』


ちょっとねぇコレは残念でした。

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引用:2016 Marvel

 

 

ついにマーベル・シネマティック・ユニバースに新機軸が!

以前紹介した『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』の記事内でマーベル・シネマティック・ユニバースなる企画についてチョロっと書きましたが、本作はその壮大な流れに連なるフェイズ3にあたる作品です。

 

tsurezurenarumama.hatenablog.com

 

ゆくゆくはアベンジャーズの続編にも大きく絡むであろう新キャラクターが満を持して登場しました。

彼の名はドクター・ストレンジ、天才外科医です。

そういえばアメコミのヒーローって天才が多いですね。『アイアンマン』のトニー・スタークだって天才科学者だし、『ハルク』のブルース・バナーも元天才物理学者。『アントマン』のスコット・ラングでさえ、泥棒だったとはいえトニーにヘッドハンティングされるほどの技術者だし、どうも才能至上主義的なイメージが強すぎるような…

しかも、一握りの人間が特殊な能力を持ちヒーローを名乗るってのはまぁ理解できるんですが、マーベル作品が全世界中に浸透し一大勢力となった今、ヒーローの氾濫という意味では少しモヤモヤした気持ちになったりします。特に本作で、ドクター・ストレンジ(本来の医者の意)がヒーローであるドクター・ストレンジとなる過程に於いては、ヒーロー大量生産社会に対する警告みたいなものが隠れているのかもしれません。

 

 

本筋と外れてきたので、話を戻そう

本作はドクター・ストレンジのデビュー作です。

天才外科医がいかにして人外の力を手に入れ、巨悪と戦うヒーロー、ドクター・ストレンジとなるかが物語の大部分を占めます。

ストレンジ(Strange)という単語には、奇妙で風変り、といった意味が含まれますが、彼自身の人物像は、変人というより、傲慢で自己中心的で自信家。どちらかというと、トニー・スターク(『アイアンマン』)に似ています。

 

一方で、天才的な外科手術の腕前や知性溢れる容貌、洗練されたジョークを使いこなす等、まさに一流の人物として描かれています。そんな彼がある出来事から人生のどん底に落とされるのですが、その前に高級マンションに高級車、高級腕時計のコレクション(ただめちゃくちゃカッコいいぞあのケースは)など、これでもかとセレブっぷりを見せつけられた後なので、いかんせん感情移入はできません

頑張れよ、と。

別に死んだわけじゃないんだから切り替えろよ。もっと苦しんでいる人いるよ?

そう思わざるを得ません…

 

真に彼に同情した観客はいかほどいたでしょうか?ここまで上流階級の人間に対する嫉妬しか披瀝していませんが、正直に告白すると、鑑賞中は、心が苦しくなり居心地が悪く何度もシートの中で体を動かしました。

何故こんなに悲しい気持ちになるのか。同情心が湧き上がってくるのか。

間違いなく、

ベネディクト・カンバーバッチの演技力によるものです。

ここまで凄い俳優だったとは思いもしませんでした。

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 引用:2017 Marvel

それに顔もあんまり好きじゃありません。大きく突き出た額、吊り上った目、良く動く口、特徴的な顎、どこか異星人っぽいというか、爬虫類っぽい感じがするのが原因かもしれません。

スター・トレック/イントゥ・ダークネス』の出演で世界的に売れたイメージがあるのだがどでしょうか?『ホビット』の悪役であるドラゴンのスマウグの声優などで知名度も向上し、イギリスBBCのテレビドラマ『シャーロック』で主人公シャーロック・ホームズを演じるなど、ここ数年で大ブレイクした俳優の一人だと思っています。

実は最近該当ドラマのシーズン1を鑑賞し、ちょっと好きになりかけてきたのですが、本作でがっちりハートを掴まれてしまいました。

 

本作鑑賞は、マッツ・ミケルセン(ヴィランのカエシリウス役)目当てみたいなところもあって、主人公には期待していなかっただけにものすごい収穫になりました。これは逐一、情報を収集しておかなくちゃ。

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引用:2017 Marvel

 

ということで、冒頭の30分近くはベネディクト・カンバーバッチの好演もあって、ドキドキしながら見ることはできます。

問題は中盤以降、ストレンジが魔術師と出会うあたりから少しおかしくなってきます。もちろん美麗でインパクトあるビジュアルエフェクトには驚かされるのですが、別にそんなのが見たいんじゃないんですよね。インセプションっぽいのも、なんだかなー

 

未だかつて体験したことの無いようなアクションやヒーローの心の葛藤、悪なのに魅力的なヴィラン、一添えのコメディ、ついでにロマンス。

それらがどれも中途半端です。

本末転倒かもしれませんが、魔術師ってのが日本人にちょっと合わないのかもしれません。東洋的な、という意味では別に違和感はないのかもしれませんが、どちらかというと日本人は『ハリー・ポッター』シリーズのような杖を持ち呪文を用いて戦うスタイルが好きだと思います。

とってつけたような儀式や手の動きが、それはそれはらしく表現されているのですが、どうも笑いを禁じ得ません。

また、主人公の成長過程も大雑把すぎて、努力や苦悩が描写されないので唐突に主人公が「マスター(たぶん魔術師の師匠クラス?)」とか呼ばれても、全然納得できません。

武術の訓練なんかもほんの僅か流されるだけ。

 

 

というわけで、ピークを迎えるはずの物語終盤に起こるラスボスとの戦闘でも、びゅーんと飛んですたっと着地するばかりでは全く興奮できませんでした

「これはもしかしてベネディクト・カンバーバッチ自身がアクション苦手なのかな?」と勘繰ってしまうほどです。せっかく長い手足があるのだから、続編では素晴らしいアクションを期待しています。

 

 

コメディ部分のみが及第点で、日本人が見てもクスッとできるギャグやジョークは多いです。ドクター・ストレンジのお茶目な部分もしっかり演じられているので、最後の最後までしっかり笑わせてくれます。

 

あと、ドクター・ストレンジの師匠エンシェント・ワン役のティルダ・スウィントンの怪演もさすが。性別を超越した不思議な雰囲気をまとい、見事に陰のある師を演じています。

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 引用:2017 Marvel

個人的には『コンスタンティン』(2005)の天使ガブリエル役が好きです。

 

また、ヒロインのクリスティーンを演じるレイチェル・マクアダムスが可愛い。左ほほのほくろに初めて気が付いたけどそれすら可愛い。

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引用:2017 Marvel 

実は彼女、映画版『シャーロック・ホームズ』(2009・2011)でアイリーン・アドラーを演じており(ちなみにシャーロック・ホームズ役は『アイアンマン』のロバート・ダウニー・Jr)、現シャーロック・ホームズベネディクト・カンバーバッチとの共演を考えると、どこか浅からぬ因縁を感じるところです。

 

いつも通り、取り留めもない内容にはなってしまいましたが、冒頭のヒーロー誕生までのストーリーは圧巻です。ただそれ以降は、尻すぼみで突っ込みどころ&呆れどころも満載クライマックスの説得力の欠如も相まって、大満足とはいきませんでした。

 

個人的は評価はかなり低いのですが、次作はこれ以上低いということは無いでしょう。次作の為にも本作は見ておくべきだろうと思うし、キャスティングは抜群なので彼らの熱演だけでも見るべき価値はあります。

 

ベネディクト・カンバーバッチの違った側面が楽しめるのはこちら。

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甘いヴォイスが楽しめるのはこれ

 


 

では!