付録:倒叙寸評【感想】F.W.クロフツ『クロイドン発12時30分』

発表年:1934年 作者:F.W.クロフツ シリーズ:フレンチ警部11 訳者:加賀山卓朗 本書の読了を持って三大倒叙ミステリをすべて読破したわけですが、どうもノってこない一作。 「倒叙」とはいえ、まず最初に殺人が描かれるってのは『殺意』や『叔母殺人事件』…

歴史のお勉強【感想】ジョン・ディクスン・カー『エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件』

発表年:1936年 作者:ジョン・ディクスン・カー シリーズ:歴史ミステリ 訳者:岡照雄 歴史ミステリにチャンレンジするのは、ポール・ドハティー『毒杯の囀り』に続いて僅か2回目。しかも今回は同じ歴史ミステリでもちと違います。 『毒杯の囀り』は1377年…

シャーロック・ホームズ短編ベスト10【海外ミステリ読了200冊記念】

特定の作家、特定の作品のベスト10系の記事を書くのが初めてなので、だいぶと気合が入っております。 今年の3月にめでたくシャーロック・ホームズ全作を読破し、その時短編ベスト10を決めてみようとは思っていました。 折よく、2015年からハマった海外ミス…

ソフトボイルドがいい塩梅【感想】E.S.ガードナー『ビロードの爪』

発表年:1933年 作者:E.S.ガードナー シリーズ:弁護士ペリー・メイスン1 訳者:小西宏 粗あらすじ 《謎探偵の推理過程》 弁護士ペリー・メイスンといえば、ミステリ界においても屈指の長寿シリーズです。 40年にもわたり計82もの長編に登場するペリー・メ…

ファンタジー世界への憧憬の原点【感想】J・J・R・トールキン『指輪物語/旅の仲間 上1・2』

長々と自分の偏愛ぶりを語る必要はありません。 自分がファンタジーに求めているものすべてが詰まった作品、ファンタジーというジャンルに感じる強い憧憬の原点となっている作品、何度見ても胸が高鳴り体が熱くなる作品、それが『指輪物語』です。 映画は毎…

生産性より弱産性【メリット】

見るからに出オチ感満載のスタートをきったわけですが、やっぱ流行にはノッていくスタイルでお送りしている当ブログですから、触れないわけにはいけません。 ※ちなみに今回一番の問題になっている差別事案にはほとんど触れていません。あしからず。 いけいけ…

着想の限界か【感想】S・S・ヴァン・ダイン『ケンネル殺人事件』

発表年:1933年 作者:S・S=ヴァン・ダイン シリーズ:ファイロ・ヴァンス6 訳者:井上勇 エラリー・クイーンに多大な影響を与えたとされる、ヴァン・ダインですが、その有名な名前に反して、作品の評価はあまり高くないように思えます。 どうしても、ちょ…

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』【ネタバレなし感想】熱い夏にオススメできるモンスター・パニック・ホラー

引用:Universal Stadio 前作『ジュラシック・ワールド』の悲劇から3年。人の手を離れ、恐竜の島と化したイスラ・ヌブラル島は、火山噴火によって危機的状況に瀕していた。島に棲む恐竜たちの命を救うため、再びオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブ…

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』【ネタバレなし感想】真新しいものはない

引用:2018 Lucasfilm Ltd.&TM 『スター・ウォーズシリーズ』屈指の人気キャラクター、ハン・ソロがいかにして愛すべき悪党〈ハン・ソロ〉となったのか。生涯の相棒チューバッカや愛機ミレニアム・ファルコン号との運命的な出会いとは!? という触れ込みで、…

SurfaceProの購入を迷っている人の背中を押したい【新しいおもちゃ】

えー、ついに買ってしまいました。ほんとならもうちょっとお小遣いをためてからと思っていたのですが、先日のAmazonプライムデーで出ていた本体・キーボード・専用ペンの3点セットをついつい購入してしまいました。支払いは家族のクレジットカードで決済し…

ホームズ時代へのリスペクトが詰まった一作【感想】エラリー・クイーン『チャイナ橙の謎』

発表年:1934年 作者:エラリー・クイーン シリーズ:エラリー・クイーン8 訳者:井上勇 空前絶後の超絶怒涛の“あべこべ殺人”がご登場です。 事件が起こるまでがかなり印象深いので、なるべくボカシながら書きたいのですが、インパクトという意味では超ど級…

家族でディズニーランドへ行ってきたので注意点、反省点を記録するよ【ホテル・パーク編】

ディズニーランド・シー旅行記の2回目ですが、今日はホテルとパークを振り返っていきたいと思います。 ※無駄に長いので、お時間のある時にお読みください。 【ホテル編】 なぜ今回最上級のディズニーランドホテルを選んだのか? また泊まってみようかな、と…

家族でディズニーランドへ行ってきたので注意点、反省点を記録するよ【飛行機編】

ワールドカップも終わっちゃいましたねえ…あんなに熱心にGLの試合予想をしていた数週間前の熱はどこへやら。 真夏の暑さとは裏腹に、液晶の中のサッカーボールを追う観戦小僧の熱は、すっかり冷めてしまいました。 そもそも、7月11日の準決勝の日から2泊3日…

ホームズ時代最後の超人探偵【感想】アーネスト・ブラマ『マックス・カラドスの事件簿』

発表年:1914~1927年 作者:アーネスト・ブラマ シリーズ:マックス・カラドス 訳者:吉田誠一 初アーネスト・ブラマということで、先ずはあっさり作者紹介。 彼のことを紹介するのに一番適している単語は「秘密主義」です。どんな集まりにも顔を出さず、要…

絶妙な配合比率で生み出された力作【感想】F.W.クロフツ『ホッグズ・バックの怪事件』

発表年:1933年 作者:F.W.クロフツ シリーズ:フレンチ警部10 訳者:大庭忠男 フレンチ警部シリーズもついに10作を突破しました。ポワロシリーズで言えば『雲をつかむ死』(『ABC殺人事件』のひとつ前)なので、ミステリ作家としても中堅になり油の乗った時…