後世に影響を与えた(であろう)歴史的な一作【感想】ガストン・ルルー『黄色い部屋の謎』

発表年:1908年 作者:ガストン・ルルー シリーズ:ジョゼフ・ルールタビーユ1 訳者:宮崎嶺雄 昨年末にホームズ時代に属する歴史的なミステリをいくつか入手できたので、今年の前半はそれらを消化しながら、クロフツ祭りができれば、と思っています。 今日…

『ブラックパンサー』【映画ネタバレあり感想】全体的に無理、あるよね?ね?

引用:2018 Marvel お新年一発目のマーベル作品は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で華々しいデビューを飾ったブラックパンサーです。前半はなるべくネタバレなし、徐々にネタバレしていきます。まずは予告編をどうぞ。 「ブラックパンサー」予告…

真のクラシック・ミステリ【感想】オースチン・フリーマン『オシリスの眼』

発表年:1911年 作者:オースチン・フリーマン シリーズ:ソーンダイク博士2 訳者:渕上瘦平 1.粗あらすじ 2.クラシック・ミステリ復興の兆し? 3.本作を構成する要素 ミステリアスなエジプト史というエッセンス 猟奇的でグロテスクな雰囲気 語り手のロマン…

楽しかったが好きじゃない【感想】エラリー・クイーン『アメリカ銃の謎』

発表年:1933年 作者:エラリー・クイーン シリーズ:エラリー・クイーン6 訳者:中村有希 エラリー・クイーンの国名シリーズもついに6作目に突入しました。 創元推理文庫から年に1冊ペースで新訳版が出ているので、そちらで読み進めています。今年も出る…

『グレイテスト・ショーマン』【ネタバレ気味感想】人は解り合えない、が前提の哀しい映画

引用:2017 Twentieth Century Fox Film Corporation ミュージカル映画って… 作品自体が偉大なSHOW クライマックス・サプライズ フリーク(奇形)を扱った映画として おわりに ものっそい影響されやすいタイプなんです。わたくし。 先日『グレイテスト・ショ…

【ネタバレなし】たなか亜希夫『グロコス/Glaucos』息苦しくなりたいときにどうぞ

たまにだが、何だか胸が締め付けられるような、息が苦しくなるような、そんな漫画を読みたくなることはないか。 熱血王道少年漫画じゃなく、友情や愛情などベタベタな展開を省いた、酸素濃度の薄い漫画を読みたくはないだろうか。そんな時にオススメの漫画が…

ザ・クラシック・ミステリ【感想】オースチン・フリーマン『赤い拇指紋』

発表年:1907年 作者:オースチン・フリーマン シリーズ:ソーンダイク博士1 訳者:吉野美恵子 前回読んだソーンダイク博士ものの短編集が、ホームズのライヴァルたちと銘打たれていたこともあって、てっきり短編でしか登場しないと勘違いしていました。そ…

頑張れ!頑張るな!という矛盾【感想】ヘンリー・ウェイド『推定相続人』

発表年:1935年 作者:ヘンリー・ウェイド シリーズ:ノンシリーズ 訳者:岡照雄 倒叙です。 あんまり倒叙ものを読んだ経験に乏しいので参考になるかわかりませんが、ありきたりなプロットなのによく出来ていると思います。 訳者の岡照雄氏という名前は、あ…

クリスティの円熟を感じさせる一作【感想】アガサ・クリスティ『白昼の悪魔』

発表年:1941年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ20 訳者:鳴海四朗 ほぼ半年ぶりのポワロものの長編です。 去年は月一ポワロを目標にしていたのですが、1940年代に挑む前にそれ以前の積読がどんどん増えてきて…ちょっとペースダウ…

これはわりとまじで黒フツ【感想】F.W.クロフツ『フレンチ警部と紫色の鎌』

発表年:1929年 作者:F.W.クロフツ シリーズ:フレンチ警部 訳者:井上勇 粗あらすじ 映画館の切符売り場で働く娘がフレンチ警部の元に助けを求めてやってきた。なにやら良からぬ犯罪に巻き込まれているらしい。最初は冗談半分に聞いていたフレンチ警部だっ…

今はただ長編を読みたい【感想】アガサ・クリスティ『黄色いアイリス』

発表年:1932~1939年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ポワロ、パーカー・パイン、ミス・マープル、ノンシリーズ 訳者:中村妙子 コレっていう作品が無いのは惜しいですねえ… 各話感想 『レガッタ・デーの事件』パーカー・パイン よくある紛失事件。で…

際っ際を攻めているヒリヒリ感【感想】ルーファス・キング『不変の神の事件』

発表年:1936年 作者:ルーファス・キング シリーズ:ヴァルクール警部補9 訳者:髙田惠子 最初は、今回のタイトルを2017年下半期読了ミステリベストテン にチラッと書いた通り「ミステリ界のシライ」にしようと思ったんですが、冷静に考えると、自分が本作…

【新企画】死んでも見たい映画100選!魂のコレクションたち通称『魂コレ』!!No.1

『死ぬまでに観たい映画100選』とかはよくありますねえ。 死ぬまでに読みたい本、死ぬまでに見たい景色、死ぬまでにやりたいこと、などなど死ぬまでに○○は多すぎる。 そんなに多かったら死ぬまでにできない! 先に死んじゃうよ、と常々思ってます。 でも「死…

『オリエント急行殺人事件』【ネタバレなし感想】線香花火のような

©2017Twentieth Century Fox Film Corporation 公開から1ヵ月近く経った1月某日、ついにアガサ・クリスティ原作の映画『オリエント急行殺人事件』を鑑賞してきました。 前日までに、原作もサラッと読み返し、復習もバッチリ。 で感想なんですが、タイトル…

全てにおいて前作を上回る【感想】ジョージェット・ヘイヤー『マシューズ家の毒』

発表年:1936年 作者:ジョージェット・ヘイヤー シリーズ:ハナサイド警視2 訳者:猪俣美江子 ジョージェット・ヘイヤーのミステリはこれが2回目。 歴史ロマンスの大家として知られる女史の第二長編は、やはり前作と同じような騒々しく喧々たる状況の中始…