2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ソルトマーシュの殺人【感想】グラディス・ミッチェル

発表年:1932年 作者:グラディス・ミッチェル シリーズ:ミセス・ブラッドリー グラディス・ミッチェルの作品は、残念ながら邦訳されているものが少なく、デビュー作でさえ未翻訳です。 1929年から1984年という長きにわたって、特異な探偵と異質な謎を中心…

厨二心くすぐる魔犬伝説の裏にホームズあり【感想】『バスカヴィル家の犬』アーサー・コナン・ドイル

発表年:1901年 作者:アーサー・コナン・ドイル シリーズ:シャーロック・ホームズ5 まず、雰囲気がたまりませんねー。ダートムアの陰鬱な池沼地帯を舞台に、魔犬伝説に準えた不気味な事件の幕が上がる、というなんとも厨二心くすぐる題材にワクワクします…

ブラウン神父の知恵【感想】G.K.チェスタトン

発表年:1914年 作者:G.K.チェスタトン シリーズ:ブラウン神父2 前作では、チェスタトンのトリック創案の妙に舌を巻きましたが、本作では風刺のきいたアイロニーや逆説めいた警句などが多く目につきます。 もちろん多種多様な謎とその解明方法には、驚かさ…

塩沢地の霧【感想】ヘンリー・ウェイド

発表年:1933年 作者:ヘンリー・ウェイド シリーズ:ノンシリーズ 軍人としてまた治安判事としても活躍したヘンリー・ウェイドは、イギリス本格推理小説の黄金時代を代表する作家の一人である。 彼の作風の一つとして挙げられるのが、リアリズムに則った警…

生涯ベストテンの一角【感想】アントニイ・バークリー『第二の銃声』

発表年:1930年 作者:アントニイ・バークリー シリーズ:ロジャー・シェリンガム5 じつは、本作に挑むまでに処女作の『レイトン・コートの謎』しか読んでいなかったため、何作か飛ばして本作を読むのには若干の躊躇いがありました。 そんな躊躇いを消し去っ…