僕の猫舎

主に海外ミステリの感想を綴るブログです

M-1グランプリ2017総評

実は随分前から一度やってみたかったんですよね。お笑いについて語ってみること。

ほんとブログって、大好きなことを誰の目も気にせず自由に言える素晴らしい世界です。

 

ということで、昨日M-1グランプリ2017が開催されました。

やっぱり視聴者なら、漫才師たちが披露するネタを自分なりに採点して順位付けするじゃないですか。私ねこも審査員になりきって採点し、松本人志氏と点数が同じならニヤニヤしたりして自己満足の時間をまったり過ごしました。

そして本来口述で評価がし難く、順位付けの難しいお笑いという競技を、自分なりに分析し評価できそうな気がしてきました

今日は、各ネタの評価から始まり、今回の結果へと辿り着いた道程、はたまたM-1の抱える問題点、そして最後にはお笑いとは、みたいなことまで好き勝手書いていきたいと思います。
以下敬称略

あとちょっと長いんで、おヒマなときにでもご覧ください。

 

 

 

各ネタ評価

まずはファイナリストたちのファーストラウンドの得点がこちら。

色が変わっているところは自分の評価が違うところ。

 

1位  和牛653

2位  ミキ650

3位  とろサーモン645

4位  かまいたち640

4位  スーパーマラドーナ640

6位  ジャルジャル636

7位  さや香628

8位  ゆにばーす626

9位  カミナリ618

10位  マヂカルラブリー607

 

ねこの採点(順位)と評価はこちら

1位  和牛

水田(ボケ)の嫌みで理屈っぽいキャラクターと川西(ツッコミ)の特徴的な声とイントネーションで発せられる往なすような独特のツッコミが完璧に調和していた。

ボケの手数もそこそこ多いが、なによりも計算高いプロットがネタの根底にある。前半に撒いた伏線を後半で丁寧に回収し、それが笑いに繋がるところに凄味を感じる。

 

2位  ミキ

破茶滅茶な弟亜生(ボケ)に手を焼き苦労する兄昴生(ツッコミ)という構図は、まさに兄弟漫才師でしか生み出せない旨味

お揃いで落ち着いた色合いのスーツという衣装も、往年の漫才師たちを思い出させ好感がもてる。

畳み掛けるようなボケは、NONSTYLEを彷彿とさせ、その物量・質ともに高いが、時には何を言っているのかよくわからなくなる(昴生)こともある。NONSTYLEと違い、動きで笑いを取るのがツッコミの昴生というのは面白い。

 

3位   ジャルジャル

ジャルジャル史上最高のネタだったと思う。

彼らがやっていること唯一無二なのは間違いないが、それが一体なんなのか、どこに面白さがあるのか把握するのに時間がかかるのが致命的。

彼らが持つ大きすぎる知名度や自分たちのスタイルそのものに阻まれた印象。

 

4位   とろサーモン

個人的に久保田(ボケ)は大好きだが、今までで一番何言ってるかわからなかった

決勝ネタ「いし焼き芋」は舞台設定から脆弱

久保田のサイコっぷりが良かっただけに、ツッコミがもっとキレていれば順位は上がっていたのでは。

 

5位  さや香

元気よくできました。という感じ。

ネタは一貫しており、ボケの質も良かったが、あと少しボケ数が多ければ

とはいえ新山(ボケ)の容姿と動きのギャップは大きな武器。今までのM-1でも目にしたことのない新しい風を感じる。今後に期待大

 

6位  ゆにばーす

立ち位置を変えた南海キャンディーズ。久々にこの手の漫才を見るとやっぱり面白い。川瀬(ツッコミ)がはら(ボケ)を上手く料理できていて、良い凸凹具合だな、とは思うが、なんせネタ順が不運

 

7位  スーパーマラドーナ

1回戦のネタは完全にチョイスミス。もっと面白いネタはいっぱいあるはず。

前半の伏線の回収も中途半端で、同じスタイルで戦う和牛を超えれなかったのが敗因

 

