全国の、大人になりきれない悪ガキどもに捧げるSUM41

今回は少し趣向を変えて、おすすめの音楽を紹介してみようと思います。

 

 

学生時代、バンドを組んでいたこともあって、そんなに幅広くとはいきませんが、和洋問わずいろんなROCKに触れることができました。

中でも高校3年間ずっと、ど真ん中ドストライクに聞き続けていたのが、今日紹介する、カナダ出身のロックバンドSUM41です。

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引用: http://okmusic.jp

ヴォーカルのデリックがあのアヴリル・ラヴィーンと結婚していたり、離婚後アル中になって死にかけたり、バンドメンバーの加入脱退が多かったりと話題には事欠かず、これぞロックバンドなエピソードも多いのも魅力の一つ。

おすすめアルバムや面白エピソードといった話は、他のブログにおまかせするとして、当ブログでは1点だけ。

FatLip』という曲だけを元に、SUM41の良さの全てをお届けしたいと思います。

ということで、まずは一度、頭の中を空にして聞いてください。

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まず印象に残るのは、冒頭のラップです。コンビニエンスストアらしき場所で、中国系の店長に対し、カウンター越しにラップをかますという、全く合理的な説明のできない、意味不明なオープニング。

一番初めに喋り出すのは、ドラム担当のスティーヴ。見るからにお調子者というか、目立ちたがりな気質なのがわかります。このラップ部分は、ボイパっぽいことをしているベースのジェイソン長身・童顔)以外が、交互に入れ替わって歌っているのですが、[0:08]あたりで、リード・ギターのデイヴがラップに入ってくるときに、スティーヴは両手の人差し指を立てて頭の上でフリフリしているのが可愛い過ぎます。

彼の天性のノリの良さが、SUM41の魅力の一つになっていたことは間違いないでしょう。さらにラップ披露が終了し、「プスィ~」とボイパの余韻っぽい音を出すジェイソンや、「さあどうだ」と言わんばかりの顔と身振りで店長を挑発するデリックしかり、このオープニングを見るだけで、SUM41がどんなバンドか声を揃えて言うことができます。

 

そう、悪ガキバンドです。

 

 

『FatLip』のMVでは、終始、悪ガキが登場しています。実際に悪いことをしているかいないかは別にどうでも良くて、悪(そうなことをしていそうな)ガキが多く登場するのに注目してください。たった二十秒ほどの伴奏中に、ショッピングカートに収まる少年、舌を付きだし挑発するカップル、原付にまたがるエルビス似の青年、何故か暴れるアヒルを抱える少年、半裸でシャドーボクシングする少女などの、いかにも悪そうなことをしそうなガキどもが登場します。

そして、またドラムのスティーヴによるラップ調のAメロから、スピード感あふれる演奏が始まるのです。

 

続くBメロでは、どんなに英語が苦手な人でも聞き取れてしまう一つの英単語が登場します。[0:51]小節の最後に登場するから、もともと聞き取りにくくは無いのですが、“HighSchool”としっかり言っているのがわかるでしょう。ただここで勘違いしてはいけない点が、この曲が学生ノリで歌っているわけではない、ということです。

HighSchoolが登場するくだりでも、彼らは過去の自分を思い返して、やるせない社会やレールに敷かれた人生を歩むよう急かす大人や親たちに対し「おれはガキの頃からなんにも変っちゃいねえぜ。ぐちぐち言うんじゃねえよ。」とこれまた(年齢だけは)大人目線で訴えているのです。

 

この主張の正否は別に問題ではありません。そもそもROCKとは、全ての事象に対する反抗精神の具現化だと考えているので、これ以上ROCKな曲はありません。

根拠がなくとも、合理的に説明できなくても、どんなに強大な権力を目の前にしても、嫌なものは嫌と言える。そんな爽快で痛快なロックナンバーでに仕上がっています。曲名『FatLip(太った唇)』もアンジェリーナ・ジョリーのようなぽってりしたセクシーリップのことではないはずです。センコー(ある意味力の象徴)や親に殴られ腫れた唇でしょうか。ただ、そんな腫らした唇で、折れそうになった心で歌う『FatLip』は、それこそロックの象徴のような型にハマったものではありませんでした。

 

力強い怒涛のサビを2回繰り返すと、突然音は止み、ポロンポロンと物悲しいメロディに包まれます。[2:00]これがあのバカバカしいラップから始まる同じ曲なのかと驚くに違いありません。“Don't count on me”(おれに期待なんかするなよ)という哀愁漂う歌いだしで始まるこの数小節は、胸をギュッと掴まれるような哀しい旋律とともに、負の感情を爆発的なロックエネルギーへと変換させる前兆すら感じさせます。

そしてまた激しいラップの渦。まるで社会の荒波を表すかのような、急激な落差のある曲調に必死で付いていき、三度サビに突入すると、曲全体に対するイメージがまた変わります。序盤の、どこかむしゃくしゃとして、ヤケクソのような感じが抜け、バンドメンバー4人が踊ったり手を取り合うシーンからは、ファンキーでクレイジーないつもの悪ガキたちが、楽しそうに演奏している様が見て取れます。

これこそがSUM41の良さなのです。

アホらしい子どもっぽいオープニングに始まり、ノリの良いテンポで曲を刻み、独特のメロディで心を揺さぶったあと、不意打ちのような強烈なラップをお見舞いする。そしていつのまにか楽しくなって笑ってしまう。

 

全国に、いや全世界にいる、大人になりきれない、なりたくない悪ガキすべてに、今こそSUM41を聞いてほしいと思います。どんな行為にも、理由や根拠を求められる縛られた世界の中で、決して勝ち目のない戦いに挑む悪ガキ代表の4人組が奏でる孤高のROCKを聞けば、ストレス社会で蝕まれた精神が癒されるどころか、そもそも、そんなことどうでもよくなること間違いなし。

 

 

ややまとまりに欠ける記事になってしまいましたが、思ったより膨らんだ気がします。いや、そもそも楽曲自体が素晴らしいんですよねえ。

私も休日の朝は、SUM41の大音量とともに始まるくらい好きなバンドなので、是非聞いてみていただければ嬉しいです。

 

デビューアルバムも素晴らしいんですが、お気に入りはコレ!

 

Does This Look Infected

Does This Look Infected

 

 ちなみに『FatLip』は入ってません…

 

 

 

では!