アガサ・クリスティ

ホワイダニットの金字塔【感想】アガサ・クリスティ『ABC殺人事件』

17/2/27 やや改稿 発表年:1936年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ11 本作は、名実ともにアガサ・クリスティの代表作に挙げられる名作であり、連続殺人事件を扱う際に最も重要になる、被害者同士の関連性(=動機にも繋がる)がミ…

雲をつかむ死【感想】アガサ・クリスティ

発表年:1935年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ10 パリ発クロイドン(ロンドン)行の飛行機内で起こった殺人事件を、偶然乗り合わせたポワロが解決に乗り出すという、今ではありきたりな設定の推理小説です。 飛行機の歴史は、1903…

三幕の殺人【感想】アガサ・クリスティ

本物の演劇というものを見たことがないので、あまり詳しくは知りませんが、そもそも、演劇や映画の脚本とは三幕構成になっていることが多いようです。 第一幕「設定」で、ストーリーの提起、主人公の目的が示され、 第二幕「対立」で、主人公が目的を達成す…

眩いほどの冒険小説【感想】『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』アガサ・クリスティ

発表年:1934年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ノンシリーズ かの名作『オリエント急行の殺人』の次に発表された本作は、先の作品とは違い、眩いほどの冒険小説です。 牧師の四男坊で元軍人のボビィが遭遇した一見転落事故に見える死亡事件。死亡した…

単純なのに複雑そんな乙女心のような一作【感想】アガサ・クリスティ『エッジウェア卿の死』

何言ってんでしょうねのっけから。 発表年:1933年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ7 早川書房ってほんと、いい仕事してますね。 ミステリや、SFの海外作品が充実してるのも、もちろんのこと、特にクリスティ文庫シリーズは表紙も…

シタフォードの秘密【感想】アガサ・クリスティ

発表年:1931年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ノンシリーズ 今作の舞台は、イギリス南部の花崗岩でできた高地にあるダートムアという町です。 今では、国立公園として保護されていることもあり、年間多くもの観光客が来訪するそうな。 本作は、ポワロ…

七つの時計【感想】アガサ・クリスティ

発表年:1929年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:バトル警視2 数字には各々意味があるって知ってましたか? ヨーロッパにおける数秘術(占いのひとつ)によるとこうなります。 1…独立や創造性、意志の強さ 2…感受性の強さ、協調協和 3…柔軟性、楽観的で変…

絶対に原題のまんまが良い【感想】アガサ・クリスティ『邪悪の家』

発表年:1932年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ6 原題の「Peril at End House」の通り、直訳では「エンドハウスの危機(または差し迫った危険)」となっており、古びた邸宅エンドハウスの女主人ニックに降りかかる怪事件に、ポワ…

マープル入門書にはこちらがオススメ【感想】『火曜クラブ』アガサ・クリスティ

発表年:1932年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ミス・マープル2(1) 初めてミス・マープルと出会ったのは、長編第1作『牧師館の殺人』でしたが、その時は未だマープルの人物像に馴染めなかった印象があります。実際、本作を読むまで、マープルは、そこ…

人生は汽車、それが全て【感想】アガサ・クリスティ『青列車の秘密』

発表年:1928年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ5 17/4/26やや改稿 タイトルの「青列車」とは、もちろん本事件の舞台となる寝台列車【仏:トラン・ブルー(作中ではブルー・トレイン)】のことですが、クリスティの名作『オリエント…

チムニーズ館の秘密【感想】アガサ・クリスティ

発表年:1925年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:バトル警視1 本作は、架空の国家ヘルツォスロバキアの王位継承問題・石油の利権をめぐる国家の対立・政治問題・殺人事件・隠された宝・歴史的大泥棒の登場など、様々なエッセンスをふんだんに盛り込んだ…

ポアロ登場【感想】アガサ・クリスティ

発表年:1924年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ 本作は、1924年に刊行されたクリスティ初めての短編集。 時期的には、ポワロ第2作『ゴルフ場殺人事件』と第3作『アクロイド殺し』の中間地点にあたります。 今更ながらですが、早…

ビッグ4【感想】アガサ・クリスティ

発表年:1927年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ4 本作では、ヘイスティングズ大尉が見事語り手として凱旋帰国し、お馴染みの迷探偵ぶりを発揮してくれるところまでが、いつも通りの展開です。 本作は、クリスティファンの間でも、…

茶色の服の男【感想】アガサ・クリスティ

発表年:1924年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ノンシリーズ なんとも好奇心の蓋が開かなさそうなタイトルですな。 よりによって、また『秘密機関』よろしく“ブラウン氏”の登場か?と思いきや、本作は『秘密機関』とは一線を画す、冒険ミステリなので…

やっぱり原作が一番【感想】『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティ

発表年:1939年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ノンシリーズ 17/3/26改稿 本作は、言わずと知れたミステリー作品の金字塔で、クリスティ作品の中でも特に異質な作品であることには違いはありません。最近、イギリスの大手放送局BBCや日本でも豪華な俳…

アクロイド殺し【感想】アガサ・クリスティ

発表年:1926年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ3 最も高名な推理小説はどれでしょうか? エラリー・クイーンのレーンシリーズ? ヴァン・ダインの『僧正殺人事件』? それともカーの『火刑法廷』か? クロフツの『樽』はどうでし…

秘密機関【感想】アガサ・クリスティ

発表年:1922年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:トミー&タペンス1 第一次大戦をのり越え、ロンドンの地下鉄で偶然再会した、幼馴染のトミーとタペンスが、青年冒険家協会なるものを立ち上げ、一攫千金を目指すのが大筋。 若きことは素晴らしきこととは…

牧師館の殺人【感想】アガサ・クリスティ

発表年:1930年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ミス・マープル1 初ミス・マープルです。 架空の村セント・メアリ・ミードに住む牧師のクレメントが語り手になり、村で起こる、ある殺人事件を紐解きます。 物語の大半は、クレメント牧師を中心に話が進…

『ゴルフ場殺人事件』アガサ・クリスティ【感想】推理合戦も見どころ

1923年発表 エルキュール・ポワロ2 田村隆一訳 ハヤカワ文庫発行 イギリス発祥と言われる紳士のスポーツ、ゴルフ。全世界のゴルフ場の数を見ても、イギリスはアメリカに次ぐ第2位の保有数を誇り、起源については諸説あるとして、ゴルフがイギリス人にとって…

スタイルズ荘の怪事件【感想】アガサ・クリスティ

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ミステリーの女王との出会い

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,中村能三出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2003/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 24回この商品を含むブログ (86件) を見る なんと前回の投稿から1年近…