8位  かまいたち

こちらも同じスタイルを持つとろサーモンに喰われた印象。M-1で勝ち切るには少しパンチが弱すぎたか。

 

9位  カミナリ

テンポが悪い

ネタは精巧でよく考えられているが、ボケの物量も少なく、テンポが悪いためとにかく単調。

もっと波状攻撃ができれば順位は上がっていたかもしれないがそれでも上位3組は難しい。

 

10位  マヂカルラブリー

面白くない。(後述)

 

 

 

総評

今や年末の風物詩となったM-1グランプリですが、芸人が売れるための登竜門としてだけじゃなく、お笑いの正統(オーソドックス)と革命(ジェネレーション)の融合の場だと思ってます。

そんな観点で、今回も新しい笑いと古典的な漫才を上手く組み合わせた漫才師が高評価を獲得する傾向にあると思いました。

 

今回の大会で審査員がよく口にしていた言葉で「ベタ」という表現があります。俗語で「ありきたり」や「特別でない」という典型的な漫才に高得点が付けられる一方で、ツッコミやボケの新しい形、ネタの見せ方にも革新的なものが求められているのが事実です。

 

そういう目線で、再び決勝に残った3組を見てみましょう。

まず和牛ですが、1回戦のネタは完ぺきだったと思います。水田がやりたいと言ったことを有無を言わせず川西にもノらせる、というツカミ(伏線)が、ネタの後半にしっかり活かされている(川西のジョブズスタイル)のには鳥肌が立ちました。

 

笑い飯のようにWボケということではなく、ボケにツッコミが強制的にノらされるある意味でノリツッコミの変則パターンです。

それは決勝ネタでも盛り込まれ、安定度、ボケの質ともに最高クラスの出来だと思いました。

 

しかも川西のツッコミが最高です。

関西弁特有の角が取れて、独特の丸みを帯びたフレーズがずっと耳に残ります。

ネタ終わりのコメントも落ち着きがあり、来年も来るだろうな、と思わせます。

 

一方で決勝に進出したミキとろサーモンは革新的という部分では一歩及ばずといったところでしょうか。

審査員の意見でもありましたが、ミキはベタすぎた。

一つ一つのボケの精度やツッコミのキレを磨いた努力はひしひし感じましたが、それでもチャレンジ精神はあまり感じられませんでした。

とはいえツッコミに動きを持たせる、という試みは面白いと思いました。

歴代のM-1優勝者でもここまで動くツッコミはいなかったはず。このスタイルがコンビの中で確立され、定着(これ大事)すれば、来年度優勝はあると思います。

 

最後はとろサーモンです。

とろサーモンのもともと持っていた新しい形は「すかし漫才」です。

ツッコミの村田が淡々と一人で話をし、ボケの久保田が散々ちゃちゃを入れるのですが、村田は終始無視、ツッコムとしても冷徹に心のこもっていない様が笑いを誘います。

ただですね、このスタイルを捨てたのは大正解だったと思います。

「すかす」というのは、漫才に必須の掛け合いとは相反するものだからです。

そんな独自のスタイルを捨て、久保田のサイコなキャラクターを全面に押し出したごく普通の漫才、それが今回のとろサーモンの漫才です。

 

そして久保田のキャラクターが上手くハマっただけの気がします。これも後述しますが審査員の「好み」でね…

 


あと触れたいのは2組。
まずはジャルジャル

個人的にジャルジャルのネタが好きです。

ただ彼らのネタが複雑で高尚なお笑いをやっているとは微塵も思っていません。同時に、わかる人にはわかる、好きな人は好き、という短絡的な評価もしていません。

単純に言えば高校生ノリです。

 

確かに彼らのネタは、

「何が面白いんだろう」

と考えるところから始まります。

「何が面白いんだろう」は

コイツら何を面白いと思っているんだろう

とほぼ同意です。

なぜか見ているこっちの方が、ネタに踏み込んで何が面白いか反芻して理解しなければいけない。めちゃくちゃ遠まわしで無駄の多いネタなのです。

 

