推理小説論①

今日は陳腐な回になるかもしれませんが、どうぞお付き合いください。

 

自分なりに推理小説という大きな小説のジャンルを分類し、傾向や特徴を理解し、歴史を勉強するという意味でも、文に起こして書いておこうと思います。

 

ただ当然のことながら全ての推理小説を網羅しているわけではありません。これから加筆・修正しながら気長に完成できれば良いなーという感じです。

 

推理小説の定義については、長々と口上を述べるより、先人の偉大な功績を引用させていただきます。ノックスの十戒、そしてヴァン・ダインの二十則です。全部で30項目にも及ぶ推理小説のルールですが、個人的に必須であると思われる項目を列挙しておきます。

 

まず二十則から一つ

【長編小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。】

後半部分は納得しかねますが、今回お話しするテーマ【推理小説】の中には、殺人が起こっていない長編小説を含まないことにしました。殺人とはヒトが成しうる最も邪悪な犯罪であり、その大罪を明るみに出し、犯人に然るべき裁きを与えることが、推理小説において最重要事項であると考ます。

続いては、十戒と二十則の両方に記述のある項目

【犯人は物語の当初に登場していなければならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、作者の無能を告白するようなものである】

後半はヴァン・ダンによる手厳しい意見です。この項目も、あたりまえですが、納得できます。物語の序盤に登場する人物はえてして、ストーリーに密接に絡んでおり、だからこそ、殺人の動機にも説得力が生まれ、犯人と探偵の知的な戦いに読者は魅了されるのです。

次の項目も両者が認めている点です。

【探偵方法に超自然能力を用いてはならない。占いとか心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない。】

もし、私が推理小説を謳って、こんな結末に出会ったら、その本を十字架に括り、火あぶりに処します笑

推理小説は探偵(著者)と読者との知的戦争でもあります。それを、超自然能力や占いなどによって、読者を躱すようなやり口は、卑怯である、と言うほかありません。そして最後は

【探偵は読者に提示していない手がかりによって解決してはならない。事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなければならない。】

この点は推理小説に限ったことではありませんが、委細の描写が欠けてるなど、小説家としてはあるまじきミスです。犯人によって意図的に隠された手がかりがあるにせよ、その存在の有無さえ明らかにしていない推理小説など推理小説の風上にもおけません。

以上四項目が推理小説の構成には必須です。これらは、ねこの四律と呼ばれています(ウソ)。

 

ここまで、偉そうに威張り散らして語ってきましたが、上記の四項目を全て満たしていない作品には出会ったことはありません。たぶんそれは、推理小説作家の方々が、

推理小説に必要な要素を入念に検討し、緻密にプロットを練り上げ、登場人物の人間描写に心血を注ぎ、膨大な時間を費やして作品を完成させているからでしょう。全世界で推理小説を世に送り出してきた推理小説作家たちに敬意を表し、これからも上から目線で勝手に評価し続ける不埒な所業を許してほしいと思います。

 

では!