The Rolling StonesのシンボルマークであるLips and Tongue、ヒンドゥー教の破壊を司る神カーリー神からインスピレーションを得ている
10年以上も昔、同級生とロックバンドを組んでいたとき、ある先輩バンドマンが言いました。「ギターはバンドの血液、ベースは骨、ドラムは心臓、ボーカルは肌(見た目)だ」と。今思えば、「じゃあ脳は?胃は?肝臓は?ねえ目は?」となるのですが、当時は、めっちゃカッケェとなったものです。
その先輩が言いたかったことは、要するに、バンドとはメンバー全員がそれぞれの役割を忠実に果たして、一つにならなければ成り立たないというありがたい教えだったのだと思います。
The Rolling Stonesは1962年ロンドンで結成(当初はRollin’Stone)されたバンドです。メンバーは、キース・リチャーズとミック・ジャガーという幼馴染同士と、天才的なオールラウンダーでR&Bをこよなく愛したブライアン・ジョーンズ(1969年急逝)、常にバンドを支え続けThe Rolling Stonesのサウンドの根幹を担ったイアン・スチュアート、至高のジャズ・ドラマー、チャーリー・ワッツ、女の子大好きマルチプレーヤービル・ワイマン。もちろん、当時のロック・バンドらしく、その他多数のメンバーが入れ替わっています。
The Rolling Stonesの凄いところって結成した1962年から一度も解散していないんですよね。ベースのビル・ワイマンだけは、1991年に脱退してしまいましたが、バンドの黄金時代を支え続けてきたのは間違いありません。
そして今、ミック(リードボーカル)、キース(ギター)、チャーリー・ワッツ(ドラム)のオリジナルメンバーがみんな残っていて、みんな70歳とか80歳になってるんですが、現役バリバリのロックンローラーなんですよ。それだけでカッコよすぎる。
※この記事の公開から僅か4日後、ドラマのチャーリー・ワッツが80歳でこの世を去りました。改めてご冥福をお祈りします。悲しい。
とにかく、The Rolling Stonesというバンドは、メンバー全員が渾然一体となり、それぞれの長所と短所全てが溶け込んだ完璧なバンドだってことです。
続いてThe Rolling Stonesの音楽について。彼らの音楽を語るうえで欠かせないのが黒人音楽だったブルースらしいんですが、こちとらブルースのブの字も知らないぺーぺーなので、何も語る口を持ち合わせておりません。が、バンド名の由来になった「Rollin’Stone」そのものがブルース・ミュージシャンのマディ・ウォーターズの有名な楽曲だったこと、また、彼らのデビュー曲「Come On」がロックンロールの創始者のひとりでR&Bシンガーのチャック・ベリーのオリジナル曲をカバーしたものだったことなどから、The Rolling Stonesがどれだけ本気で本物のブラックミュージックを世界に届けようとしていたかは感じられます。
特に彼らの最初期のアルバムは、ほとんどがブルースやR&Bのカバー曲で、そこにちょこっとオリジナル曲が入っている、というのが多いです。もちろん中・後期の作品にもブルース愛に溢れた作品が多くあります。
当時のスターたちは、ブラックミュージックのカバーで人気を奪ったり、作曲家や作詞家が作った歌を歌い演奏してヒットするというのが主流でした。しかし、そこにビートルズが現れます。彼らはバンドのメンバーで全ての曲を作り詩を書き、演奏し、歌いました。以後のポップス界は彼らを模倣し、自作自演が正統となっていくのですが、それはまた別のお話。
とはいえ、ビートルズの影響を受けたのはThe Rolling Stonesも同じでした。
そして、1965年彼らが全世界に名を知らしめ、史上最高のロックバンドに数え上げられるまでになった原点とも言える楽曲「(I Can`t Get No)Satisfaction」がリリースされます。
ということでThe Rolling Stones必聴アルバム一つ目は
Out Of Our Heads(米盤)(1965)
当時のレコード業界の慣習で、イギリス盤とアメリカ盤で全然収録曲が違うのがネックですが、オリジナル曲「The Last Time」が収録されている分アメリカ盤を押しておきます。まだまだオリジナル曲は少ないアルバムですが、「(I Can`t Get No)Satisfaction」から伝説は始まったのです。この楽曲は、全米のシングルチャートで4週連続の1位を獲得し、彼らのターニング・ポイントになりました。
プレイリストを作るなら、上の2曲は入れておきましょう。
Aftermath(米盤)(1966)
全作詞作曲がミックとキースで行われた初のオリジナルアルバムです。
メンバー全員が色んな楽器を演奏できるThe Rolling Stonesが、さらに実験的にシタールやマリンバなどのロックに関わりが浅い音を組み込んだ作品です。
こちらも「Paint It,Black」と「Under My Thumb」が収録されているアメリカ盤を聴きましょう。
Beggars Banquet(1968)
The Rolling Stonesのブルースへの原点回帰となった記念すべきアルバムですが、ロックンロールとしても賞賛すべき点が多いアルバムです。
野性的なサウンドが特徴的な「Sympathy for the Devil」やアコギが中心にもかかわらず、本物のロック魂を感じさせる「Street Fighting Man」が必聴です。
