僕の猫舎

主に海外ミステリの感想を綴るブログです

海外ミステリ100冊読破記念に海外ミステリのすすめを書いてみる

ようやく海外ミステリの読破数が100冊を超えました。

積んでる本の総数から言えばやっと4分の1に到達したくらいです。

  

はじめに

海外ミステリの読了冊数の100冊到達記念に、ひとつ海外ミステリの魅力みたいなものを綴った記事を書いてみようと思います。

海外ミステリに対してどこか抵抗があったり、誤った先入観を抱いてしまって未だ手に取っていない方が、少しでも距離が縮まる助けになれば幸いです。

助けに、とかなんとか言ってますが、まず前置きとして、私は国内のミステリ作品をほとんど読んだことがないことは、素直に白状しておきます。ただ、決して今まで全く触れてこなかったわけではありません。思い返せば小学6年生までに、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズは全巻読破したし、テレビドラマの2時間サスペンスなどは毎週かかさず見ていたので、国内のミステリの面白さもほんの少しはわかるつもりです。

しかし、国内ミステリを読んだことがないゆえの、それこそ偏見や先入観が私の中にあるのも事実なので、寛容な気持ちで読んでいただければ幸いです。

 


オススメポイント其の①

異国・異文化への興味

海外ミステリといってもその内訳はほとんどが欧米諸国だといっていいと思います。

皆さんは欧米諸国へ旅をしたことはおありでしょうか。私はあると言っても、フィンランド・フランス・イタリア・ドイツしか行ったことはないのですが、それはもう素晴らしい経験でした。もちろん旅行に費やす費用や準備にかかる期間、現地で立ちはだかる言語の壁、といった苦労は多く、それらの理由で海外旅行を敬遠している方も多いと思います。しかし、異国の雰囲気を実際に味わい、同じ地球上とは思えない多様な文化に触れると、なんと自分がちっぽけな世界で暮らしていたか痛感させられます。

また、そういった体験を経ると、帰国した時に感じる日本の素晴らしさも一入で、愛国精神を育まれるのはもちろんのこと、全く違う文化からうける刺激というのは計り知れないものがあります。

 

なにが言いたいのか。それは、海外ミステリを読むことで、実際に現地を旅するかのような疑似体験ができる、ということがひとつ。また、海外ミステリを通して、海外の文化に間接的に触れることができ、それがさらなる興味を刺激する、ということです。

 

ただやはり海外ミステリは出てくるワードからしてわからない。これもまた事実です。

実は最近、日本の推理小説の先駆者でもある江戸川乱歩氏の短編集を手に取って読んでみました。1924年に発表された『D坂の殺人事件』という短編に中に、事件の舞台となる本屋の間取や建物の造りなどの描写がでてくるのですが、自分でも驚くぐらい意味不明な単語と多く出合いました。例えば、尺や間といった単位がまずピンときません。腰高障子とは、板塀とはなんだ。それを調べるところから読書は始まりました。

わからない=つまらない、面白くないということではないのです。

知りたい、と思わせる魅力が作中にあるかどうかが一番の問題なのではないでしょうか。

 

海外ミステリは、そういった観点で、スタート地点がまず「知らない」という位置から始まっているので、興味を掻き立てられる作品に出会う可能性が多いと(強引に)言えます。

 

これから海外ミステリに挑戦しようと思っている読者の方々には是非、異文化の雰囲気に浸ってほしいと思います。

別世界、という意味に置き換えれば海外ファンタジー・SFなんかものめり込む効果があるでしょう。しかし、海外ミステリとの違いはその堅実な土台にあります。そこにはドラゴンも未知の技術も登場しません。金持ちと貧乏がおり、愛や金の為に一線を踏みこえる犯罪者と犯罪を憎む人間がいます。海外ミステリに登場する世界は異世界でも別世界でもない、もっと身近な隣り合わせの世界だということです。

 

オススメポイント其の②

大量の横文字たち

うん?これは一見マイナスポイントなのではないか?と思った方も多いかもしれません。たしかに海外ミステリを苦手とする読者の多くが、登場人物名の覚えにくさを要因の一つに挙げています。また、地名や固有名詞などもイメージがしにくく、とっつきにくさの原因なのは確かでしょう。