ただ、今回のネタでは、めんどくさいネタの中に大きなフリを二つ忍ばせていました。

前半で「ピーンを5回言う」と「ピンポーンのイントネーションの違い」という二つの伏線を張り、それを後半回収する。

このスタイルを見ると、実は今回ジャルジャルは、決勝に進出した和牛やスーパーマラドーナと似たようなところで戦っていることに気付きます。

しかも彼らが漫才における正統を全て捨てたか、と言われるとそうでもありません。

センターマイクを中心とした立ち位置をほとんど崩さず、お互いの喋くりだけでネタを披露するスタイルだけに注目すれば、今回の和牛やゆにばーすのような、舞台を大きく使うある意味邪道なネタとは一線を画しています。

 

ちなみに今回のように舞台を大きく使えるのは指向性マイクのあるおかげですからね…個人的にはセンターマイクをあまり外して欲しくない。舞台を大きく使うならコントでしょ。

 


最後は最下位マヂカルラブリー

圧倒的に面白くなかった(ツッコミ)。

野田(ボケ)は大好きです。

アメトーークでもちょこちょこ見かける期待の若手で、今後も期待しかありません。

 

ただ今回のネタはダメだ。

 

村上(ツッコミ)が観客が思っていることをただ説明するだけの木偶の坊になってます。

この程度なら、陣内みたいにピンでやってナレーション付けるだけでいいし。

 

ツカミは抜群(しかも彼らの十八番)だっただけに、村上の単調な説明は絶対にやめたほうが良い。最初は淡々としてても良い。どんどん我慢できなくて怒りだして烈しくツッコむとかでも良い。何か変化が欲しかった…

 

何目線だと思われるかもしれませんが、結構好きなコンビだったんですよ…

私ねこなんて野田の脇汗だけでツボってましたから。

 


そんなこんなで長々と各コンビの評価と総評をやってきたわけですが、最後はM-1の問題点についてさらっと書いておきたいと思います。「お笑いについて」はやめておきます。「お笑い」やったことないんで。

M-1の問題点

ネタ順に関しては毎年言われてますね。

今回は、今までと違って、本番直前にクジで選ばれたコンビから順にネタを披露するという形式に変わりましたが…

 

本質変わってなくね?

 

今まで予め決まっているトップバッターが一番不利という問題があって、それを解決?しようとして変えたわけですよね。

でもババ引く誰かを事前に決めるか、当日決めるかだけで、トップバッターが不利という問題は依然解決していないわけですよね?

なんか問題すり替えてませんか?

 


案の定トップバッターゆにばーすは、ネタの完成度も高かったにも関わらず点数は伸びず。

 

1本目1番にネタをするコンビが不利な理由は、彼らのネタが何故か採点の基準となってしまうところにあります。

どうしても90点前後をつけるしか無い。

 

でも、お笑いって何かを基準にして採点すること自体ナンセンスです。なぜコンビもネタもスタイルも違う者同士を比べなければならないのか。

純粋にネタの面白さをポイントに反映させる、ということが最初っからできていないところに大きな問題があります。

 

とはいえ、審査員の方々はなんとかネタの面白さだけを見ようと苦心しているのも見えるんですよねえ…

それが、審査員の方々の「好き」という言葉に集約されていると思います。

好きor嫌いでも、善し悪しでもないんです。

 

好きor大好き。

面白いor超面白い。

 

そんなお笑いの極限を突き詰める真っ直ぐな姿勢を感じれたので採点に関しては文句なし。

 

だからこそ、

やっぱり全コンビ2本ネタしましょうよ。

 

1本目のネタ順は抽選でも良い。

でも一番最初に会場を温めた最初のコンビには、もう一度公平なステージで2本目のネタしてもらいましょうよ。

2本の合計点でも良い、ランキングでもいい。

とにかく2本見て決めてほしいな、と思いました。

 

素人からは以上です。

 

では!