Let It Bleed(1969)
ベトナム戦争に強い影響を受けた「Gimme Shelter」をはじめ、ブルースロックや、カントリー風の楽曲などなど60年代の混沌としたアメリカ描くかのように、バラエティ豊かに歌い上げた楽曲が詰まっています。
Sticky Fingers(1971)
ここからは世界で天下を取ったThe Rolling Stonesの圧倒的な力を堪能しましょう。本物のジッパーがついた卑猥すぎるジャケットが有名ですが、中身も本物です。
「Brown Suger」「Can’t You Hear Me Knocking」「Bitch」「Moonlight Mile」などなど名曲揃い。個人的には「Sway」が大好きです。
Exile on Main St.(1972)
Sticky Finfersの勢いそのままに、全世界を席巻したアルバムですが、当時のメンバーの関係性は最悪で、スタジオ収録は中断と再開を繰り返します。とにかく統一感のないアルバムですが、だからこそ、色んな音が聞ける楽しみもたしかにあります。
「Rocks Off」「Tumbling Dice」「Happy」が必聴曲です。
Goats Head Soup(1973)
アルバムとしてのできはまずまずと言ったところですが、Sticky Fingersから3作連続で全英、全米共にチャート1位をとった実力は本物。
「Angie」と「Doo Doo Doo Doo Dooo(Heatbreaker)」は間違いなくプレイリストに入る定番曲です。
アルバムで言うと『Tattoo You』(1981)やカバーアルバム『Blue&Lonesome』(2016)も名盤です。
ということで(どういうことだ)あらためて自分のThe Rolling Stonesプレイリストを公開します。「これが抜けてんじゃねえか」と思われる愛好家の皆様、ごめんなさい。
一応ざっくりスタジオ・アルバム順にしています。()は邦題です。そっちの方がサーチしやすいかも。
Out Of Our Heads(1965)米盤
(I Can`t Get No)Satisfaction(サティスファクション)
The Last Time
December’s Children(1965)
Get Off of My Cloud(一人ぼっちの世界)
Route 66(ジャズシンガー、ボビー・トゥループのカバー)
Aftermath(1966)米盤
Paint It,Black(黒くぬれ!)
Under My Thumb
Between the Buttons(1967)米盤
Let’s Spend the Night Together(夜をぶっとばせ)
Ruby Tuesday(ルビー・チューズデイ)
Their Satanic Majesties Request(1967)
Citadel(魔王のお城)
She’s a Rainbow(シーズ・ア・レインボー)
2000 Lite Years From Home(2000光年のかなたに)
Beggars Banquet(1968)
Sympathy for the Devil(悪魔を憐れむ歌)
Street Fighting Man(ストリート・ファイティング・マン)
Stray Cat Blues(ストレイ・キャット・ブルース)
Let It Bleed(1969)
Gimme Shelter(ギミー・シェルター)
Let It Bleed
You Can’t Always Get What You Want(無情の世界)
Through The Past,Darkly(Big Hits Vol.2)(1969)※ベスト盤
Jumpin’Jack Flash(ジャンピン・ジャック・フラッシュ)
Honky Tonk Women
Sticky Finfers(1971)
Brown Sugar
Sway
Wild Horses
Can’t You Hear Me Knocking
Bitch
Dead Flowers
Moonlight Mile
Exile on Main St.(メイン・ストリートのならず者)(1972)
Rocks Off
Tumbling Dice(ダイスをころがせ)
Happy
Goats Head Soup(ヤギの頭のスープ)(1973)
Angie(悲しみのアンジー)
Doo Doo Doo Doo Doo(Heatbreaker)
Black And Blue(1976)
Fool to Cry(愚か者の涙)
Some Girls(女たち)(1978)
Miss You
Beast of Burden
Emotional Resque(1980)
All About You
Tattoo You(タトゥー・ユー)(1981)
Start Me Up
Neighbours
Waiting on a Friend
Undercover(1983)
Undercover of the Night
Steel Wheels(1989)
Mixed Emotions
Blue&Lonesome(2016)※カバーアルバム
Just Your Fool/Buddy Johnson
Blue&Lonesome/Little Walter
あ、あと太字にしている楽曲は、The Rolling Stonesの私的トップ10です。(正直決めきれない)
次回は、やっぱりビートルズは避けられないかなあ。
では。