登場人物の名前については、東京創元社のコラムで【覚えやすいあだ名をつけてみる】という方法が紹介されていました。たしかに一理あります。覚えやすく脳内で編集するという具体的な対策はたしかに効果がありそうです。しかし、私は別の方法を紹介したいと思います。

 

それは…覚えない!ということです。

 

私からすれば、日本の人名の方が覚えにくく、違和感を感じるところなのです。

例えば、

山本耕作(51)

石田哲郎(60)

確かにいそうな人物名。

人によっては知人に、親類に近似もしくは同姓同名の実在の人物がいる、という方もおられるでしょう。しかし、私はそんな「いそうな」名前を目にする度に、誰か背後に演者がいて、登場人物名が役名に見えてしまうことが多々あります。また、馴染の名前や実在の地名が出てくると、そんな場所で陰惨な殺人事件が起こるという現実感のなさが一層強く感じられ、物語に入り込みにくい時もあります。

既知ゆえにありえないと疑ってしまい、全く知らない人名や地名だからこそ受容性が高まるとは考えられないでしょうか。

つまり、海外ミステリの読みにくさが、多くの横文字に起因しているという問題は、一つの先入観の産物ともいえると思います。

 

そもそも、漢字よりもカタカナの方が、覚えやすい…ことないですか?

ひらがなを漢字に直すテストで100点を取る自信はなくても、カタカナに直すテストではまず間違いなく100点取れます。譲治とジョージ、亜理紗とアリス、これらの人名「のみ」を覚えろと言われればそこまで困難ではありません。しかし同時に、隆治(りゅうじ)や梨沙(りさ)が登場すれば話は変わってきます。語感が似た人物が出てきた時、登場人物欄を見返さない自信はおありでしょうか。

 

横文字を覚えるための一番の方法は、何度も「見る」ことであり、ある意味無理に覚える必要は無いかもしれません。10回も見れば確実に、5回も見ればほぼ記憶にとどめることができるからです。

かなり強引ですかね?

 

オススメポイント其の③

翻訳者の情熱

原作者の情熱ではないのか、と。

たしかに原作者は自分の作品に対する情熱や愛情をたっぷり注ぎ込んでいることでしょう。しかし、英語やその他の外国語を流暢に話すことのできない多くの日本人にとって、その熱を直接感じとるのはかなり難しいことです。むしろ好きな作家が書いた原作の入手でさえ困難です。その物理的な障害を取り除いてくれるのが、翻訳者なのです。当たり前のことですが、彼らの知識と努力がなければ決して海外ミステリは存在しません。

 

全く異なる背景を持ち、違う言語で書かれた作品を、ただ日本人にわかりやすく伝えるためだけに心血を注ぐ。たとえそれが彼らにとって生活の為の仕事だったとしても、そこには最低限の原作に対する愛情と深い理解が無ければ成り立たないのではないでしょうか。

 

ひとつ次に海外ミステリに挑戦するとき、彼らの功績にも心を留めて読んでいただきたいです。厳密に言えば日頃私たちが読んでいる翻訳ミステリが原作とは一種の違う作品であるということを踏まえて、海外ミステリを読んでください。

その結果、作品ごとの特徴や作風を理解でき、作品または著者への興味が増したり、心に感動を覚えた時には、原作への尊敬・愛情・理解を前提とした翻訳者の称賛に値する功業があることを忘れてはいけないと思うのです。

 

 

おわりに

書き終えて、今回書いた海外ミステリの魅力はそのまんま、忌避感に繋がってしまう部分にもなってしまうんじゃないかと少し危惧しています。海外嫌いという方はそんなに多くないと思うのですが、苦手なのはしょうがないですしね…

 

また改めて、海外ミステリ好きだなぁと実感する一方、国内ものの無知さも相当だと感じました。

入門にはやはり、横溝正史とか江戸川乱歩あたりが最適でしょうか。詳しい方是非ご教授いただければ嬉しいです。

 

 

 

では!