ザ・クラシック・ミステリ【感想】オースチン・フリーマン『赤い拇指紋』

発表年:1907年 作者:オースチン・フリーマン シリーズ:ソーンダイク博士1 訳者:吉野美恵子 前回読んだソーンダイク博士ものの短編集が、ホームズのライヴァルたちと銘打たれていたこともあって、てっきり短編でしか登場しないと勘違いしていました。そ…

頑張れ!頑張るな!という矛盾【感想】ヘンリー・ウェイド『推定相続人』

発表年:1935年 作者:ヘンリー・ウェイド シリーズ:ノンシリーズ 訳者:岡照雄 倒叙です。 あんまり倒叙ものを読んだ経験に乏しいので参考になるかわかりませんが、ありきたりなプロットなのによく出来ていると思います。 訳者の岡照雄氏という名前は、あ…

クリスティの円熟を感じさせる一作【感想】アガサ・クリスティ『白昼の悪魔』

発表年:1941年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ20 訳者:鳴海四朗 ほぼ半年ぶりのポワロものの長編です。 去年は月一ポワロを目標にしていたのですが、1940年代に挑む前にそれ以前の積読がどんどん増えてきて…ちょっとペースダウ…

これはわりとまじで黒フツ【感想】F.W.クロフツ『フレンチ警部と紫色の鎌』

発表年:1929年 作者:F.W.クロフツ シリーズ:フレンチ警部 訳者:井上勇 粗あらすじ 映画館の切符売り場で働く娘がフレンチ警部の元に助けを求めてやってきた。なにやら良からぬ犯罪に巻き込まれているらしい。最初は冗談半分に聞いていたフレンチ警部だっ…

今はただ長編を読みたい【感想】アガサ・クリスティ『黄色いアイリス』

発表年:1932~1939年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ポワロ、パーカー・パイン、ミス・マープル、ノンシリーズ 訳者:中村妙子 コレっていう作品が無いのは惜しいですねえ… 各話感想 『レガッタ・デーの事件』パーカー・パイン よくある紛失事件。で…

際っ際を攻めているヒリヒリ感【感想】ルーファス・キング『不変の神の事件』

発表年:1936年 作者:ルーファス・キング シリーズ:ヴァルクール警部補9 訳者:髙田惠子 最初は、今回のタイトルを2017年下半期読了ミステリベストテン にチラッと書いた通り「ミステリ界のシライ」にしようと思ったんですが、冷静に考えると、自分が本作…

【新企画】死んでも見たい映画100選!魂のコレクションたち通称『魂コレ』!!No.1

『死ぬまでに観たい映画100選』とかはよくありますねえ。 死ぬまでに読みたい本、死ぬまでに見たい景色、死ぬまでにやりたいこと、などなど死ぬまでに○○は多すぎる。 そんなに多かったら死ぬまでにできない! 先に死んじゃうよ、と常々思ってます。 でも「死…

『オリエント急行殺人事件』【ネタバレなし感想】線香花火のような

©2017Twentieth Century Fox Film Corporation 公開から1ヵ月近く経った1月某日、ついにアガサ・クリスティ原作の映画『オリエント急行殺人事件』を鑑賞してきました。 前日までに、原作もサラッと読み返し、復習もバッチリ。 で感想なんですが、タイトル…

全てにおいて前作を上回る【感想】ジョージェット・ヘイヤー『マシューズ家の毒』

発表年:1936年 作者:ジョージェット・ヘイヤー シリーズ:ハナサイド警視2 訳者:猪俣美江子 ジョージェット・ヘイヤーのミステリはこれが2回目。 歴史ロマンスの大家として知られる女史の第二長編は、やはり前作と同じような騒々しく喧々たる状況の中始…

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』【感想】キャリー・フィッシャーありがとう

©LUCASFILM/WALT DISNEY PICTURES 適当なタイトルが思いつかなかったのが正直なところなんだけど、真っ先に思いついたのは、 ただただ、 2016年に公開を待たずしてこの世を去ったキャリー・フィッシャー(レイア・オーガナ役)への感謝の気持ち。 劇中、何度…

2017年下半期読了ミステリベストテン

残念なことに、2017年の下半期は読了本がかなり少なく、たったの27作。 ベストテンの信頼性も薄いですが、決してオススメできない作品は無いんですよね。 この半年は、とにかくカーを読み進めました。 目標はなんといっても傑作と名高い『ユダの窓』 11月に…

『ユダの窓』カーター・ディクスン【感想】ハウダニットの極致

1938年発表 ヘンリ・メリヴェール卿7 高沢治訳 創元推理文庫発行 前作『孔雀の羽根』 次作『五つの箱の死』 今年最後の海外ミステリ感想記事になりそうです。でも最後に、本作を紹介できるのは嬉しかったりして… というのも海外ミステリ界に燦然と輝く傑作…

シンプルを通り越した地味さ【感想】F.W.クロフツ『海の秘密』

発表年:1928年 作者:F.W.クロフツ シリーズ:フレンチ警部4 訳者:向後英一 本作はF.W.クロフツが創造したシリーズ探偵フレンチ警部の第4作目なんですが、いかんせん手に入り難い… 全然新訳じゃなくても良いと思うので、復刊して是非多くの人に手に取って…

よく読まれてはいないけどとりあえずミステリ感想記事5選【2017年第4四半期】

もう絶対来年やんない! だって…よく読まれてないもん泣 ごめんなさいヒステリックになって。 というか、今年になってほんと公式のはてなブログの紹介力ってすごいなと痛感しました。 公式はてなブログに紹介していただいたM-1グランプリ2017総評 (859PV)…

クリスティ作品をざっくり型で分類してみた【感想】アガサ・クリスティ『死人の鏡』

発表年:1937年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:エルキュール・ポワロ 訳者:小倉多加志 各話感想 ざっくりクリスティ作品分類 ありきたり型 モンスター型 ロマンス型 アブノーマル型 クリスティ型 本作はエルキュール・ポワロものの中編が4編収められ…