S・S・ヴァン=ダイン

『グレイシー・アレン殺人事件』S・S・ヴァン=ダイン【感想】二兎を追うもの面白くならず

The Gracie Allen Murder Case 1938年発表 ファイロ・ヴァンス11 井上勇訳 創元推理文庫発行 前作『誘拐殺人事件』 次作『ウィンター殺人事件』 ついに残るはあと1冊となったファイロ・ヴァンスシリーズ。 シリーズのお約束、英語6文字+Merder Caseさえ忘れ…

『誘拐殺人事件』S・S・ヴァン=ダイン【感想】ハードボイルドの勢いに押され蹴躓いた一作

The Kidnap Murder Case 1936年 ファイロ・ヴァンス10 井上勇訳 創元推理文庫発行 前作『ガーデン殺人事件』 次作『グレイシー・アレン殺人事件』 ネタバレなし感想 《謎探偵の推理過程》 ネタバレなし感想 さてさてファイロ・ヴァンスシリーズもいよいよ10…

『ガーデン殺人事件』S.S.ヴァン・ダイン【感想】予定調和が心地良い

1935年発表 ファイロ・ヴァンス9 井上勇訳 創元推理文庫発行 前作『カシノ殺人事件』 次作『誘拐殺人事件』 結論から言うと普通に面白かったです。「普通」というと失礼かつ曖昧な表現になってしまいますが、古き良き時代の雰囲気を保ったまま、ミステリにお…

『カシノ殺人事件』S・S=ヴァン・ダイン【感想】化学と古典の融合

1934年発表 ファイロ・ヴァンス8 井上勇訳 創元推理文庫発行 ファイロ・ヴァンスも第8作目に突入。あらすじを紹介したいのは山々なのだが、どうも憚られる。というのも、創元推理文庫の裏表紙と中表紙のあらすじの中で既に盛大なネタバレがあるからだ。こ…

『ドラゴン殺人事件』S・S・ヴァン・ダイン【感想】次回に期待

1933年発表 ファイロ・ヴァンス7 井上勇訳 創元推理文庫発行 粗あらすじ スタム邸の屋内プール、通称“ドラゴンプール”で飛び込み事故が発生した。凶報を受けて駆け付けたヴァンス一行だったが、被害者の影も形も無い一方で、紛うことなき伝説の巨竜の痕跡が…

着想の限界か【感想】S・S・ヴァン・ダイン『ケンネル殺人事件』

発表年:1933年 作者:S・S=ヴァン・ダイン シリーズ:ファイロ・ヴァンス6 訳者:井上勇 エラリー・クイーンに多大な影響を与えたとされる、ヴァン・ダインですが、その有名な名前に反して、作品の評価はあまり高くないように思えます。 どうしても、ちょ…

劇場型ミステリのお手本【感想】S・S・ヴァン・ダイン『カブト虫殺人事件』

発表年:1930年 作者:S・S・ヴァン・ダイン シリーズ:ファイロ・ヴァンス5 さてさて久しぶりのヴァン=ダインです。 思い返すと、前回から1年以上経っていたので、すんなり世界観に入り込めるか不安でしたが、なんのその、あっという間に古き良き本格ミス…

僧正殺人事件【感想】S・S・ヴァン・ダイン

発表年:1928年 作者:S・S・ヴァン・ダイン シリーズ:ファイロ・ヴァンス4 粗あらすじ ジョン・コクレーン・ロビンが矢で貫かれた死体で発見された。彼の愛称はコック・ロビンで、否が応でもマザー・グースの童謡「だれがコック・ロビンを殺したの?」を想…

グリーン家殺人事件【感想】S・S・ヴァン・ダイン

発表年:1928年 作者:S・S・ヴァン・ダイン シリーズ:ファイロ・ヴァンス3 ヴァン=ダインの代表作の一つに数えられる本作は、前2作と打って変わって、密度の濃い、サスペンスフルな作品となっています。 というのも本作はグリーン家の面々が次々に襲われ…

カナリヤ殺人事件【感想】S・S・ヴァン・ダイン

発表年:1927年 作者:S・S・ヴァン・ダイン シリーズ:ファイロ・ヴァンス2 前作『ベンスン殺人事件』で心理分析による捜査法を実演して見せたファイロ・ヴァンスですが、それはいささか無理のあるものにも思えました。さらにワトスン役のヴァン=ダインの…

ベンスン殺人事件【感想】S・S・ヴァン=ダイン

発表年:1926年 作者:S・S・ヴァン=ダイン シリーズ:ファイロ・ヴァンス 本作は、アメリカにおける推理小説史の幕開けと目される作品ですが、はたして華々しい幕開けとなったのでしょうか。 『ベンスン殺人事件』で登場したファイロ・ヴァンスは、美術品・…