『ジョン・ウィック/チャプター1・2』を見て最新作の予習をしたので魅力をまとめる

この界隈のアクション映画について、あんま詳しくはないんですけど、シリーズ最新作が公開された、ということで、予習も兼ねて『ジョン・ウィック/チャプター1』そして『チャプター2』を見てみましたよ。

 

で、めっちゃ面白かったんで、みんなにもオススメしたい!

この世界には、露ほどもアクション映画に興味がない方々がいらっしゃるってのは、わかってるんですよ。でも別にいいんですよ、好みだから。自分だってアクション映画に求めるものは爽快感やユーモアのセンスだったりするし、特にコレといった拘りもないんで。

でも『ジョン・ウィック』シリーズだけは、アクション映画としてだけでなく、新時代のハードボイルドな世界観を楽しむ目的でも、是非とも鑑賞して欲しい!そんな思いで書きます。

 

ハードボイルドな部分以外にも、なんとなくテンションが上がる/男の世界を覗き見してゾクゾクするような/痺れる・憧れる要素をまとめようと思うんで、もしどこかで興味が沸いたらシリーズ作品を観てもらえると嬉しいです。

 

以下各作品の予告編や公式HPに記載されているストーリーについてはネタバレしています。

 

 

主人公の愛に惚れる

主人公はジョン・ウィックキアヌ・リーヴス

愛するものを奪われた復讐のため封印を解き放つ元暗殺者。

言葉にするとたったこれだけの要素なんだけど、映像で描かれる彼の悲哀や絶望、そして憤怒はこっち(観客)がヒくくらいの熱量でしたね。

なんでって、やっぱり犬。

愛する妻を病で亡くし、失意のドン底にいたジョンに届く最後のサプライズ。彼女の形見と言っていい優しさと愛情の塊。それが無情にもコソ泥レベルのチンピラに奪われる。

やり場の無い怒りや悲しみを癒してくれるはずだった存在を奪われることは、彼を一挙にまた複層的に絶望させ、覚醒させるには十分な切欠でしょう。

妻が最後に残した愛の結晶を奪う行為は、彼女の愛そのものを踏みにじる行為ですし、もしかするとジョンにとっては、愛する人を二度殺された感覚だったのかもしれない。

だから、序盤ですでに、彼に心をがっしり掴まれてました。

 

 

なんつーハードボイルドな車なんだ

車だけじゃなく、武器にも相当拘っていそうで、ファンには垂涎ものなんだろうな、とは思うんだけど、いや車よ

ムスタングにダッジチャージャーだって?

 

『ブリット』(1968)やんけ!!!!往年のスター、スティーブ・マックイーンが、刑事でありながらアウトローを演じる最高にハードボイルドな映画。

武器や舞台装置や設定なんかは当たり前のように最新式になっていながら、彼らが乗る車はゴリゴリにハードボイルド。もちろん伝説の殺し屋がプリウスなんかに乗ってたら非難轟々だろう(プリウスは良い車です)けど、ちゃんと制作サイドが「『ジョン・ウィック』はこんな映画だ」ということを、一枚の画で見せてくれたのには感動しました。

 

 

ガン・フー?なかなかええやん

本国でガン(銃)・フー(カンフー)アクションと呼ばれ火がついているらしいアクションだけど、それ自体に新鮮味がある、とか珍しいとは感じませんでした。。むしろ、敵が簡単に突っ込んできて死に過ぎじゃね?とも思ったし。個人的には『リベリオン』って映画が、自分の中のナニカをぶっ壊したアクション映画なので、新鮮なアクションって言葉自体がもう古いのかも。

 

で話を戻すと『チャプター2』まで見て、アクションの不変性を感じ取ったうえで判断すると、思った以上にリアリティがあるというか、もしかすると本当に殺し屋はこういう動きをするんじゃ?くらいまでには思えるようになりました。

 

