『幸運の脚(幸運な足の娘)』E.S.ガードナー【感想】ミステリ史初の解決編?

The Case of the Lucky Legs 1934年発表 ペリー・メイスン3 中田耕治訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリー発行 前作『すねた娘(怒りっぽい女)』 次作『吠える犬』 ネタバレなし感想 「“幸運の脚の女性”マージョリーというモデルが詐欺にひっかかった」彼女…

ブログをやっておいて良かったと思う理由2選

〜な理由◯選とかにしておけば絶対大丈夫と、Google先生は仰っていたのですが、選が少な過ぎる場合の書き方は教えてくれなかったので、このまま投下いたします。 早いものでブログを開設してから6年が経ちました。最初の投稿をしてから約1年はさぼっていた…

『評決』バリー・リード【感想】正しさを求めた男たちの英姿

1980年発表 ダン・シェリダン1 田中昌太郎訳 ハヤカワ文庫発行 バリー・リードという男 バリー・クレメント・リードは1927年カリフォルニア生まれ。第二次世界大戦にも従軍し、終戦後はボストンカレッジで法学の学士号を取得し弁護士としての道を歩み始めま…

『毒ガス帯/地球の悲鳴/分解機』アーサー・コナン・ドイル【感想】表題作だけじゃない粒揃いの中短編集

1913~1929年発表 チャレンジャー教授2 龍口直太郎訳 創元SF文庫発行 前作『失われた世界』 次作『霧の国』 一言で「面白い!」と言える名作短編集だった。約100年も前に書かれたとは思えない謎めいたSF小説として、またチャレンジャー教授のハードボイルド…

『金蠅』エドマンド・クリスピン【感想】鋭いトリックのその先に

1944年発表 ジャーヴァス・フェン教授1 加納秀夫訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリー発行 次作『大聖堂は大騒ぎ』 初エドマンド・クリスピンということでまずは簡単に作者紹介から。 エドマンド・クリスピンという男 エドマンド・クリスピン(本名ロバート・…

原因不明の頭痛・眼痛に一週間悩まされた原因が全く驚くに値しなかった件

※筆者は医療従事者ではなく、当記事も一体験談であり治療方針等を指示するものではございません。 SEO対策的には「驚愕の原因」とかにするところだが、いたって普通の結果だったため何か変な感じになったがご了承いただきたい。同じようなことで悩んでいる方…

ぼくねこ、家を買う【見極めろ、営業マン編】

前回の投稿から早くも1年が経とうとしているが、2020年7月現在まだ家は建っていない。建っていないどころか着工もしていない。コロナウイルスの影響は住宅業界にも波及しており、特に中国に工場を持つ住宅設備メーカーが打撃を受けたことにより、住宅設備…

『ガーデン殺人事件』S.S.ヴァン・ダイン【感想】予定調和が心地良い

1935年発表 ファイロ・ヴァンス9 井上勇訳 創元推理文庫発行 前作『カシノ殺人事件』 次作『誘拐殺人事件』 結論から言うと普通に面白かったです。「普通」というと失礼かつ曖昧な表現になってしまいますが、古き良き時代の雰囲気を保ったまま、ミステリにお…

『ハートの4』エラリー・クイーン【感想】ハート♡が邪魔

1938年発表 エラリー・クイーン13 青田勝訳 創元推理文庫発行 前作『悪魔の報復(報酬)』 次作『ドラゴンの歯』 本作は≪国名シリーズ≫と≪ライツヴィルシリーズ≫をつなぐ≪ハリウッドシリーズ≫……ってコレ、ここ何作かのエラリー・クイーンの感想でずっと言っ…

私のミステリ遍歴

ひょんなことから、ある団体から「ぼくねこさんのミステリ遍歴を教えてください」と頼まれたいなあと思って書きました。 小学校1年生の時に親が離婚した。母は私を育てるため昼はトラックの運転、夜は新聞配達と働き通し、私は何の予告も無しに一人になった…

『きまぐれロボット』星新一【感想】子どもにも読ませたい

1966年発表 角川文庫発行 収録作 部門別ベスト3 ロマン部門 SF部門 ホラー部門 ユーモア部門 フラッと立ち寄った古本屋で見つけた一作。そういえば子どものころ理論社発行の絵本版『きまぐれロボット』にどっぷりハマっていたっけ。だからか今でもタイトル…

刑事コロンボ感想【♯1~♯5】

突然始まりました、刑事コロンボの感想記事。ミステリ好きなら外せないシリーズです。 最近、三谷幸喜氏脚本の名ドラマ古畑任三郎シリーズのリメイクの噂が出ましたけど、本作がモデルになってるわけで、やっぱり見とかないといけません。数年前に見た作品も…

『ウィッチフォード毒殺事件』アントニー・バークリー【感想】犯罪学の試みが大成功

1926年発表 ロジャー・シェリンガム2 藤村裕美訳 晶文社発行 前作『レイトン・コートの謎』 次作『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』 アントニー・バークリーが創造した名探偵ロジャー・シェリンガムシリーズ第2作です。シリーズ第1作『レイトン・コ…

『読者よ欺かるるなかれ』カーター・ディクスン【感想】語彙力崩壊級の問題作

1939年発表 ヘンリー・メリヴェール卿9 宇野利泰訳 ハヤカワ文庫発行 前作『五つの箱の死』 次作『かくして殺人へ』 ネタバレなし感想 めちゃくちゃカッコいいですよねタイトル。響きも良い。「るる」の部分が特に最高です。でもオシャレなタイトルと違って…

『月長石』ウィルキー・コリンズ【感想】安心してください、めっちゃ面白いですよ

1868年発表 中村能三訳 創元推理文庫発行 衝撃的で視覚に訴える殺人事件や目を瞠るトリック、秀逸かつ説得力のある動機、予想を覆す意外な犯人。これらは推理小説にとって必要不可欠なものと言われています。一方で登場人物のリアリティやユーモア描写は付加…