まず、初撃は足付近を撃って動きを制限させてからヘッドショットを決めるところ。

最初見た時は、動きが無駄だなあ、みたいに感じてたんだけど、効率性や正確性を考えると、頭という小さい的を一撃で仕留めるよりも足や胴体なんかの範囲の広いところや、喉・金的なんかの一度攻撃されると動きが止まるところを破壊してから(自身の生命を確保してから)、止めを刺す、というアクションには説得力がありますよね。

 

あと、公式サイトを見てると、CQC(軍隊における近接戦闘術)はシステマをモチーフにしているというのがビックリ。システマってのはロシアで生み出され実際にロシアの特殊部隊が使用している実践格闘術で、動画とかで観るとマジでしなやか&パワフル。流れ落ちるような脱力と爆発的なインパクトが一瞬のうちに起こる一度見たら忘れられない格闘術です。このシステマと柔術をベースに、銃を構えたままCQCを駆使するアクションシーンは、新しさというより極限までリアリティを追求した結果なのかもしれません。

 

余談だけど、ジョン・ウィックが銃を構えて、斜めにクっと傾けるの何?めっちゃかっこいいんですが。あれ家で真似してやってみたんだけど、全然カッコよくならないのね。キアヌだからか?髭か?

 

 

ハリウッド・スケールのビッグキャスティングにうっとり

天性の悪役顔ウィレム・デフォーに、みんな大好きジョン・レグイザモでしょ?ロシアンマフィアを演じさせたら右に出るものはいないピーター・ストーメアもいたし、さらにローレンス・フィッシュバーンまで出てるって!?これ『マトリックス』だっけ?『ウォンテッド』に出てたコモンもいる!なになに?次はハ、ハル・ベリー!!?『キングスマン』しかり続編に出るの好きやな。

とまあ、キアヌ・リーヴスだけじゃないんですよ。というか、キアヌ・リーヴスだからこそのこの豪華さなのか?もう「観る楽しみ」は十分すぎるほど詰まっています。

 

 

ちゃんと世界観に広がりがある

コンチネンタルホテルの要素が上手いですよねえ。チャプター1では、なんだか不思議な殺し屋御用達ホテルだったのが、ちゃんとチャプター2でその使い方や何故殺し屋御用達なのか映像で説明があるし、そこに遊び心や男心をくすぐるサービスがある。

コンチネンタルホテルのルールも、ただの殺し屋の制約にせず、ちゃんと物語に絡めてる。チャプター1からチャプター2にかけて、ジョンを取り巻く環境や彼の境遇に影響を与えてるのも素晴らしい。

で、小道具も良いよね。武器とか車以外の殺し屋だけが持つ小道具がめちゃくちゃ雰囲気を出してる。たぶんチャプター3でも忘れずにプロットの中に組み込んでくれてるはず!

 

世界中に殺し屋がいるって設定も、世界観の広がりプラス、アクションのバリエーションや登場人物の国籍や言語、舞台などの見せ方/聞かせ方の両面でちゃんと機能するよう計算されてるのも完璧です。

次作の予告編を見てると東洋&欧風な感じがビンビンなので、ちょー楽しみ。

 

 

おわりに

『ワイルドスピード/スーパーコンボ』でも書いたんですけど、最近のアクション映画ってアクションだけが見どころじゃないんですよね。アクション一つひとつの中に、製作者の映画愛や作品のコンセプト、登場人物の個性が反映されているので、何回も何回も見る価値がある作品がほんと多い。

なんで彼はあの時こんなアクションをしたのか、とか目線を動かしたり武器を投げたり、ただ逃げ回ってるようにしか見えない登場人物の動作にも、ちゃんとストーリーがあるのってすごくないですか?

 

このテのよくできたアクション映画ばかり見てると、これから007の新作とか見るのめっちゃ怖いです。巨額の制作費をかけて爆発とかさせてもやっぱ余韻が足らんのよね。

 

ジョン・ウィックの話に戻すと、このシリーズも何回も見ればもっと理解度が増して、面白さも積み重なると思うので、また感じたことがあれば追記します。

とりあえず最新作を観に行く休みを取らなければ……。

 

では!!